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[2020年9月4日:更新]
[2020年9月3日:公表]

自宅で完結?手軽に痩せられる?痩身をうたうオンライン美容医療にご注意!−糖尿病治療薬を痩身目的で消費者に自己注射させるケースがみられます−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 全国の消費生活センター等には、美容医療をオンライン診療で行うクリニックに関する相談が2017年頃から寄せられており、近年増加しています。これらの相談では痩身目的の治療について、オンライン上で初診、薬剤の処方やその後の継続的な診療が行われています。また、国内では2型糖尿病治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬を痩身目的で消費者に自己注射させるケースがみられます。

 相談内容を見ると対面診療での美容医療サービスに関する相談と同様、クリニックのウェブサイトの広告や説明内容等に問題があるケースや、解約・返金等のトラブルになったケースに加え、「冷蔵保存する必要のある薬剤が常温で海外から届いた」など薬剤の処方、管理等に問題があるケースや、「副作用が出たためクリニックに相談したが、医師の対応がない」など副作用等が出た場合の対応が不十分なケースもみられます。

オンライン診療で痩身目的の治療を行う流れ(例)

1.インターネットでクリニックのウェブサイトを見つけ、カウンセリングの予約をとる

ウェブサイトを見て操作をしている様子

2.オンライン診療で治療等の説明を受けて契約

予約したクリニックのオンライン診療を受けている様子

3.後日自宅に薬剤等が届く

薬剤等が入った箱が手元に届いた様子

4.薬剤を自己注射する

薬剤を注射器で腹部に投与している様子

相談事例

アドバイザーから自己注射の方法や薬剤の量を指示されるだけで、副作用が出ても医師の対応がない

 インターネット検索で、オンライン診療で痩身治療を行うクリニックを見つけた。「食事制限や運動は不要」という広告に興味を持った。またホームページではオンライン診療について「場所を問わず診察を受けられる」、「通院時間0待ち時間0」、「オンラインチャットですぐに医師と相談できる」とあった。オンライン診療用のアプリをダウンロードし、無料カウンセリングを予約した。予約日にビデオ通話でアドバイザーと名乗る人から連絡が来たが、電波が悪いと通常の電話に切り替えられた。アドバイザーから「薬剤を自身に投与する治療だ。薬剤はまれに副作用が出るが、数日で落ち着く」などと言われ、併せてコースや料金、自己注射の方法を説明された。その後、医師に代わったが診察はなく、治療を受けるかどうか聞かれただけだった。指定された銀行口座に治療費50万円を振り込み、数日後クリニックから注射器、サプリメント等が届いた。別の日に海外から原則冷蔵保存されるはずの薬剤が常温で届いた。自分で薬剤を注射してみたが吐き気など副作用が出てつらかった。クリニックに相談したが、アドバイザーから薬剤の量の指示を受けるばかりで医師の対応はなかった。痩身の効果も感じられないので解約、返金してほしい。

その他、以下のような相談も寄せられています。

  • 薬剤は糖尿病治療薬で個人輸入になること、重篤な副作用があることなどの説明が不十分だった
  • 食事制限は必要ないと言われて治療を継続していたが、針を刺した部分に赤みが出ており痩身の効果も感じられない
  • SNS上のやり取りでカウンセリングを受け、不安に思い解約を申し出たができないと言われた

問題点

  • クリニックのウェブサイト等に禁止されている広告表現を掲載している
  • 薬剤の説明や問診等が不十分
  • 薬剤の使用方法の説明や管理方法が不十分
  • 副作用が出たときの医師の対応が不十分
  • 解約に応じてもらえなかったり、未提供分の薬剤等について返金がない

消費者へのアドバイス

  • 糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)は痩身目的の使用に関して安全性と有効性は確認されていませんので注意しましょう
  • 美容医療を受けるときはクリニックの広告だけをうのみにせず、本当に契約するかどうか慎重に検討しましょう
  • 副作用等が起こった場合の対応を確認し、納得できなければその場で契約しないようにしましょう
  • トラブルにあった場合は、消費生活センター等に相談しましょう。副作用等が出た場合は速やかに医療機関を直接受診しましょう
  • ※消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
    最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

業界の対応 ※2020年9月4日 追加

「一般社団法人日本美容外科学会(JSAPS)」、「一般社団法人日本抗加齢医学会」、「公益社団法人日本美容医療協会」より

 昨今、美容医療をオンライン診療で行う医療機関において健康被害や金銭トラブルが頻発していることから、独立行政法人国民生活センターが国民に対して注意喚起を発出しました。

 この注意喚起を受け、一般社団法人日本美容外科学会(JSAPS)、一般社団法人日本抗加齢医学会及び公益社団法人日本美容医療協会は、国民の皆様と学会及び協会会員に対して共同で見解と声明を発表いたします。

  1. 問題が指摘された医療機関のウエブサイトには、医療広告ガイドラインで禁止されている内容が掲載されていたと判断されるものがありました。治療の内容や効果について患者を誤認させるおそれがあるビフォーアフター写真の広告や費用を強調した広告は、ガイドラインで禁止されています。
  2. オンライン診療ガイドラインに沿わない不適切な診療が行われていたと判断されるクリニックがありました。痩身治療としては未承認の糖尿病治療薬(GLP-1 受容体作動薬)をオンライン診療のみで処方し、痩身目的で患者に自己注射させていたクリニックの中には、治療により生ずるおそれのある不利益、急病急変時の対応方針等について、医師から患者に対して十分な情報提供がなされていないと認められる事例がありました。また、薬剤の説明や問診、薬剤の使用方法の指導が不足していたと認められる事例や、薬剤管理が不適切であったり副作用発生時の医師対応が不適切と認められる事例がありました。医薬品の使用は副作用のリスクを伴うものです。したがって、その処方に当たって医師は十分な説明と管理が義務付けられています。
  3. 現在、未承認の医薬品を医師が必要に応じて患者に投与することは必ずしも違法の評価を受けるわけではありません。しかし、国内で有効性と安全性の検証がなされた承認薬とは異なり、未承認薬はこれらが確認されたものではないことから、投与方法や副作用の発現等について特段の配慮が必要です。

 私たちは、医療機関が医療広告ガイドラインやオンライン診療ガイドラインを遵守することなく、患者を誤認に導き、不安や健康被害を与える行為に断固反対します。

 日本美容外科学会(JSAPS)、日本抗加齢医学会及び日本美容医療協会の会員は、医師法および医療法を含めた法規やガイドラインを遵守し、オンライン診療の基本理念を理解した上で、安全で最善な診療を行っているものと思います。今後も、オンライン診療適用の可否を含めた医学的判断を行い、適切な医療を提供することにより、医師ー患者間での信頼関係を築くことを、切に求めます。


本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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