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[2023年11月13日:更新]

デジタル・プラットフォームに関するトラブル

 全国の消費生活センター等に寄せられる消費生活相談では、近年、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)やデータを活用して第三者に「場」を提供するデジタル・プラットフォームが介在する取引においてトラブルが発生しているケースが多くみられます。

 そこで、取引形態ごとにデジタル・プラットフォームに関する消費生活相談の概要を整理するとともに、相談事例を紹介します。


オンライン・ショッピング・モール

消費生活相談の概要

販売事業者の対応等

  • オンライン・ショッピング・モールに出店している販売事業者(店舗)で商品を注文したところ、「注文した商品が届かない」「注文したものとは別の商品が届いた」「商品のイメージが違う」「届いた商品に不具合がある」「商品を使用したところ事故が発生した」などのトラブルが発生しています。
  • トラブルが発生した場合、消費者が返金・返品・交換等を求めても販売事業者が対応しないケースがみられます。また、販売事業者に連絡しても返事がなかったり、サイト上に販売事業者の連絡先の表示がないため連絡が取れないケースもあります。

デジタル・プラットフォームの対応等

  • オンライン・ショッピング・モールの運営事業者は利用規約等において、トラブルが発生した場合は原則、消費者と販売事業者が直接交渉することとしており、トラブル解決に介入しないケースが多くみられます。
  • 消費者が販売事業者と連絡が取れない場合でも、運営事業者が販売事業者の連絡先を消費者に教えてくれない、運営事業者から販売事業者に連絡を取ってくれない、といったケースがあり、消費者にとってはトラブル解決が困難になっています。
  • 販売事業者による表示内容が実際の商品と異なる場合や、製品事故が発生した場合などでも、引き続き同様の表示・販売がされていることもあります。

相談事例

  • オンライン・ショッピング・モール内の店舗で、代金を前払いし商品を購入したが、商品が送られてこないまま店舗が破産してしまった。モールの運営事業者が補償制度を設けていたので補償を求めたが、適用対象外と言われた。
  • オンライン・ショッピング・モールで海外事業者から購入したヘッドホンから出火した。モール運営事業者から教えられた海外事業者のメールアドレスに連絡をしたが返信がない。モール運営事業者からは「当社に責任はない」と言われた。

インターネットオークション、オンライン・フリーマーケット

消費生活相談の概要

  • インターネットオークション、オンライン・フリーマーケットの出品者(個人)と購入者・落札者(個人)との個人間取引(C to C(Consumer to Consumerの略。消費者対消費者の取引のこと。))でトラブルが多く発生しています。
  • 購入者・落札者からは「商品が届かない」「壊れた商品・偽物等が届いた」、出品者からは「商品を送ったのに、商品が届かない等を理由に商品代金が支払われない・商品代金の返金を求められた」などの相談が寄せられています。「相手が脅迫めいたメッセージを送ってきた」など、当事者間のやりとりがエスカレートする事例もみられます。
  • インターネットオークションやオンライン・フリーマーケットの運営事業者は利用規約等において、トラブルが発生した場合は原則、当事者間で解決することとしていますが、当事者間での解決が困難な場合がみられます。当事者間で解決しなかった場合でも、原則介入しないとしている運営事業者もあり、利用者にとってはトラブル解決が困難になっているケースもあります。
  • 出品者が、トラブルとなった商品(表示と実際が異なるなど)を引き続き出品していることもあります。

相談事例

  • フリマサイトで匿名の出品者からブランドのパーカを約3万円で購入した。商品が届き受取評価をしたが、パーカに記載されていた事業者名が正規代理店名ではないことに気付き、偽物なのかと出品者に問い合わせたが連絡が取れなくなった。フリマサイト運営事業者に問い合わせたが、「当事者間で解決するように」と言われたが、相手が特定できず何もできなかった。
  • フリマアプリにブランドの腕時計を約5万円で出品し、買い手がついた。商品を送ったところ、購入者から偽物であったとフリマアプリ運営事業者に報告されたようで、保証書の提出を求められた。保証書を提出したが、認められず、強制的に取引をキャンセルされ、商品も手元に戻ってこない。

シェアリングエコノミー・プラットフォーム

消費生活相談の概要

民泊サービス

  • 宿泊予約サイトに掲載されている民泊サービスについて「民泊とは思わなかった」「キャンセルしたら宿泊料全額を請求された」「宿泊料の他に清掃料金を請求された」などの相談が寄せられています。民泊であることや、キャンセル規定、宿泊に必要な料金が記載されていても、「宿泊予約サイトの表示が確認しづらかった」という消費者からの申し出もみられます。
  • 「鍵の受け渡しができず、宿泊できなかった」「部屋が清掃されていなかった」など民泊サービスの提供が不十分な場合に、民泊サービス提供者や宿泊予約サイト運営事業者(デジタル・プラットフォーマー)に連絡しても、早急に対応されないケースもみられます。

