[2021年9月2日:公表]
家電から出る蒸気による乳幼児のやけどにご注意!−炊飯器、ポット、ケトル、加湿器(スチーム式)について−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
家電の中には稼働の際、高温の蒸気が出るものがあります。日常的に使用するものとしては、電気炊飯器、電気ポット、電気ケトル、加湿器(スチーム式)等があります。もし、これらから出る高温の蒸気に触れてしまった場合、やけどを負う可能性が高く、大変危険です。特に乳幼児は、大人より皮膚が薄いため、やけどのダメージが皮膚の奥深くにまで及び、重傷化します。また、コロナ禍の中で家庭内で過ごす時間が増え、電気炊飯器等、これらの家電を利用する機会や頻度も高くなっているものと考えられます。
「医療機関ネットワーク」には、2016年度以降の5年あまりの間に、電気炊飯器、電気ポットや電気ケトル、加湿器(スチーム式)の蒸気により乳幼児(0〜5歳)がやけどを負った事故情報が56件*1 寄せられています。また、2021年2月には「医師からの事故情報受付窓口」に加湿器(スチーム式)の蒸気によって植皮手術が必要となるようなⅢ度*2 の重篤なやけどを負ったという事故情報も寄せられました。
そこで、現在販売されている、これらの家電について、蒸気が完全に出ないことや、出る蒸気の温度や量を低減していることをうたったものを含め、それぞれから出る蒸気等の温度を調べるとともに、消費者へのアンケート調査により、各家電の使用環境ややけどの発生状況等を把握し、家電から出る蒸気によるやけどを防止するための留意点などについてとりまとめ、消費者へ情報提供することとしました。
- *1:2016年4月〜2021年6月末日までの伝送分。件数は本公表のために特別に精査したものです。
- *2:やけどは深さによって、大きく分けるとⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分類されます。Ⅰ度は表皮まで、Ⅱ度は真皮まで、Ⅲ度は皮下組織まで傷害が及んだものです。
動画【YouTube】
テスト結果等
消費者へのアンケート調査
- 約1割の人が、乳幼児がやけどをしたもしくは、やけどをしそうになった経験がありました
- 約4割の人が、家電から出る蒸気によって乳幼児がやけどすることを想定していませんでした
- 乳幼児がやけどをしていない人は、乳幼児がやけどをした人よりも家電の設置位置を高くしている傾向がみられました
- 各家電について、7割前後の人が家電からの高温蒸気への対策機能が付いたものがあることを知りませんでした
- 7割以上の人が高温蒸気によるやけどの危険を回避するためには、乳幼児の手の届かないところに家電を設置するべきだったと回答しました
- 高温蒸気でのやけどを防止するために、6割以上の人が蒸気を出さない家電を望んでいました
蒸気温度の調査
- 高温蒸気への対策機能を表示していた電気炊飯器と表示していないものとでは、蒸気口付近の温度に60℃以上の差がありました
- 高温蒸気への対策機能を表示していた電気ポットと表示していないものとでは、蒸気口付近の温度に60℃以上の差がありました
- 高温蒸気への対策機能を表示していた電気ケトルと表示していないものとでは、注ぎ口近辺の温度に60℃以上の差がありました
- 高温蒸気への対策機能を表示していた加湿器(スチーム式)と表示していないものとでは、蒸気口付近の温度に30℃近くの差がありました
写真.電気ポットから出る蒸気の温度分布状況(対策機能表示なし)
注意表示の調査
- すべての銘柄の取扱説明書には、蒸気によるやけどに対する注意表示がありました
消費者へのアドバイス
- 電気炊飯器、電気ポット、電気ケトル、加湿器(スチーム式)から出る蒸気は、数秒触れただけでやけどを負うおそれがあります。乳幼児が蒸気に触れることがない位置に設置するなど、十分注意しましょう
- 電気炊飯器、電気ポット、電気ケトル、加湿器(スチーム式)を購入する際には、蒸気によるやけどを防止するため、高温蒸気への対策機能を表示したものを積極的に検討しましょう
業界・事業者への要望
- 電気炊飯器、電気ポット、電気ケトル、加湿器(スチーム式)から出る蒸気の危険性や、乳幼児のやけどを防止するための設置方法等について、消費者への分かりやすく具体的な説明表示を要望します
- 高温蒸気への対策機能について、消費者と販売事業者への周知を要望します
- 高温蒸気への対策機能が付いた商品について、より一層の普及を要望します
行政への要望
- 高温蒸気の危険性と事故防止対策について、特に乳幼児の保護者への周知啓発を要望します
- 電気炊飯器、電気ポット、電気ケトル、加湿器(スチーム式)を製造している事業者に対し、高温の蒸気の危険性について取扱説明書や本体にこれまで以上に目につきやすく、分かりやすい表示をするよう働きかけることを要望します
要望先
- 消費者庁(法人番号5000012010024)
- 経済産業省(法人番号4000012090001)
- 一般社団法人日本電機工業会(法人番号8010005016727)
情報提供先
- 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
- 特定非営利活動法人Safe Kids Japan(法人番号5010905002878)
- 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
- 一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
- 大手家電流通協会(法人番号なし)
- アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
- ヤフー株式会社(法人番号3010001200818)
- 楽天グループ株式会社(法人番号9010701020592)
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
[報告書本文] 家電から出る蒸気による乳幼児のやけどにご注意!−炊飯器、ポット、ケトル、加湿器(スチーム式)について−[PDF形式](1.9MB)
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