[2016年3月17日:公表]
水圧で伸びる散水ホースの破損に注意−短期間で使用できなくなるおそれも−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
蛇口に接続して水を流すと約3倍の長さに伸びるという、水圧で伸びる散水ホースが販売されており、従来から使用されている巻き取り式の散水ホースと比較して、収納の便利さや軽量化を謳(うた)っています。
商品テスト部ではこれまでに、水圧で伸びる散水ホースについて、破損などによる水漏れに関して4件のテスト依頼があり、いずれも耐久性や耐摩耗性などの品質に問題があると考えられました。
PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)(注1)には、2012年度以降、水圧で伸びる散水ホースに関する相談が335件寄せられており、その中でもホースの破損に関する相談が167件(注2)ありました。
そこで、現在販売されている水圧で伸びる散水ホースについて調査し、消費者に情報提供することとしました。
- (注1)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのことです。
- (注2)2016年1月31日までの登録分。件数は本公表のために特別に事例を精査したものです。
水圧で伸びる散水ホースとは
水圧で伸びる散水ホースは、伸縮性の高いゴム製のチューブを布(化学繊維)で覆ってホース状にしたもので(以下、ゴム製のチューブを「ホース内側」、布(化学繊維)を「ホース外側」とします。)、水道の蛇口に付属の蛇口用ニップルを取り付けることで、ワンタッチで取り付けることができるようになり、手元には付属のシャワーノズルを取り付けることが可能です(以下、手元側を「散水用コネクター」、水道側を「水道用コネクター」とします。)(写真)。水を通せば水圧によりゴムの弾性で約3倍に伸びて、水を抜けばゴムの弾性で元の長さに戻ります。
写真.水圧で伸びる散水ホースの外観(商品の一例)
テスト結果
構造調査
- 4銘柄はホース内側とホース外側の2層構造であり、1銘柄はホース内側とホース外側の間にビニールが入った3層構造でした。また、ホース内側の外径、内径、肉厚には銘柄間で大きな差はありませんでした。
ホース内側の繰り返し耐久性
- 繰り返しの伸縮でホース内側が切れるものがありました。
ホース外側の耐摩耗性
- すべての銘柄でアスファルト路面と擦れるとホース外側に破れが見られ、破れがある状態で使用すると水漏れを起こしたり、ホース内側が切れることがありました。
散水ホースの破裂(PIO-NETに寄せられた事例の再現テスト)
- ホース内側がホース外側から露出してしまうと、ホース内側が部分的に急に膨張し破裂しました。
表示の確認
- すべての銘柄で、繰り返しの耐久性に関する表示がありませんでした。
- 1銘柄には使用可能水圧が記載してあり、他の3銘柄には最低使用可能水圧が記載されていました。
消費者へのアドバイス
- 従来の散水ホースと違い、短期間で使用できなくなるおそれがあることを知っておきましょう。
- 使用前に、商品の状態をよく確認しましょう。
- アスファルト路面を擦りながら使用すると早期に損傷するので、できるだけ避けましょう。
業界への要望
- 従来の散水ホースとの違いが消費者にわかるよう、外箱等に明記することを要望します。
- 耐久性・耐摩耗性の高い商品の開発を要望します。
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
- 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
- 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
- 一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(法人番号8010005004343)
動画
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
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