スキルシェアリングサービス

  • スキルシェアリングサービスでは「表示どおりのスキル(役務等)が提供されない」「スキルの内容・質がイメージと異なる」などの相談が寄せられています。スキルシェアリングサービスの運営事業者は利用規約等において、トラブルが発生した場合は原則、当事者間で解決することとしていますが、当事者間での解決が困難な場合がみられます。当事者間で解決しなかった場合でも、原則介入しないとしている運営事業者もあり、利用者にとってはトラブル解決が困難になっているケースもあります。

相談事例

  • 宿泊予約サイトで予約した宿泊先が「○○ホテル」との表示だったが、マンションの部屋を貸し出す民泊であることがわかったのでキャンセルしたところ、宿泊料金全額をキャンセル料として請求された。民泊も扱っているのならわかりやすく表示してほしい。
  • 宿泊予約サイトで「アパートメント」という表示の宿泊先を予約した。宿泊予定の当日、指定されていた場所に宿泊先の鍵はなかった。予約仲介サイト運営事業者からは「キャンセルや不泊ではなく、宿主に返金を依頼する」と言われていたが、後日「宿主は料金を請求すると言っている」と連絡があった。
  • スキルを売買できるサイトでイラスト作成を依頼した。出品者は「3日で仕上げる」とのことだったが、納品されない。キャンセルを申し出ると「既に取り掛かっているのでキャンセルには応じられない」と断られた。サイト運営事業者には「当事者間で交渉して」と言われた。

検索サービス、SNS等

消費生活相談の概要

  • 検索サイトに表示されたリスティング広告(検索連動型広告)や検索結果、紹介サイト・比較サイト(旅行、修理、不要品回収、遺品整理、引っ越し、求人など)に掲載された情報、ニュースサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等の広告・書き込み・投稿、SNSを通じた連絡などをきっかけに、トラブルが発生しているケースがみられます。
  • サイトやSNS等の運営事業者は利用規約等において、トラブルが発生した場合は当事者間で解決する、コンテンツ等について責任を負わないなどとしており、トラブル解決が困難な場合がみられます。問題広告等に関して利用者からの通報手段を設けているものの、引き続き広告等が表示されているケースもあります。

相談事例

  • 検索サイトで「ラグビーワールドカップ」と検索し、一番上位に掲載されたサイトを「公式サイト」と思い購入したところ、2枚合計で約23万円と高額だった。不審に思って調べたところ、購入したサイトは海外のチケット転売仲介サイトだった。また、チケット転売仲介サイトで購入したチケットでは入場できないこともわかった。
  • 遺品整理事業者の比較サイトをみて、申し込んだ事業者が、作業の途中で帰ってしまった。連絡が来ないので電話をしたが、電話番号が使われていないとのアナウンスになった。比較サイトに苦情を伝えると「調べる」と言われたが、返事がない。
  • 求人サイトで「在宅で稼げる。返金保証」という求人を見つけ、店舗で「パソコンがあればいつでもどこでもできる」「最初に50万円が必要だが2〜3カ月で取り戻せる」「稼げなかったら返金する」と説明され情報商材を契約したが、1カ月たっても利益が得られないし返金もされない。
  • SNSで知り合った女性から「ぜひ会いたい」と連絡があり、紹介された出会い系サイトに登録した。「メールアドレスを交換して直接やりとりしたい」「費用は後で支払うので、立て替えてほしい」と言われ20万円を支払ったが、まだアドレス交換ができない。

デジタル・プラットフォームに関する消費生活相談の特徴

  • デジタル・プラットフォームの運営事業者による販売事業者等や商品・サービス、その広告・表示内容等に対する事前チェックに問題があるケースがみられます。
  • 補償サービスの提供・適用、利用当事者間でトラブルが解決しない場合の介入・解決支援、商品・サービスの取り扱い中止や広告・表示内容の改善など消費者トラブル発生時の対応において、デジタル・プラットフォームの運営事業者に問題があるケースがみられます。
  • 海外のデジタル・プラットフォームの運営事業者のなかには、日本語対応の消費者窓口がない、日本の法律(消費者保護ルール)にのっとった対応がされないといった場合があり、トラブル解決がより困難なケースがあります。

アドバイス

  • デジタル・プラットフォームの利用に当たっては、利用規約(トラブル発生時の運営事業者の対応など)や禁止行為、トラブルが発生した場合の補償制度などをよく確認・理解した上で利用しましょう。
  • 利用当事者間でトラブルが発生した場合、その解決は当事者間で図ることが求められているケースがあります。当事者間で話し合っても、デジタル・プラットフォームの運営事業者に相談しても交渉が進まない場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
  • *「消費者ホットライン 局番なしの188(いやや)番」をご利用ください。最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

取引デジタルプラットフォームに対する販売事業者情報の開示請求等

  • 「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(取引デジタルプラットフォーム消費者保護法)」が2022年5月1日から施行されました。
  • この法律により、販売事業者の連絡先が分からなかったり、連絡してもつながらなかったりする場合に、消費者がデジタル・プラットフォームの運営事業者に対して、販売業者の電話番号やメールアドレスなどの情報の開示を請求できるようになりました。
  • 開示請求とは別に、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益が害されるおそれがある場合に、消費者から内閣総理大臣(消費者庁)に申し出ることもできます。

参考情報

国民生活センターホームページの関連情報

発表情報