引っ越しで家具に傷がついた!
質問
引っ越し後、テーブルに傷がついていることに気づきました。事業者に修理代を負担してほしいと伝えましたが、数週間経過していることを理由に断られました。家具の破損は、引っ越し後どのくらいの期間内に申し出る必要がありますか。
回答
引っ越しの契約では、現在多くの事業者が、国が定めた標準引越運送約款(以下、標準約款)を使用しており、一部の事業者は国土交通大臣の認可を得た事業者独自の約款を使用しています。
標準約款では、引っ越しによる家具の破損について消費者が申し出る期間は引っ越し荷物を受け取った日から3カ月以内とされています。約款の記載を確認し、もし事業者の対応が約款と異なることがあれば、早めに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
解説
引っ越しの契約には、国が定めた標準約款か国土交通大臣の認可を得た事業者独自の約款が使用され、引っ越しが原因で荷物が破損した際の対応を含め、契約内容は原則、契約した際の約款の記載に従うことになります。
事業者の責任について
標準約款では、引っ越し荷物の紛失・破損について、荷物の欠陥や天災など事業者が責任を免除される事由を定めたうえで、事業者が作業に落ち度がなかったことを証明できない場合は損害賠償責任を負うこととされています。
荷物の一部紛失や破損の場合、利用者が事業者に申し出る期間は、引っ越し荷物を受け取った日から3カ月以内で、申し出がない場合は事業者の責任も3カ月でなくなります。申し出があった場合の事業者の責任は、引っ越し荷物を受け取った日から1年を経過した時は時効により消滅するとされています。(注)
- (注)荷物の全部紛失や、事業者が荷物の損害を知っていながら荷物を引き渡した場合は、3カ月以内の申し出は不要です。また、事業者が荷物の損害を知っていて利用者に告げなかった場合には、1年の時効が適用されなくなります。
トラブルを防ぐために
梱包を行う際は、壊れやすい物は梱包材や新聞紙でしっかり梱包したうえで、壊れやすい物とわかるように明記しておきましょう。また、データが破損する可能性のある機器類については必ずバックアップを取っておきましょう。
なお引っ越し作業日から時間がたつと、荷物の破損などの原因が引っ越し作業によるものかわからなくなる可能性があります。作業終了後、速やかに荷物の紛失や破損、エアコンなど機器類の動作を確認し、問題があれば早急に事業者に連絡しましょう。
壁や床の破損について
標準約款では、引っ越し荷物以外の家屋の破損等についても、事業者が作業に落ち度がなかったことを証明できない場合は損害賠償責任を負うこととされています。引っ越し作業により床や壁が傷つけられた場合は事業者に損害賠償を求めることができますが、原則は修理等による現状復旧の範囲での対応になります。
引っ越し作業前の状態を写真などで記録しておき、作業終了後、問題がないか速やかに確認しましょう。時間がたつとどちらがつけた傷かわからなくなり、引っ越しによってついた傷であることの証明が難しくなるため、できるだけ早く申し出ましょう。
お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
参考
- かしこい引越〜上手な引越のために知っておきたいこと〜(公益社団法人 全日本トラック協会)[PDF形式]
- 引越サービス
- 消費税アップによる駆け込み需要でより混雑する?引っ越しサービスに関するトラブルを防ぐために
- 引っ越しをキャンセルしたら、契約の際に渡された段ボールの返送料を請求された
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