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[2019年4月12日:更新]
[2019年3月14日:公表]

三輪自転車の走行特性に注意−高齢者が転倒し骨折した事例も−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文(PDF)」をご覧下さい。

 従来より、大人向けの三輪自転車が販売されています。三輪自転車は後2輪のものが主流であり、近年では電動アシスト機能を搭載したものも販売されています。

 PIO-NETには、2013年度以降の約6年間に三輪自転車に関する相談は138件寄せられており、契約当事者年齢の割合をみると、70歳以上が全体の約7割を占めており、高齢者が転倒し骨折したという事例もみられました。三輪自転車は二輪自転車より安定性があるように思われがちですが、走行中の挙動は二輪自転車とは異なり、カーブ走行や左右に傾斜した路面を走行する場合には、三輪自転車であっても転倒する危険性があるため、運転には注意が必要です。

 そこで、後2輪の三輪自転車でカーブ走行や傾斜した路面を走行する場合等の特性についてテストを実施し、消費者へ情報提供することとしました。

三輪自転車のスイング機構について

  • 後2輪の三輪自転車の多くは、車体前部をスイングさせる(左右に傾ける)ことができるスイング機構を備えています。
  • スイング機構にはバネが内蔵されており、傾けた車体を垂直状態に戻す復元力が働きます。
  • スイングさせて走行すると、二輪自転車と同様にカーブで車体ごと体を傾けることができるため、二輪自転車に乗れる人にとっては違和感なく運転できるとされています。他方、常にバランスを取りながら走行しなければならないので、二輪自転車に乗れない人がすぐに運転するのは困難だと考えられます。
  • スイング機構を備えたものの中には、付属の固定金具を取り付けることにより垂直状態に固定できるものや、ハンドルバーに装着されているスイング切替レバーを操作することにより垂直状態に固定できるものがあります。
  • スイング機構を固定して走行すると、バランスを取らなくても車体が垂直状態を保つため、二輪自転車に乗れない人でも運転できる場合があります。

テスト結果

平たんな路面上で直線走行する場合

  • スイングする場合、二輪自転車に乗り慣れている人であれば、スイングすると二輪自転車と同様に安定して直線走行することができました。
  • スイング機構を固定していると、特にバランスを取らなくても安定して直線走行することができました。

平たんな路面上でカーブ走行する場合

  • スイングする場合、二輪自転車に乗り慣れている人であれば、スイングすると二輪自転車と同様に安定してカーブ走行することができました。
  • スイング機構を固定していると、カーブ走行の速度が速い場合は片輪が浮き転倒する危険性がありました。

平たんな路面から傾斜面に進入する場合

  • スイングする場合、二輪自転車に乗り慣れている人であれば、スイングすると二輪自転車と同様に安定して傾斜面に進入することができました。
  • スイング機構を固定していると、傾斜面に車体後部が進入した途端に車体全体が傾いて乗員も振られ、さらに片輪が浮き転倒する危険性がありました。

障害物を通過する場合

  • スイングする場合、二輪自転車に乗り慣れている人であれば、スイングすると二輪自転車と同様に安定して障害物を通過することができました。
  • スイング機構を固定していると、後車輪の片側が障害物に乗り上げた途端に車体全体が傾いて乗員も振られ、転倒する危険性がありました。

後車輪への足の巻き込みについて

  • 発進時に地面に着いた足を上げるタイミングが遅れると、後車輪にひかれる危険性がありました。

表示の調査

商品カタログ及びインターネットの商品ページの表示

  • 「誰でも乗れる」、「転倒しない」等といった旨の誤認を与えるおそれのある表示は、商品カタログやインターネットの商品ページを用意していた全ての銘柄でみられませんでした。
  • 6銘柄中3銘柄で二輪自転車とは異なる、三輪自転車の特性に関する記載がみられました。

取扱説明書の表示

  • 全ての銘柄で取扱説明書に二輪自転車と異なる構造あるいは乗車感である旨の記載がみられました。また、スイング機構を固定できる全ての銘柄で、スイング機構を固定した状態での走行の注意点に関する記載がみられました。

消費者へのアドバイス

  • 三輪自転車に関する相談の約7割が70歳以上であるなど、高齢者の方の用途で購入している商品であると考えられます。三輪自転車の購入や使用を考えている場合は、今回のテスト結果を参考に使用者の適応能力や道路環境を合わせて検討してください。
  • 三輪自転車は二輪自転車と走行特性が異なります。三輪自転車を購入する際は、二輪自転車に乗れる人でも可能な限り事前に試乗し、購入後には平たんな路面で十分に練習してから公道で使用するようにしましょう。
  • 後2輪のスイング機構を固定して走行すると、カーブ走行や傾斜、障害物等の路面状況により、車体全体が傾いてバランスを崩し転倒する危険性があります。スイング機構を固定して走行する際は、必ず低速走行を心がけ、傾斜のある路面や凹凸のある路面では自転車から降り、押して歩きましょう。

事業者・業界への要望

  • 商品カタログやインターネットの商品ページ等に二輪自転車とは異なる三輪自転車の特性について明確に記載するよう要望します。
  • 構造や乗車感覚等の特性について、消費者への分かりやすい説明や試乗機会の充実を要望します。

要望先

  • 一般社団法人自転車協会(法人番号6010405010595)
  • 日本自転車軽自動車商協同組合連合会(法人番号3010405001861)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
  • 一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(法人番号8010005004343)
  • 日本チェーンストア協会(法人番号5700150005467)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 経済産業省 製造産業局 車両室(法人番号4000012090001)
  • 経済産業省 商務情報政策局 製品安全課(法人番号4000012090001)
  • 警察庁 交通局 交通企画課(法人番号8000012130001)
  • 一般財団法人自転車産業振興協会(法人番号3010405000277)
  • 一般財団法人日本自転車普及協会(法人番号8010405001023)

動画

動画イメージ写真 三輪自転車の走行特性
動画:三輪自転車の走行特性

業界の対応 ※2019年4月9日 追加

「一般社団法人自転車協会」より

 メーカーおよび販売店で構成されている当会の正会員ならびに特別賛助会員各社に対し、以下の通り連絡しました。

 商品カタログやインターネットの商品ページ等に二輪自転車とは異なる三輪自転車の特性について明確に記載する旨、ならびに構造や乗車感覚等の特性について、消費者への分かりやすい説明や試乗機会の充実について、貴センターよりご要望頂いた旨を、周知致しました。

「アサヒサイクル株式会社」より

 過日、三輪車の商品テストにおいて、御指摘いただきました内容につきまして下記の1〜3の項目について注意事項として取説に記載します。

  1. スイング機構を固定した場合のカーブ走行での危険性について
    走行速度が速い(約8km/h)場合はバランスを崩し転倒の危険性がある。
  2. スイング機構を固定した場合の傾斜面への進入と障害物への乗り上げ走行時の危険性
    後車輪の左右の高さの差が生じた際、乗員が振られ、また片輪の浮きが生じ転倒の危険性がある。
  3. 後車輪への足の巻き込みの危険性
    発進時、地面についている方の足がタイミングにより後車輪に巻き込まれる危険性がある。
  4. カタログ及びインターネットの商品ページの表示方法につきましては見直しを行い誤認防止や特性等わかりやすく記載する様にし、二輪自転車とは大きく異なる乗車感覚や三輪自転車の特性をご購入前に理解できるようにいたします。

本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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