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[2021年1月21日:更新]
[2017年12月27日:公表]

裁判所からの「訴状」?−特別送達について−

質問

 裁判所からとみられる「訴状」と書かれた手紙が郵便受けに届きました。サイト利用料金の未納分を支払うように書かれていましたが、サイトを利用した覚えも訴えられる覚えもありません。どうしたらよいですか。

回答

 裁判所をかたった架空請求の可能性が高いです。

 封筒の表に「訴状」と書かれていた場合、これは、裁判所から送られたものではありません。訴えられた場合など、裁判所からの重要な通知は「特別送達」という特別な郵便により配達され、郵便受けに直接投げ込まれることはありません。このような書面が届いた場合、基本的には無視し、そのまま放置してください。裁判所をかたった架空請求かどうかわからない場合には、お近くの消費生活センター等に相談してください。

解説

 裁判所をかたって「借金を返せ」「未納料金を払え」「相続権が発生したので連絡するように」といった内容の手紙が無差別に送られてくることがあります。

 訴訟関係書類(呼出状・支払督促)など、裁判所からの通知は「特別送達」という特別な郵便により配達されます。この「特別送達」は、次のような特徴があります。

  • 「特別送達」と記載された、裁判所の名前入りの封書で送付されます。
  • 郵便配達担当者が名宛人に直接手渡すことが原則となっており、はがきや普通の封書のように郵便受けに投げ込まれることはありません。
    郵便配達担当者から「特別送達」を受け取る際には、特別送達報告書に受け取った人の署名や押印を求められます。
  • 裁判所で付した「支払督促」や「訴訟の呼出状」の「事件番号」・「事件名」が記載されています。

 こうした特徴があるかどうかで、裁判所からの本当の通知かどうかを見分けることができます。

注意が必要な場合

 身に覚えのない請求であっても、本当に裁判所から届いた「特別送達」の通知であれば、放置してはいけません。「督促異議の申立て」や「答弁書」を提出する必要があります。裁判所が「支払督促」や「少額訴訟の呼出状」等を出す段階では、請求の当否の判断はされません。請求が「架空」であるかどうかは、当事者が自ら裁判所に対してその旨の主張をする仕組みになっています。

 「特別送達」を「そのまま放置」すると、欠席裁判となり、基本的に架空請求業者の請求がそのまま認められてしまうので注意が必要です(注)。

 裁判所の管轄地域・連絡先については、最高裁判所のホームページで確認できます。裁判所から送られたような手紙を受け取り、本物かどうかわからない場合、書面に記された連絡先ではなく、最高裁判所のホームページに記載されている管轄地域の裁判所に確認しましょう。

 困ったときは、お近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

  • (注)過去に、架空請求業者(出会い系サイト事業者)が実際に裁判を起こした事例があります。裁判所は、事業者の一連の手法を「訴訟詐欺ともいえる」と判断し、その請求を棄却しました(東京地裁平成17年3月22日判決『判例時報』1916号46ページ)。

参考