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[2022年4月21日:更新]
[2022年2月17日:公表]

マグネットパズルの破損に注意−内蔵された強力な磁石を誤飲した幼児の胃や腸に穴があく事故が発生−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 2020年11月、国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」(以下、「ドクターメール箱」とします。)に、「マグネットパズルが破損し、内蔵されていた磁石を幼児が複数個誤飲したため磁石が腸管壁を隔ててつながり、手術を要した。」という事故情報が寄せられました。また、2021年10月にも類似のマグネットパズルが破損し、内蔵されていた磁石を2個誤飲したため手術を行ったという事故情報が寄せられました。

 これらの商品は、いずれも強力なネオジム磁石を内蔵した、三角形や四角形などの枠状のパーツ同士を磁力により組み合わせ、平面や立体を造形することができる玩具(本資料では、これらを総称して「マグネットパズル」とします。)でした。

 国民生活センターでは2018年4月19日に、小さなネオジム磁石そのものを複数個組み合わせて使うマグネットボールの誤飲事故について注意喚起(注)を行っています。マグネットパズルは構造や大きさが異なりますが、破損により内蔵されたネオジム磁石が外部に出て、同様の事故が発生していることから、事故の再発防止のため、消費者に注意喚起することとしました。

マグネットパズルとは

  • 2枚の枠状の樹脂製パーツの中に複数個のネオジム磁石が内蔵された構造になっています
  • 内蔵されているネオジム磁石は円柱状で、円周方向に回転できるようになっており、別のパーツが近づくとネオジム磁石が回転してS極とN極が引き合い、パーツ同士が組み合わさるというものです
  • さまざまな形状をした枠状のパーツを複数組み合わせることで自由に平面や立体を造形することができるため、幼児や児童の知育玩具として普及しており、類似した形状、大きさの商品が複数の事業者から販売されています
  • マグネットパズルのような磁石を内蔵した玩具の安全性については、玩具の安全基準である一般社団法人日本玩具協会のST基準のほか、EN規格、ASTM規格で機械的強度が規定されており、これらの表示がある商品は一定の安全性が確保されていると考えられます

写真1.マグネットパズルの外観と内蔵されているネオジム磁石
商品の外観と取り出したネオジム磁石の写真

ドクターメール箱に寄せられた事故情報

 ドクターメール箱に寄せられたマグネットパズルに関する事故情報は、いずれも溶着されている枠状のパーツが分離するように破損し、外部に出た複数個のネオジム磁石を誤飲したと考えられるものでした。

【事例1】
3個の磁石を誤飲し、胃及び腸管壁を穿孔(せんこう)
【事例2】
2個の磁石を誤飲し、腸管壁を穿孔

写真2.ネオジム磁石が腸管壁を穿孔している様子(イメージ)
胃や小腸のイラストと誤飲したネオジム磁石が腸管壁に穴をあけているイメージ図

事故関連品の外観観察

  • 実際にご家庭で使用されているものの中には破損が大きいものがあり、使用を続けた場合にネオジム磁石が外部に出る可能性がありました

テスト結果

取り出したネオジム磁石の磁束指数

  • 内蔵されているネオジム磁石には強い磁力があり、万一、マグネットパズルから外部に出たものを複数個誤飲した場合には、消化管を穿孔する危険性がありました

表示の調査

  • マグネットパズルに内蔵されたネオジム磁石を誤飲した場合の危険性についての記載があるものは7銘柄中3銘柄でした
  • マグネットパズルを定期的に確認する旨や破損した際の注意事項に関する記載がみられたものは1銘柄のみでした

消費者へのアドバイス

  • マグネットパズルの破損によりネオジム磁石を誤飲し、腸管壁等を穿孔する事故が発生しています。誤飲事故防止のため、マグネットパズルを子どもに使用させる際は、破損がないことを確認しましょう
  • 万一、ネオジム磁石を誤飲した可能性がある場合には、直ちに医師の診察を受けましょう
  • 誤飲事故防止のため、対象年齢を確認し、対象年齢未満の子どもが触ってしまわないよう留意しましょう

業界・事業者への要望

  • マグネットパズルに破損がないことを確認する旨の明示と、内蔵されているネオジム磁石を誤飲した場合の危険性について、さらなる周知徹底を要望します

インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼

  • 消費者及び出品者に対し、マグネットパズルが破損した場合、内蔵されているネオジム磁石が外部に出て誤飲事故を招く危険性があることについて、注意喚起の協力を依頼します

行政への要望

  • マグネットパズルに内蔵されているネオジム磁石の誤飲事故の再発防止のため、消費者へより一層の注意喚起、啓発を行うよう要望します
  • マグネットパズルに内蔵されているネオジム磁石の誤飲事故の再発防止のため、注意喚起、啓発の実施を事業者へはたらきかけるよう要望します

要望先

  • 消費者庁(法人番号5000012010024)
  • 経済産業省(法人番号4000012090001)
  • 一般社団法人日本玩具協会(法人番号6010605000017)

協力依頼先

  • アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
  • ヤフー株式会社(法人番号3010001200818)
  • 楽天グループ株式会社(法人番号9010701020592)

情報提供先

  • 内閣府(法人番号2000012010019)
  • 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
  • 文部科学省(法人番号7000012060001)
  • 厚生労働省(法人番号6000012070001)
  • 公益社団法人日本小児科学会(法人番号5010005018346)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
  • 日本チェーンストア協会
  • 特定非営利活動法人Safe Kids Japan(法人番号5010905002878)

業界の対応 ※2022年4月21日 追加

「一般社団法人日本玩具協会」より

 当会理事会にて「マグネットパズルへの対応措置」を決定しました。これに基づいて、当会ウェブサイトの「STマーク使用許諾契約企業向けサイト」の「お知らせ」に≪ST制度での「小型強力磁石を内蔵したマグネットパズル(枠状のもの)」の取扱いについて≫を掲載するとともに、当該内容を電子メール又はファクシミリによって当会会員及びSTマーク使用許諾契約企業に周知しました。


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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