[2020年12月24日:公表]
物のウイルス対策等をうたう「次亜塩素酸水」
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
新型コロナウイルスの感染拡大により、除菌や消毒をうたう商品の需要が高まり、店頭にはさまざまな商品が販売されています。そのような中、ウイルス対策等をうたい次亜塩素酸水として販売されている商品(以下、「次亜塩素酸水」とします)が多数みられます。
2020年6月に厚生労働省、経済産業省、消費者庁の3省庁連名で公表された「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」において、物に付着したウイルス対策の手法として、熱水や塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、洗剤(界面活性剤)、「次亜塩素酸水」、一定濃度のアルコールが挙げられています。「次亜塩素酸水」の性質や取扱においては、製法と原料が基礎的な情報となるとされ、また、「次亜塩素酸水」の効力は有効塩素濃度(残留塩素濃度)と酸性度が指標となるとされています。一方で、次亜塩素酸濃度やpH、製法や原料が明記されていない商品が多いという報告もされています。
また、PIO-NETには、新型コロナウイルスに関連した相談のうち、「次亜塩素酸水」に関する相談が498件寄せられており、中には、手に刺激を感じた等の危害が発生したという事例もみられます。
そこで、市販されている「次亜塩素酸水」15銘柄について、有効塩素濃度やpH、表示等について調べ、消費者に情報提供することとしました。
テスト結果
有効塩素濃度
- 商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに有効塩素濃度の表示がみられた14銘柄中8銘柄は、購入時期によって有効塩素濃度が表示の9割以下の場合がありました
液性(pH)
- テスト対象銘柄の液性は弱酸性から中性であり、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトにpHの表示がみられた13銘柄中2銘柄はpHが表示と異なっていました
表示・広告の調査
- 15銘柄中5銘柄は、商品本体や取扱説明書等に有効塩素濃度に関する表示がみられませんでした
- 9銘柄は、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに、対象となる物の汚れを落としてから使用する旨の表示がありませんでした
- 5銘柄には、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに、手指や口腔の洗浄等、化粧品に酷似した効果等に関する表示がみられ、消費者に誤認を与えるおそれがありました
- 商品本体及び取扱説明書等から使用期限が分からない銘柄が5銘柄ありました
消費者へのアドバイス
- 「次亜塩素酸水」は、有効塩素濃度が購入時点で表示の濃度と大きく異なる場合があることを知っておきましょう
- 「次亜塩素酸水」を購入、使用する際には、有効塩素濃度やpH、使用期限、使用方法などの表示をよく確認するようにしましょう
- 物に付着した新型コロナウイルスの消毒や除菌には「次亜塩素酸水」や一定濃度のアルコール、界面活性剤等、さまざまな選択肢があります。目的に合ったものを適切に使いましょう
事業者への要望
- 商品本体や取扱説明書等に有効塩素濃度やpH、使用期限、使用方法を表示し、使用期限内は表示の有効塩素濃度やpHが保たれるよう要望します
- 効果等について、消費者に誤認を与えないよう、表示の見直しを要望します
情報提供先
- 消費者庁(法人番号5000012010024)
- 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
- 厚生労働省(法人番号6000012070001)
- 経済産業省(法人番号4000012090001)
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(法人番号9011005001123)
- 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
- 一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
- 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(法人番号1010405018940)
- アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
- ヤフー株式会社(法人番号3010001200818)
- 楽天株式会社(法人番号9010701020592)
業界の意見 ※2021年4月14日 追加
「株式会社 光と風の研究所」より
ラベル表示については、事実確認書でも記載致しましたが、TEST購入したジアットXの製造日が2020年5月製造の製品であるため経産省から製品評価技術基盤機構NITEのアルコール代替検討についての次亜塩素酸水の中間、最終発表と同時に発表された表記方法の推奨・指導の内容にしておりますラベル、WEB等の表記について変更する前の商品となります。
改善した商品ラベルについては、弊社から昨年末に送付したラベルにて7月以降の製造分から運用しております。
