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[2022年12月28日:更新]
[2022年12月21日:公表]

マスクのノーズフィットによる顔などへの傷害にご注意

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 マスクは、花粉や粉じんなどの微粒子、インフルエンザなどの感染症の原因であるウイルス吸入を物理的に遮断するためのものとして広く用いられており、近年では新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、日常生活での必需品となっています。

 今年度に入り、子どもが不織布マスクを使用したところ、鼻の近くに擦り傷を負ったという事故が発生し、消費生活センターからの依頼を受けてテストしました。鼻付近でマスクを顔の形に隙間なくフィットさせ、それを維持するための「ノーズフィット」(「ノーズワイヤー」、「ノーズフィッター」とも呼ばれます。)に使われている金属製のワイヤーの端部がマスクの不織布を突き破り、顔を傷つけたものと考えられました。なお、同様の事故は過去にも起こっており、当センターでは結果を公表しています。

 PIO-NETには、2017年度以降の5年半あまりにマスクのノーズフィットでけがをした、あるいはそのおそれがあったとする相談が25件あり、中には、ノーズフィットの先端が目に入ったという事例もありました。

 そこで、市販されている一般用の不織布マスク25銘柄のノーズフィットについて、形状や材質、表示等を調べ、消費者に情報提供することとしました。

図.不織布マスクの構造
不織布マスクの構造を表した図。耳ひもがついている不織布マスク上端部がノーズフィットとなっている。

PIO-NETに寄せられた相談

  • ノーズフィットの端で子どもが目の下にけがをした。
  • マスクを捨てる際に丸めたところ、鼻部分の針金が出てけがをするところだった。
  • マスクから出ていたワイヤーが眼に入った。
  • マスクを着用したらワイヤーが外れた。

消費生活センターの依頼により実施した商品テスト事例

 消費生活センターから依頼を受け商品を調査したところ、金属製のワイヤーが使われているノーズフィットの端部が不織布から飛び出した状態であったため、着用のためノーズフィットを変形させたことで、端部が飛び出し、顔に接触して擦り傷を負ったものと考えられました。

写真1.使用済みの当該品の外観
使用済みのマスクの外観を表した2枚の写真。左側はノーズフィットの端部が不織布を貫通している様子を、右側はノーズフィット端部を拡大したもので樹脂部分から金属部分が突出している様子を表している。

テスト結果

ノーズフィットの材質や構造等

  • 樹脂製、金属製のノーズフィットの端部は尖っており、金属製のワイヤーを樹脂で覆ったものでは端部からワイヤーの鋭い末端が露出していました。

写真2.ノーズフィットの端部
ノーズフィットの端部を拡大した3種類の素材別の写真。樹脂製と金属製のノーズフィットの端部は尖っている。金属製のワイヤーを樹脂で覆ったノーズフィットは、樹脂の中央にワイヤーがあるものと、樹脂の端にそれぞれワイヤーがあるものの2つがあり、いずれも端部からワイヤーの鋭い末端が露出している。

  • ノーズフィットを固定している不織布は、表側、裏側で枚数が異なるものがあり、中には顔に接する側が1枚のものもありました。
  • 顔に接する側の不織布の枚数が少ないほど、マスクのノーズフィットが顔などを傷つける可能性が高いと考えられました。

マスクの使用を想定したテスト

 マスクを縦に半分に折りたたむ操作を繰り返したところ、ノーズフィットの端部が不織布を貫通したり、不織布が剥がれてノーズフィットが露出するものがありました。

ノーズフィットの材質に係る表示

  • ノーズフィットに金属が使われているものでは、材質表示に金属の記載がないものや、ノーズフィットの材質表示自体がないものもありました。
  • ノーズフィット端部の尖った部分によりけがをする可能性があることを使用上の注意等に記載しているものはありませんでした。

消費者へのアドバイス

  • 不織布マスクのノーズフィットの材質や形状、マスクの構造によっては、ノーズフィットの端部により皮膚や眼を傷つけることがあります。マスクを着用する際や着用中に調整する際には、ノーズフィットの端部をよく確認しましょう。
  • マスクを着け外しする際や廃棄するときなどにノーズフィットを折り曲げるときには、ノーズフィットの端部の鋭く尖った部分が不織布を貫通したり、突き出したりすることにより、それに触れやすくなりますので、取扱いには注意しましょう。

啓発資料

業界・事業者への要望

  • 不織布マスクのノーズフィットの端部が不織布を貫通したり、突き出たり、不織布の剥がれにより露出することがあるものでは、皮膚や眼を傷つける可能性があります。構造や材質等、設計の見直しによる改善を要望します。
  • 不織布マスクのノーズフィットでけがをする可能性を注意表示に記載するよう要望します。

要望先

  • 一般社団法人日本衛生材料工業連合会(法人番号7010405004332)

情報提供先

  • 消費者庁(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
  • 厚生労働省(法人番号6000012070001)
  • 経済産業省(法人番号4000012090001)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
  • 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(法人番号1010405018940)
  • 一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
  • 日本チェーンストア協会(法人番号なし)
  • オンラインマーケットプレイス協議会(法人番号なし)

業界の対応 ※2022年12月28日 追加


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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