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[2024年3月13日:公表]

「消費生活センターにおける対応困難者への対応の現況と課題調査」調査報告<結果・概要>

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 消費生活相談の現場では、さまざまな相談者に日々対応し、相談者が抱えている消費者トラブルについて聞き取り、事業者と相談者の間に立って助言やあっせん等をおこなっていますが、中には、相談員に対し攻撃的な態度をとる相談者や、一方的に話し続けて相談員の話を聞かないなど、円滑なコミュニケーションが取れず、相談員が相談対応に困難を感じるケースがみられます。

 このような、いわゆる「対応困難者」への対応は、消費生活相談業務の遂行において大きな支障となっていると考えられます。そこで、消費生活センター等における対応困難者の相談対応について、(1)消費生活センター等を対象としたアンケート調査、(2)消費生活センター等で勤務したことのある消費生活相談員を対象としたアンケート調査を実施し、対応困難者への対応に関する現状等を調査し、報告書をまとめました。

調査結果のポイント

 本調査では、「対応困難者」について、「消費生活センター等で実施している消費生活相談において、相談員により適切な相談対応(丁寧な説明等)を行っているにもかかわらず、社会通念から逸脱するような主張や要求(内容および態様)を止めようとしない相談者、また、自らの要求が通らないことに対する怒りを相談員や消費生活センターに向け、相談の継続が困難である相談者」と定義しています。なお、同等の内容を指す用語として「カスタマーハラスメント」がありますが、本調査において「対応困難」とされる行為の範囲は、カスタマーハラスメントよりも広くなっています。

消費生活センター等を対象としたアンケート調査

  • 対応困難者の相談件数について、1カ月平均で「5件未満」と回答したセンターが全体の8割。
  • 対応困難者は、過剰要求や無理な対応を強要するタイプ、長時間あるいは執拗な主張を続けるタイプが多い。
  • 対応困難者の対応において困難を感じる点は、相談員や職員の時間がとられ本来業務ができなくなること、相談者がエスカレートしないよう気を遣って対応する必要があること、など。
  • 国や自治体等に対して希望する対応策として、7割のセンターが、対応困難者の対応を拒否できる明確な基準やガイドラインの策定、と回答。
  • センターの役割や業務内容を理解していない住民に対して、正しい理解と適切な利用のための啓発活動を望む回答も多く寄せられました。

消費生活相談員を対象としたアンケート調査

  • 約9割の回答者が、対応困難者の相談件数は1カ月当たり平均で「5件未満」と回答。
  • 回答者のほとんどが対応困難者の対応を経験しており、また、自身が相談員として勤務を始めた頃と比べ、対応困難者からの相談が増えていると感じていました。
  • 9割以上の回答者が、対応困難者の対応にストレスを感じると回答。
  • 辛いこととして、多くの回答者が「一方的な主張に終始しコミュニケーションが取れなかった」こと、「長時間・長期間にわたって相談を終了できなかった」こと、また、発言の揚げ足を取られること、詰問や暴言、大声で怒鳴るなどの言葉による攻撃的な行為、を挙げていました。
  • 対応方法として、「消費生活相談として対応できる範囲を見きわめる」、「冷静な態度を心がける」、「言葉遣いに気を付ける」、との回答が多く、これらは、対応困難者に対して効果的だと感じた方法としても同様に挙げられていました。
  • 対応困難者への対応に関して、回答者が国や自治体等に希望することとして最も多かったのは、職員の理解や連携協力、組織対応を求めるものでした。

課題と今後期待されること

  • 調査の結果、対応困難者への対応においては、対策マニュアルの活用、統一的なルールや基準の策定、安全な執務環境の整備、専門家との連携体制の整備、メンタルケアへの取組、研修の実施等について、さまざまな課題があることが分かりました。
  • 今後期待されることとして、自治体に対しては、センター内における職員と相談員の連携協力の推進、対応ルールやマニュアルの作成・活用、安全な執務環境の整備、弁護士や心理職等の専門家との連携体制の構築等が望まれます。
  • 国に対しては、全国的な判断基準やルールの策定や研修の実施等が望まれます。
  • 国や自治体において、ホームページ、広報誌、案内チラシなどで、センターの業務内容や役割等についてより一層周知広報すること、消費者教育や啓発について引き続きおこなっていくことが望まれます。

 本報告書が今後の消費生活センターにおける対応困難者対策の一助となれば幸いです。

情報提供先

  • 消費者庁(法人番号5000012010024)
  • 内閣府消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)

本件連絡先 教育研修部上席調査研究員

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