PH値の測定については、製品開発当初より、デジタルの測定器を5種類程度購入し(当然基準液も購入)測定検討を行いましたが、どの機種も測定する毎に測定値が安定せず(1回ごとに基準液にてキャリブレーションをおこなった)一番安定した測定値をしめした方法がアナログのPH試験紙であった事から、この方法にて、コンク液の製造、希釈後、製品ボトリング前、完成後の抜き取り検査を実施し出荷という工程を取っておりました。
残留塩素濃度も同様な実験結果であった事から、こちらも特定のアナログな濃度試験紙にて同様な管理を行い出荷しております。
市場からTEST購入したもの(ドラッグストアの店外の太陽光があたるところで販売していたもの)でデジタル測定器ではPH7.8を示すものも確認しておりますが、弊社基準のアナログ試験紙では、PH6.5程度であった事から、測定系の違いによりPH値が±1.0程度のバラつきがあるのではないかと考えております。
ただし今回の報告内容を受けて、弊社試験方法による管理も下記の様に見直しを致しました。
- デジタル機種2機種と従来のアナログ試験紙で測定しその平均値を管理値とする。
- 製品製造時に濃縮液も含めて、液剤製造直後に製品製造するのではなく、ある程度の時間をおいて性能が安定したところで上記の測定を行い、製品製造を開始する。(2020年10月分より適用)
2020年/6/25に独立行政法人 製品評価技術基盤機構NITEから「新型コロナウイルスを用いた代替候補物質の有効性評価にかかる検証試験について(第3報)」において「PH値6.5以下で35ppm以上で有効と判断する。」と発表されています。
これが3省庁(経産省、厚労省、消費者庁)の発表でNITEの報告にない数値の80ppm以上、汚れが酷いところは200ppm以上という数値に替わっており、今回の報告書の内容も検証なしにその数値を引用しています。
またなぜ「アルコールのように少量かけるだけでは効きません」というような実験結果にないもの、国民生活センターでも検証されていない内容のものが引用されるのでしょうか。
次亜塩素酸水とアルコールを比較すると反応速度は、次亜塩素酸水の方が早く、揮発性は水と同等。アルコールは濃度65%以上のものは、揮発性が高く、反応速度が遅いというところから、同じ効力を発揮するためには、アルコールの方が量が必要になります。
それこそ、この内容などについて独立行政法人「国民生活センター」が精査・確認してから引用・報告を発表していただけましたら、一般消費者にたいしても有用な報告になるのではないでしょうか。
以上、ご連絡申し上げます。
業界の対応 ※2021年4月14日 追加
「株式会社流行人」より
お世話になっております。下記弊社改善策です。
- (1)消費期限の半年を維持する為に、製造濃度を650〜700ppmに変更致します。
- (2)工場直送及び製造(充填)当日〜3日以内の発送を致します。
- (3)通販サイトホームページ上の使用注意事項に「対象となる物の汚れを予め落として下さい」と追記致しました。
宜しくお願い致します。
「株式会社エクセレントメディカル」より
1.有効塩素濃度の表示はありますが、製造時である記載がない
⇒こちらについては、販売中のインターネットショッピングモールでは製造時である記載はしております。
ただ、商品本体や取扱説明書は従来より印刷した在庫等が大量にございますので、次回印刷時から情報を追記させていただこうと思います。どうぞよろしくお願い致します。
2.肌と同じ微酸性という点、肌へのやさしさ実証済みという点
⇒こちらは、あくまでも製品を利用時にうっかり肌についてしまった場合において、その安全性を「第三者機関で確認している」という説明でございます。手指消毒に使えるといった説明ではありません。消費者が勘違いしないようにその旨即時修正させて頂きます。
「SACラボ株式会社」より
ジアニスト商品本体や取扱説明書に記載の有効塩素濃度500ppmの情報について、製造時に検査した情報であるという記載が必要だと考えられました。
容器ラベルや、取扱説明書、印刷済みパウチなどは、次回印刷するタイミングからこれらの情報を追記致します。
- ※実際に商品をご購入頂くインターネットショッピングモールでは、有効塩素濃度は製造時である旨は記載しておりますがより分かりやすく記載致します。
「株式会社OTOGINO」より
当社商品の一部における品質管理に関わる調査結果のご報告
2020年12月24日付けで国民生活センターから発表された「物のウイルス対策等をうたう『次亜塩素酸水』」の内容について、当社は、本事案に係る事実確認及び原因究明等(以下「本件調査」といいます。)を専門チームを立ち上げ調査しておりましたが、現時点において本件調査による結果の信頼性が確定的となる報告を受けました。この報告を踏まえ、本事案に係る事実関係の概要、原因及び再発防止策等について下記のとおりご報告申し上げます。
なお、現段階においては、本事案について、不適切行為が継続されていないことが確認され、関連するお客様への事実関係のご通知を完了しており、一部のお客様については商品の交換を実施いたしました。
1.事実確認
当社は該当商品の品質管理全般について、社内での点検・確認作業を実施しており、当社が定める基準値の範囲にあるものについて適切な品質の商品とみなしております。しかしながら、その後、特定の期間に製造された商品の一部において、保存方法などの環境により著しく有効塩素濃度が低下し、製造時に適切な品質であることが認められたものの、その後、不適切な品質となった商品があるとの認知をいたしました。
このことより、当社は専門チームにて本件調査を行い、その過程において本事案が確認されたことから、2020年12月21日付けで当社商品のホームページにてその旨と、商品の交換についてのご案内し交換を実施しました。
(1)当社にて実施した本件調査の結果、本事案に該当する商品は以下のとおりです。
