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[2018年7月13日:更新]
[2018年6月7日:公表]

地震による転倒の防止策−電気給湯設備の貯湯タンクと家具・家電について−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文(PDF)」をご覧下さい。

 国民生活センター商品テスト部では、「消費者行政新未来創造オフィス」において、徳島県を実証フィールドとした、先駆的な商品テストを実施することとなりました。徳島県は、大規模地震(南海トラフ巨大地震)への対策という、わが国の将来の課題を見据えた検証が可能な地域であると考えられることから、2017年度は、地震による転倒の防止策について実施しました。

 2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の際は、当センター相談情報部が2011年7月21日(注1)及び2016年10月20日(注2)に「震災による給湯器の貯湯タンクの転倒」に関して記者公表を行い、設置工事の不備が原因とみられる転倒事例を紹介しています。また、家屋内の被害としては、震度5強以上の揺れになると固定されていない家具・家電が倒れたり移動したりするとされており、周囲の人、物への被害や避難経路の妨げになるといったことが報告されています(注3)。

 そこで、まず電気温水器やヒートポンプ給湯器の貯湯タンクについて、設置状況等の実態調査を徳島県内のモニター家庭にて行い、取り付けに不備がないか等を把握しました。さらに、全国の消費者を対象とした家具・家電の転倒防止策などに関する意識調査や、過去の大地震の際の事故情報の分析を行いました。そして、地震の揺れを再現する振動台上に、固定方法の異なる貯湯タンクや固定器具を取り付けた家具・家電を設置して、実際に起こった地震波に近い揺れによる再現試験を行いました。これらの結果から、地震に対する貯湯タンク及び家具・家電の転倒防止策の有効性を全国の消費者に向けて情報提供します。

  1. (注1)震災による給湯器の貯湯タンクの転倒被害−今後の被害防止のため、改めて機器の設置の点検を!−(2011年7月21日)
  2. (注2)給湯器の貯湯タンクの転倒−大きな地震が起きて初めて見つかる設置不良「熊本地震の相談より」−(2016年10月20日)
  3. (注3)人の体感・行動、屋内の状況、屋外の状況(気象庁震度階級関連解説表:気象庁)

第1章 電気温水器やヒートポンプ給湯器の貯湯タンクの設置方法について

電気温水器やヒートポンプ給湯器の貯湯タンクの転倒防止策の必要性

貯湯タンクは常に満水を維持するため、大容量の貯湯タンクが転倒した場合には機器の故障だけでなく、設置場所によっては、まわりの建物などを壊したり、人に当たってけがをする危険性も考えられることから、転倒防止策が非常に大切です。
貯湯タンクは、設置場所、貯湯容量に応じた適切な仕様でアンカーボルトによって脚をコンクリート基礎の上に固定します。また設置場所によっては、アンカーボルトと同時に貯湯タンクの上部を外壁などに固定する場合もあります。詳細な固定方法は各メーカーによって指定されていますが、2013年4月1日以降からは国土交通省告示により、貯湯タンクの転倒防止措置が義務化され、基準が明確化されています。なお、設置工事は設置事業者によって行われ、新築・増改築にともない設置する際は建築確認等で告示に適合している旨の確認を受けることになります。

電気温水器やヒートポンプ給湯器の貯湯タンクの設置状況実態調査結果(注4)

貯湯タンクの設置時期及び貯湯容量について

  • モニター家庭の過半数の貯湯タンクは7年以上前に設置されたものでした。また、設置された貯湯タンクの貯湯容量で最も多かったのは460Lタイプでした。

貯湯タンクの脚の固定状況について

  • 100件中63件のモニター家庭は改正告示一号に基づく太さ、本数のアンカーボルトが使用されていませんでした(注5)。
  • 改正告示一号に基づく太さ、本数のアンカーボルトが使用されていた36件のうち、芯棒が根元まで打ち込まれていないものが5件ありました。

貯湯タンクの転倒に関する意識について

  • 貯湯タンクが地震で倒れるおそれがあると思うと答えたモニター家庭は100件中19件でした。
  1. (注4)各集計結果は実態調査が終わった時点(2018年1月末)のものになります。
  2. (注5)建築基準法第3条第2項において、「この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替えの工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない」とあるため、改正告示より前に設置されたものの中で今回確認された「改正告示一号に基づく太さ、本数のアンカーボルトが使用されていないもの」は違法というわけではありません。

電気温水器やヒートポンプ給湯器の貯湯タンクの振動試験結果(注6)

アンカーボルトで脚が固定されていない状況を想定した試験

  • コンクリート基礎の上に置いただけの貯湯タンクは震度6弱相当の揺れで転倒しました。

アンカーボルトの太さの違いによる固定状況を想定した試験

  • アンカーボルトの太さが細いと、貯湯タンクは転倒しないものの、1回の振動でアンカーボルトに浮きが見られました。

アンカーボルトの芯棒の打ち込み不足を想定した試験

  • アンカーボルトの芯棒を根元まで打ち込まないものは、振動試験中にアンカーボルトが抜けて貯湯タンクが転倒することがありました。
  1. (注6)試験結果は、特定の給湯器、地震波、設置方法等の条件で実施した試験によるものであり、一般のあらゆる条件において同様の結果になるわけではありません。

