瞬間接着剤の使用によるやけどに注意−つけ爪用接着剤にも使用されています−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
2023年11月、PIO-NETに、つけ爪用接着剤が手指に垂れ、ティッシュペーパーで拭き取ったところ、Ⅱ度のやけどを負い、1カ月以上の通院を要するとの診断を受けたという事例が寄せられました。
つけ爪やモノを短時間で接着させるために用いられる瞬間接着剤の主成分には、一般的にシアノアクリレート系の物質が使用されています。シアノアクリレート系の物質は、空気中や接着面の水分と反応して重合し硬化する際に反応熱が発生します。特に、ティッシュペーパーや布などに染みこんで表面積が拡大すると、化学反応が急激に進み大きな反応熱が発生することがあり、その部分に触れるとやけどをするおそれがあります。
PIO-NETには、2019年度以降に瞬間接着剤によりやけど等をしたという危害情報が、冒頭の事例も含め7件寄せられています。また、2024年5月には、大阪府において、子どもにつけ爪用接着剤がかかりやけどをしたという事故も報道されています。
そこで、モノ同士を接着する用途の瞬間接着剤6銘柄及びつけ爪用接着剤6銘柄について、事故の再現テスト等を行い、使用する際の注意点について、消費者へ注意喚起することとしました。
動画【YouTube】
PIO-NETに寄せられた相談
- 店舗で購入したつけ爪用瞬間接着剤を親指の爪につけたところ、手のひら側に垂れ、ティッシュペーパーで拭き取ったところ、やけどをした。皮ふ科を受診したところⅡ度の熱傷で1カ月以上の通院を要すると診断を受けた。商品の使用方法を熟読したが、使い方によってはやけどを起こすなどの表示はなかった。
- 瞬間接着剤を使用した際に少しこぼれてしまったので、近くにあったティッシュペーパーで拭ったところ火がついたように熱くなり、手からはがしたところ、指がえぐれてしまった。
テスト結果
再現テスト
- ティッシュペーパーや衣類などに染みこませた場合、最高170℃近くまで温度が上昇しました。
- 瞬間接着剤は、すぐに硬化するため、発熱時には、接着部分を容易にはがすことができませんでした。
表示の調査
- つけ爪用接着剤には、発熱に関する注意表示がみられない銘柄もありました。
- つけ爪用接着剤は家庭用品品質表示法の対象外ですが、同法で定める項目が全て表示されていると考えられたのは6銘柄中1銘柄でした。
消費者へのアドバイス
- 瞬間接着剤はティッシュペーパーや衣類などの染みこみやすい繊維質のものに染みこむと短時間で発熱し、やけどをする場合があるので注意しましょう。
- 使用中に誤って付着させた場合の対処方法を覚えておきましょう。
- 使用前には商品の表示や取扱説明書を読み、ポリエチレン手袋を装着して扱いましょう。
啓発資料
業界、事業者への要望
- 瞬間接着剤を誤って付着させた場合の対処方法について、引き続き消費者への周知・啓発を行うことを要望します。
- シアノアクリレート系の物質を含む接着剤については、用途によらず、成分名及び発熱に関する取扱い上の注意を表示するよう要望します。
行政への要望
- モノ用接着剤やつけ爪用接着剤によるやけどについて、引き続き事故情報を注視するとともに、消費者への注意喚起を続けるよう要望します。
- つけ爪用接着剤についても、発熱の危険性があることから、成分名及び注意表示をするよう業界への指導等を要望します。
要望先
- 消費者庁(法人番号5000012010024)
- 経済産業省(法人番号4000012090001)
- 日本接着剤工業会(法人番号なし)
情報提供先
- 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
- こども家庭庁(法人番号7000012010039)
- 厚生労働省(法人番号6000012070001)
- 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
- 公益社団法人日本皮膚科学会(法人番号4010005004396)
- 一般社団法人SSCI-Net(法人番号8180005016710)
- 一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
- オンラインマーケットプレイス協議会(法人番号なし)
- 日本チェーンストア協会(法人番号なし)
- 日本臨床皮膚科医会(法人番号なし)
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
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