「平成28年熊本地震」で寄せられた消費生活相談情報(第3報)−発生1年半にみる相談の推移−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
2016年4月14日(木曜)以降に発生した「平成28年熊本地震」(以下、熊本地震)に関連する消費生活相談が、地震発生直後から全国の消費生活センターおよび国民生活センターに多数寄せられており、発生から1年半がたった今でも月に数十件程の相談が寄せられています。昨年度、地震発生後1カ月間、2カ月間の相談について公表しましたが、今回、熊本地震の発生から1年半を迎え、この期間に寄せられた相談の件数や内容についてとりまとめ、情報提供します。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)にみる相談の概要
相談件数
2017年10月13日(金曜)までの1年半で4,509件となっています。
当事者の属性
当事者の居住地域は、9割近くが被災地である熊本県・大分県です。発生直後(5日間)に限ってみると、逆に熊本県・大分県以外からが約66%と多くなっています。年代をみると、60歳以上の高齢者からの相談が多く、職業は無職が最も多くなっています。
商品役務別の特徴(期間別)
「不動産貸借」、「工事・建築」、「修理サービス」などの住宅に関する相談が、全体の約6割を占めています。その他にも、「火災保険」、「他の行政サービス」、「給湯システム」、「墓」に関する相談が複数件寄せられています。
地震の発生直後は、被災地への旅行に関する相談が多く寄せられましたが、その後は住宅関係の相談が大半を占めるようになりました。半年目以降は、「不動産貸借」の割合が減少し、「工事・建築」の割合が増加しました。
被災地・被災地以外における商品役務別の特徴(期間別)
- (1)被災地(熊本県・大分県)の商品役務別にみられる特徴
- 住宅に関する相談が全体の約6割を占め、「火災保険」、「他の行政サービス」、「給湯システム」に関する相談が続きます。期間別にみると、発生直後に生活必需品に関する相談が寄せられた点、半年目以降に、「老人ホーム」などの詐欺的トラブルに関する相談がみられない点を除いて全国と傾向はほとんど同様です。
- (2)被災地以外の商品役務別にみられる特徴
- 住宅関係の相談が上位に来ていますが、その割合は約2割で、その他にも、「老人ホーム」、「募金」、「役務その他サービス」、「国内パックツアー」、「ファンド型投資商品」などの相談が複数件寄せられています。期間別にみると、発生直後は被災地への旅行に関する相談が多く寄せられ、その後は、「老人ホーム」に関する相談が増加しました。
東日本大震災と熊本地震
- (1)東日本大震災にみられた特徴
- 2011年の東日本大震災では、被災地が広範囲にわたり、津波による被害や放射能関連の相談が多く寄せられたため、相談の内容は非常に多岐にわたるものとなりました。
- (2)東日本大震災と熊本地震との共通点
- 「国内パックツアー」、「募金」、「火災保険」、給湯器の転倒トラブルに関する相談、被災地以外における、「点検商法」や震災に便乗した「ファンド型投資商品」の詐欺的勧誘に関する相談が、東日本大震災に続き熊本地震でも寄せられています。
主な相談事例
被災地(13事例)
全体の約6割を占めた住宅関係の相談の他、「火災保険」、「他の行政サービス」、「給湯システム」に関する相談について紹介します。
被災地以外(13事例)
点検商法を主な内容とする住宅関係の相談、期間の経過と共に増加している「老人ホーム」等の詐欺的トラブルに関する相談、募金や被災地救済をうたったもの、地震発生直後に複数寄せられた「旅行」に関する相談、投資関係の相談、震災に便乗したものと思われる不審な電話に関する相談について紹介します。
まとめ
相談の件数の推移
時間がたつにつれて徐々に減少傾向にありますが、約1年半を経過した現在でも一月に数十件の相談が寄せられています。
被災地における相談の傾向
相談の多くが住宅に関連するものとなりました。時間が経過するにつれ、「工事・建築」に関する相談の割合が増え、工事の内容や価格、遅れに関する相談が多くなりました。
被災地以外における相談の傾向
地震発生直後は、被災地への旅行に関する相談が上位を占めていましたが、その後、点検商法を主な内容とする「工事・建築」に関する相談が上位となります。他にも、「老人ホーム」の詐欺的勧誘や「ファンド型投資商品」など、被災者支援を名目とした悪質商法がみられます。
今後気をつけたいポイント
被災地で気をつけたいポイント
- (1)住宅等の修理、工事・建築
- 工事の内容や工期、価格についてしっかり確認し、契約を急がせる事業者には特に注意しましょう。
- (2)不動産貸借
- 可能な限り、契約前に物件を実際に見ると共に、日頃から物件の不具合についての相談先を確認しておきましょう。
全国的に気をつけたいポイント
- (1)点検商法
- その場で契約せず、別の事業者にも工事箇所や費用について確認をするとよいでしょう。
- (2)老人ホームや介護施設を口実とした電話
- 心当たりがない事業者からの、このような内容の話には応じないようにしましょう。
- (3)被災地支援をかたる不審な電話・メール
- 「話の内容が怪しい」「よく理解できない」と言った場合は、話に耳を傾けず、話に乗らないよう気をつけましょう。
不安なことや疑問があればすぐに相談しましょう
情報提供先
- 消費者庁 消費者政策課(法人番号5000012010024)
- 消費者庁 消費者教育・地方協力課(法人番号5000012010024)
- 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について