消費者へのアドバイス

  • 貯湯タンクを設置する際は、設置事業者に国土交通省告示による転倒防止策や、国土交通省告示に基づく各メーカーによって指定された転倒防止策を依頼しましょう。

事業者への要望

電気給湯設備の貯湯タンクの設置事業者

  • 国土交通省告示による転倒防止策や、国土交通省告示に基づく各メーカーによって指定された転倒防止策による貯湯タンクの設置を徹底するよう要望します。
  • すでに設置されている貯湯タンクについて点検の制度作り等を検討することを要望します。

電気給湯設備の貯湯タンクの製造・販売事業者

  • 設置時に細いアンカーボルトが用いられることのないよう、国土交通省告示にのっとったアンカーボルトを製品カタログ・工事説明書に明確に記載するとともに、設置事業者への周知徹底を要望します。

行政への要望

  • 国土交通省告示による転倒防止策や、国土交通省告示に基づく各メーカーによって指定された転倒防止策による貯湯タンクの設置を徹底するよう業界への指導等を要望します。

要望先

  • 国土交通省 住宅局 建築指導課(法人番号2000012100001)
  • 一般社団法人住宅生産団体連合会(法人番号2010405000311)
  • 一般社団法人日本電機工業会(法人番号8010005016727)
  • 一般社団法人日本冷凍空調工業会(法人番号9010405010551)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 経済産業省 商務情報政策局 情報産業課(法人番号4000012090001)
  • 一般社団法人日本家具産業振興会(法人番号2010005011808)
  • 一般社団法人日本ガス石油機器工業会(法人番号4010005018108)
  • 全日本電気工事業工業組合連合会(法人番号9010405001848)
  • 電気事業連合会(法人番号なし)


第2章 家具・家電の固定方法について

家具・家電の転倒防止策の必要性

過去に発生した大規模地震に関する調査によると、けがをした原因については約30〜50%の人が、家具・家電の転倒・落下・移動によるものでした。また、けがだけではなく二次的な被害として、避難経路がふさがれてしまい避難の妨げになる可能性が考えられます。そのため、けがの防止や避難経路を確保するためにも家具・家電の転倒・落下・移動防止策が非常に大切だと考えられます。

消費者へのアンケート調査

地震による家具・家電の転倒・落下・移動の体験について

  • 約35%の人が地震による家具・家電の転倒・落下・移動の体験がありました。

地震による家具・家電の転倒・落下・移動の危険性の認識について

  • 約68%の人が地震による家具・家電の転倒・落下・移動の危険性があると認識していました。

家具・家電の固定状況について

  • 約47%の人は危険だと思う家具や家電があるが固定していないと回答しました。

家具・家電の固定に関する今後の意向について

  • 約52%の人に今後、家具・家電を固定しようとする意向が見られました。

固定器具類による地震発生時の転倒対策の必要性について

  • 約77%の人が固定器具類による地震発生時の転倒対策は必要だと思っていました。

地震による家具・家電の転倒・落下・移動の体験の有無による意識の違いについて

  • 地震による家具・家電の転倒・落下・移動の体験がある人の方が、転倒防止に関する意識が高い傾向が見られました。

家具・家電の振動試験結果(注7)

  • 固定器具を使用していない食器棚は震度6弱相当の揺れで転倒し、冷蔵庫は震度6強相当の揺れで前方へ大きく移動しました。また、各固定器具には転倒防止の一定の効果が見られました。
  • (注7)試験結果は、特定の食器棚及び冷蔵庫、地震波、設置方法等の条件で実施した場合のものであり、一般のあらゆる条件において同様の結果になるわけではありません。

消費者へのアドバイス

  • 各固定器具には転倒防止の一定の効果が見られました。家庭内の家具・家電には各固定器具を用いた転倒防止策を施しましょう。

事業者への要望

  • 家具・家電の転倒・落下・移動防止策の有効性について、引き続き啓発を要望します。
  • 取り付け方法をわかりやすく説明する機会を設けるなど、固定器具のさらなる普及に取り組むよう要望します。

行政への要望

  • 家具・家電の転倒・落下・移動防止策の有効性について、引き続き啓発を要望します。

要望先

  • 内閣府 政策統括官(防災担当)(法人番号2000012010019)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 経済産業省 商務情報政策局 情報産業課(法人番号4000012090001)
  • 一般社団法人日本家具産業振興会(法人番号2010005011808)
  • 一般社団法人日本ガス石油機器工業会(法人番号4010005018108)
  • 全日本電気工事業工業組合連合会(法人番号9010405001848)
  • 電気事業連合会(法人番号なし)


動画



業界の対応 ※2018年7月6日 追加

「一般社団法人日本電機工業会 家電部」より

 まず、今回頂きました要望書は即時、当会の関係会員会社に配布し、内容を周知させて頂きました。

 次に、電気温水器の工事説明書には、既に改正告示で示された「給湯設備の転倒防止措置を講ずる際の基準」を満たす工事方法を掲載しております。また、あわせて工事内容についてのチェックリストを掲載し、工事説明書を用いて工事を行ったことをお客様が確認できる仕組みとして、上記チェックリストを用いてチェックして、お客様にお渡しする様にしており、引き続き、この取り組みを継続してまいります。(なお、電気温水器は、製品の特性上、設置事業者が設置を行う事から、製品カタログではなく、工事説明書への記載を主体と考えております。)

 また、販売事業者、設置事業者に対する点検の呼びかけについては、以前より当会のホームページに、告示の改正に関するお知らせ、貴センターからの注意喚起のお知らせを掲載しておりますので、こちらも引き続き、この取り組みを継続してまいります。

一般社団法人日本電機工業会 家電部




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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