- [1]該当商品:OXミスト 300ml(50ppm)(オックスミスト)
- [2]該当製造日:2020年5月4日〜2020年5月15日
- [3]該当数量:2,469本
(2)交換対象商品
OXMISTホームページとインターネットショッピングモールで交換の告知
交換対象期間 2020年12月21日〜2021年1月31日
(3)本事案の原因については以下のとおりです。
該当製造日を含む期間に想定を遥かに上回る注文が集中し、その要望に応えるべく生産体制を強化した結果、生産した商品の保管として日頃利用しない場所(夏季に高温になる事が予測できなかった倉庫内の区画)に在庫を置いたことで、そこに保管された一部商品の温度が高温になったことが原因となります。
次亜塩素酸水は熱に対して劣化しやすい特徴があります。上記区画に該当期間に製造された一部の商品が保管され、熱により劣化に至ったこととなります。
2.お客様へのご対応、商品の信頼性の確認の状況
製造日が対象となる商品につきましては、お客様からの回収・取り換えの要望に応じ商品の回収・交換等の対応を行いました。一方、該当商品につきましても現在は販売を中止しており、これからの取り扱いについては現段階では未定とさせていただいております。また現段階においては、本事案について、不適切行為が継続されていないことが確認されております。
本事案について、当社が有する製造工程・能力に照らして、実現困難な受注をしたがゆえに、結果的にお客様にご迷惑をおかけするに至っております。次亜塩素酸水の需要が高まり、これを取り扱う一企業として当社も、衛生対策として貢献すべく一人でも多くの人へ提供しようとする気持ちが先立ち、製造能力やその他、商品の品質に関わる工程の有する能力の把握が不十分となっていました。商品需要が急激に高まる中で、商品製造後から出荷までの間における保管において不備があった、本事案を真摯に受けとめ再発防止策を含む是正措置を迅速かつ的確に講じて、お客様をはじめとして多くの関係者の皆様の信頼回復に全力で取り組んでまいります。
なお、本件調査を実施する中で一部の再発防止策については既に実施しております。
3.現存商品における商品の塩素濃度検査結果について
現存のOX-MIST及びOX-SHOWERについて残留塩素濃度検査を実施しました。
OX MIST 3検体 OX SHOWER 3検体
製造日 2020年12月26日
- 検査日1 2021年1月18日
- 検体商品経過日数 23日
- 検査日2 2021年2月2日
- 検体商品経過日数 38日
製造した商品を開封後通常の温度で保管、上記経過日数後に測定検査を実施
当社の検査結果、塩素濃度に問題のある劣化は確認されませんでした。
今後も継続的に検査を実施して結果の報告を行っていきたいと思います。
4.今後の再発防止策について、以下の対策を行います。
- (1)塩素濃度検査の継続的な実施をおこない、品質管理を徹底する。
- (2)製造直後の商品の塩素濃度の抜き取り検査の実施。(現在実施中)
製造保管されている商品の塩素濃度検査を毎月実施する。 - (3)商品の保管場所と保管状態の管理をおこない、塩素濃度の劣化が起こらない場所にて保管する。
「株式会社 光と風の研究所」より
ラベル表示については、事実確認書でも記載致しましたが、TEST購入したジアットXの製造日が2020年5月製造の製品であるため経産省から製品評価技術基盤機構NITEのアルコール代替検討についての次亜塩素酸水の中間、最終発表と同時に発表された表記方法の推奨・指導の内容にしておりますラベル、WEB等の表記について変更する前の商品となります。
改善した商品ラベルについては、弊社から昨年末に送付したラベルにて7月以降の製造分から運用しております。
PH値の測定については、製品開発当初より、デジタルの測定器を5種類程度購入し(当然基準液も購入)測定検討を行いましたが、どの機種も測定する毎に測定値が安定せず(1回ごとに基準液にてキャリブレーションをおこなった)一番安定した測定値をしめした方法がアナログのPH試験紙であった事から、この方法にて、濃縮液の製造、希釈後、製品ボトリング前、完成後の抜き取り検査を実施し出荷という工程を取っておりました。
残留塩素濃度も同様な実験結果であった事から、こちらも特定のアナログな濃度試験紙にて同様な管理を行い出荷しております。
市場からTEST購入したもの(ドラッグストアの店外の太陽光があたるところで販売していたもの)で、デジタル測定器ではPH7.8を示すものも確認しておりますが、弊社基準のアナログ試験紙では、PH6.5程度であったことから、測定系の違いによりPH値が±1.0程度のバラつきがあるのではないかと考えております。
ただ今回の報告内容を受けて、弊社試験方法による管理も下記の様に見直しを致しました。
- デジタル機種2機種と従来のアナログ試験紙で測定しその平均値を管理値とする。(即時適用済み)
- 製品製造時にコンク液も含めて、液剤製造直後に製品製造するのではなく、ある程度の時間をおいて性能が安定したところで上記の測定を行い、製品製造を開始する(2020年10月製造分より適用済み)
- 製品の性能の変化については、販売環境に影響が受けにくい商品作りということでスプレーノズルを本体ボトルと別に梱包、ボトル本体は液漏れ防止対策も含めキャップを装着し光の影響を受けない様に個装箱に入れる形態をとることとボトル本体の性能の見直しを行い改善を行う。
以上、連絡申し上げます。
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
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