取っ手が破損した圧力鍋(相談解決のためのテストからNo.190)
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
依頼内容
「圧力鍋の取っ手を持って移動中に取っ手が破損し、中身がこぼれてやけどした。破損した原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
調査
当該品はおもり式家庭用圧力鍋で、安全基準を満たしていることを示すPSCマークやSGマークが貼付された商品でした。破損した取っ手は樹脂製であり、当該品は20年以上前に製造された商品でした。当該品の本体には、破損した取っ手の付け根が残存しており、ねじ止め部分から破断していました。また、取っ手は、表側に変色や変質が見られ、裏側では本体との接触部付近に破断した痕が見られました。
破損していた取っ手の材質についてフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて調査したところ、分析結果からは劣化に伴う特徴的なピークの検出が顕著に見られました。
取っ手の破断面は、汚れが付着していない部分とわずかに汚れが付着している部分が見られ、本体側に残存していたねじ止め部分の破断面にも汚れの付着が見られました。このことから、当該品は亀裂が生じた状態で、ある程度の期間使用されていたものと推察されました。なお、起点と推察される部分においては、強度を低下させるような空隙などの製造上の異常は見られませんでした。
以上のことから、当該品の取っ手は、本体と固定するねじ止め部分に亀裂が発生し、その状態で使用し続けたため、亀裂が進展し、最終的に破断に至った可能性が考えられました。取っ手には熱によるものと思われる著しい変色や変質もみられ、材料自体にも顕著な劣化の兆候がみられたことから、20年を超える長期の使用過程を経て強度が著しく低下していた可能性が考えられました。
消費者へのアドバイス
圧力鍋などの樹脂製の取っ手は、使用に伴う劣化によって強度が低下し、破損する危険性があります。また、意図せず取っ手に火の熱が加わるなどして劣化を早める可能性もあります。取扱説明書に従って使用、手入れを行うとともに、がたつき・変色・変質等の異常がみられるものは、買い替えも検討しましょう。
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
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