独立行政法人国民生活センター

検索メニュー

×閉じる

現在の位置: トップページ > 相談事例 > 消費者トラブル解説集 > 「源泉かけ流し」と表示があるのに湯があふれていない宿泊施設

ここから本文
[2016年12月27日:公表]

「源泉かけ流し」と表示があるのに湯があふれていない宿泊施設

質問

 旅館に宿泊した際に、「源泉かけ流し」と表示がある温泉を利用しました。ですがお湯は全然あふれていませんでした。「源泉かけ流し」とは、どのようなものなのでしょうか?

回答

 「温泉」の定義は「温泉法」という法律で取り決められていますが、「源泉かけ流し」については同法では定められていません。

 一般社団法人日本温泉協会は「源泉かけ流し」について、そのホームページ上で「浴槽に常時新湯を注入して溢流(オーバーフロー)させ、溢流した温泉を再び浴槽に戻して再利用しない「かけ流し」の状態で、注入する新湯については温泉を利用しなければなりません。また、単に「かけ流し」とうたうよりも自然の状態に近い印象を与える強調表示であるため、温泉へ加水することはできないことになっています」と書いています。

 ほかにも、温泉地で独自に「源泉かけ流し」の定義をしているところもあります。どういった理由で「源泉かけ流し」と称しているのか、利用する際には、施設に問い合わせてみるようにしましょう。

解説

環境省所轄の「温泉法」によると

 「温泉」とは、温泉源から採取されるときの「温度が摂氏25度以上あるか」または「重炭酸そうだ(NaHCO3)、遊離炭酸(CO2)など指定された物質のうちの少なくとも1つがそれぞれの規定量以上含まれているか」のいずれかの条件を満たしたものを指します。

 また、温泉事業者に対し「温泉の成分」や「利用上の注意事項」のほかに、新たに「加水」「加温」「循環・ろ過」「入浴剤・消毒」の4項目の掲示をするよう定めています。

 しかし「かけ流し」についての定義や表示義務については規定がありません。他方で、温泉地で独自に説明している場合もあります。例えば、温泉地として有名な大分県別府市では、温泉利用者に対してホームページの市営温泉紹介の中で「源泉」「引湯」「かけ流し」「循環」について独自に定義しています。ここでは「源泉かけ流し」は「温泉施設所在地にある源泉から浴槽へ温泉をそのまま供給しているもの」と掲載しています。

 すべての自治体でこのような情報を提供しているわけではないようですので、かけ流し温泉を利用したい場合はパンフレットやネットだけでなく、直接施設に問い合わせてみましょう。「かけ流し」をどのように定義しているのかや、加水、加温、循環ろ過などについてはどうかなどを施設に確認することで、自分のイメージに合ったものかどうかの判断材料にすることができます。

 また、公正取引委員会が行った温泉表示に関する実態調査の中で「源泉に加水、加温、循環ろ過などを行っているにもかかわらず、パンフレット等において「源泉100%」、「天然温泉100%」などと、源泉をそのまま利用していることを強調するような表示を行うことは、消費者の誤認を招くおそれがある」とし、温泉施設関係団体や旅行関係団体に対し適切な情報提供への積極的な取り組みを要請しています。

参考

※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について