「令和元年秋台風」で寄せられた消費生活相談情報−台風15号の発生から台風19号上陸2カ月後までの全国の相談の推移−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
2019年9月に発生した台風15号、10月に発生した台風19号と、その後の一連の大雨等(以下、令和元年秋台風)に関連する消費生活相談が、全国の消費生活センター等および国民生活センターに寄せられています。今回、台風19号の上陸から2カ月である12月12日を区切りとして、どのような相談が寄せられたかについてとりまとめ、情報提供します。
相談の概要
相談件数
PIO-NETでは、台風15号が発生した2019年9月5日以降に寄せられた、令和元年秋台風に関連した相談は、2019年12月12日までの99日間で4,337件となっています。
7日ごとに分けてみると、台風15号発生後の9月5日〜10月9日までは300件前後で推移し、台風19号が上陸した10月12日を含む、10月10日〜16日までの期間には、前週の2倍以上の相談が寄せられました。それ以降、相談は減少傾向にあります。
図.7日間ごとの相談受付件数と累積件数の推移
9月5日〜9月11日までの相談受付件数は279件で9月11日までの累積件数は279件(9月5日に台風15号発生)、9月12日〜9月18日までの相談受付件数は375件で9月18日までの累積件数は654件、9月19日〜9月25日までの相談受付件数は362件で9月25日までの累積件数は1,016件、9月26日〜10月2日までの相談受付件数は302件で10月2日までの累積件数は1,318件、10月3日〜10月9日までの相談受付件数は267件で10月9日までの累積件数は1,585件、10月10日〜10月16日までの相談受付件数は547件で10月16日までの累積件数は2,132件(10月12日に台風19号上陸)、10月17日〜10月23日までの相談受付件数は492件で10月23日までの累積件数は2,624件、10月24日〜10月30日までの相談受付件数は417件で10月30日までの累積件数は3,041件、10月31日〜11月6日までの相談受付件数は278件で11月6日までの累積件数は3,319件、11月7日〜11月13日までの相談受付件数は323件で11月13日までの累積件数は3,642件、11月14日〜11月20日までの相談受付件数は230件で11月20日までの累積件数は3,872件、11月21日〜11月27日までの相談受付件数は185件で11月27日までの累積件数は4,057件、11月28日〜12月4日までの相談受付件数は147件で12月4日までの累積件数は4,204件、12月5日〜12月11日までの相談受付件数は110件で12月11日までの累積件数は4,314件、12月12日の相談受付件数は23件で12月12日までの累積件数は4,337件です。
契約当事者の属性(不明・無回答等を除く)
契約当事者の年代別割合を見ると、60歳以上からの相談が54.5%と半分以上を占めています。職業別割合では、給与生活者が最も多く、次いで無職からの相談が多くなっています。また、都道府県別割合では、千葉県25.6%、神奈川県16.9%、東京都15.9%の順に多くなっています。その他、福島県や栃木県など、台風により被災した地域を中心に、全国から相談が寄せられました。
主な相談事例
台風に便乗した悪質商法に関する相談
- 【事例1】
- 屋根の修理工事を勧められた際、火災保険申請代行の勧誘を受け申し込んだが、クーリング・オフしたい
- 【事例2】
- 訪問業者から「台風がもうすぐ来るのですぐ工事をしないと危険だ」と急かされた
- 【事例3】
- 電力会社の社長をかたる詐欺的なメールが届いた
- 【事例4】
- 介護施設の入居権を被災者に譲るために必要として高額な請求を受けた
台風により損壊・浸水した住宅や自動車、ライフラインに関係する相談
- 【事例5】
- 台風15号の影響で停電が続き、電気製品が使えず困っている
- 【事例6】
- 台風15号の被害で電話とインターネットが利用できない状態が続いている
- 【事例7】
- 台風15号で車庫の屋根が破損した。火災保険の契約書には家屋以外は適用外と書かれているがそのような説明を受けた覚えはない
- 【事例8】
- 台風15号で被災し、自宅の屋根を修理してもらったが台風19号で同じ箇所が破損した
- 【事例9】
- 修理中の車が台風19号の影響で水没したが、自然災害なので補償は無いと言われた
- 【事例10】
- 台風15号で賃貸アパートが雨漏りしたが、管理会社が処置をしなかった。さらに台風19号、21号とその後の大雨によりカビ等が発生・拡大し、子どもに健康被害が出ている
その他台風に関連して寄せられた相談
- 【事例11】
- 交通手段がなく旅館の宿泊予約を解約したらキャンセル料を請求され納得できない
まとめ
台風を口実にした悪質商法や、度重なる台風が原因のトラブルに関する相談が寄せられた
「保険金が使える」と言って住宅修理を勧誘したり、台風15号の被害が大きかったことを受け、その後の台風の上陸前に、消費者の不安をあおり契約を急かすようなセールストークを用いる事業者の相談が見られました。また、電力会社をかたる詐欺的なメールや、介護施設の入居権を被災者に譲るという電話があり、高額な請求を受けたという相談も寄せられました。
さらに、短期間に台風が続けて上陸したことにより、台風15号の後に修理した住宅が台風19号で再び損壊してしまったという相談や、住宅の修繕がなされず、居住環境が悪化したことにより健康被害が発生したという相談も寄せられました。
台風15号では、暴風による停電や、住宅の損壊に関する相談が寄せられた
台風15号の発生から上陸までの期間では、関東圏で大規模な停電が起こったことに伴う相談が見られました。また、停電から復旧したあとも、電力や通信サービスなどのライフラインに関する相談が目立ちました。
台風15号の上陸後は、暴風により住宅の屋根が損壊し、それに伴う修繕工事や修理、保険金の申請に関する相談が多数寄せられました。
台風19号では、大雨による住宅・自動車の浸水に関する相談が寄せられた
台風19号の発生から上陸までの期間では、予定していた旅行や宿泊施設のキャンセル等に関する相談が目立ちました。この背景には、台風19号が上陸した10月12日から10月14日までの3日間が連休にあたり、旅行等のレジャーを予定していた消費者が多くいたことが考えられます。
台風19号の上陸後は、大雨による住宅の浸水被害に関する相談が多く寄せられ、また自動車の水没に関する相談も寄せられました。台風15号は暴風による被害が顕著であったのに対し、台風19号は長時間の大雨による被害が大きかったことがうかがえます。
消費者へのアドバイス
住宅修理工事に関するトラブルや悪質商法には引き続き十分な注意が必要
住宅の修理などの工事をする際は、可能な限り複数の業者から見積もりを取って比較検討し、工事内容や価格に関して不明な点があれば、事業者に確認したり、周囲に相談したりした上で、契約するようにしましょう。また、台風に便乗した悪質商法は、今後も全国的に発生するおそれがありますので注意が必要です。
不安に思った場合やトラブルになった場合は早めに消費生活センター等に相談すること
- 消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。 - 国民生活センター「お昼の消費生活相談窓口」(03-3446-0999:平日11時〜13時)
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
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