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[2022年12月7日:公表]

シリカやケイ素を摂取できるとうたった飲料、健康食品等に関する調査−ケイ素の摂取は美容や健康に良い?−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 「シリカ」はケイ素を構成元素として含んだ物質で、「シリカ」または「ケイ素」を多く含むとされるペットボトル入りの飲料水や健康食品、水に入れて「シリカ」または「ケイ素」を多く含む水ができるというスティックなどの商品が、美容や健康に良いとうたわれて販売されています。

 ケイ素は、市販の飲料水や水道水をはじめ、多くの食品にも含まれている元素で、普段の食生活で意識せずに摂取しています。人の骨や髪、皮膚などを構成している元素のひとつですが、現時点では一日当たりに摂取が必要なケイ素の量は明確にはなっておらず、美容や健康増進などに対する具体的な有効性については、必ずしも明らかにはなっていません。2022年6月には、ケイ素に関連して合理的な根拠なくさまざまな効果を広告したとして、消費者庁により景品表示法に係る措置命令が行われるという事例がありました(注)

 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)には、シリカまたはケイ素を含む飲料水や健康食品等に関する相談が、2017年度からの過去5年半で429件寄せられており(2022年9月30日までの登録分)、中には「子どものアトピーに効くとの体験談を信じてケイ素水をネット通販で購入したが、効果がない。」、「ケイ素のパウダーを飲み続けているが、何の効果もない。このまま飲み続けていても大丈夫なのか。」といった、有効性や安全性に関する相談も寄せられています。

 そこで、シリカやケイ素を多く摂取できることをうたった、ペットボトル入り飲料水10銘柄、水などで希釈して摂取する濃縮液3銘柄、水に入れてシリカまたはケイ素を含む飲料水ができるとうたったスティックや固形物(以下、「生成器」とします。)4銘柄、錠剤状の健康食品3銘柄について、シリカやケイ素に係る表示、広告、含有量等を調査するとともに、ケイ素の摂取に関する情報を取りまとめ、消費者に情報提供することとしました。

ケイ素とは

 ケイ素は地殻中で酸素に次いで存在量が多いとされる元素で、ケイ酸塩や二酸化ケイ素といった他の元素と結合した形で岩石、土壌を構成しており、水道水のほか、食品にも含まれています。ケイ素の摂取量については、「推奨量」などの基準は設けられていません。ケイ素は人の体内の微量ミネラルとして、骨の形成に関与していますが、有効性について信頼できる十分な情報は見当たらないとされています。

テスト結果

表示、広告の調査

摂取による効果等

  • 商品またはシリカやケイ素の摂取は美容や健康増進等に効果がある旨の記載や、シリカやケイ素の積極的な摂取が必要と受け取れる記載がみられる銘柄がありました。
  • 商品またはシリカやケイ素の摂取について、医薬品的な効能効果や健康保持増進効果等があると受け取れる記載がみられる銘柄があり、医薬品医療機器等法、健康増進法、または景品表示法上問題となるおそれがありました。

シリカやケイ素の含有濃度や含有量

  • 商品本体等、販売者等のウェブサイトのいずれにも、商品のシリカやケイ素の含有濃度や含有量の記載がみられない銘柄がありました。

商品や調製した水の一日に摂取する目安の量

  • 半数近くの銘柄で、商品本体等か販売者等のウェブサイトのいずれかに、商品または調製した水の一日に摂取する目安の量の記載がありました。

食品表示

  • 飲料水や濃縮液の中には、商品本体等の栄養成分表示や原材料表示に不備がある銘柄があり、これらは食品表示法に抵触すると考えられました。

ケイ素の含有濃度等の調査

飲料水

  • ケイ素の含有や摂取がうたわれていない市販のミネラルウォーターよりもケイ素が多く含まれていましたが、ケイ素の含有濃度が表示濃度より大幅に低い銘柄があり、食品表示法、または景品表示法上問題となるおそれがあると考えられました。

生成器

  • 調製した水のケイ素の濃度が、表示されていた最大とされる濃度よりも大幅に低い銘柄があり、景品表示法上問題となるおそれがあると考えられました。

濃縮液、健康食品

  • 健康食品で、記載されている一日に摂取する目安の最大量を摂っても、ほとんどケイ素を摂取できない銘柄があり、景品表示法上問題となるおそれがあると考えられました。

重金属類

飲料水及び生成器で調製した濁りのない水

  • 鉛、カドミウム、ヒ素、水銀の濃度がミネラルウォーター類の成分規格の基準を超えるものはありませんでした。

濃縮液及び健康食品、生成器で調製した濁りのある水

  • 商品自体または調製した水を、各銘柄の一日に摂取する目安の最大量を毎日摂取した場合でも、鉛、カドミウム、ヒ素、水銀により健康被害が出るリスクは高くはないと考えられました。

消費者へのアドバイス

 シリカやケイ素の摂取量は、通常の食事等からの摂取で不足することはないと考えられており、多く摂取することの有効性については明確な情報は見当たりません。商品を購入、利用するときは必要性をよく検討しましょう。

啓発資料

事業者への要望

  • 栄養成分表示や原材料表示に不備がある銘柄があり、食品表示法に抵触するおそれがありましたので、表示の改善を要望します。
  • 商品本体等や販売者等のウェブサイトにおいて、商品またはシリカやケイ素の摂取について、医薬品的な効能効果や健康保持増進効果等があると受け取れる記載がみられました。これらは医薬品医療機器等法、健康増進法、または景品表示法上問題となるおそれがあると考えられましたので、表示、広告の改善を要望します。
  • ケイ素の含有濃度が表示より大幅に低い銘柄、調製した水のケイ素の濃度が、記載されていた最大とされる濃度に遠く及ばなかった銘柄がありました。これらは食品表示法、または景品表示法上問題となるおそれがあると考えられましたので、商品または表示、広告の改善を要望します。

行政への要望

  • 栄養成分表示や原材料表示に不備があると考えられる銘柄があり、食品表示法に抵触するおそれがありましたので、事業者への指導等を要望します。
  • 商品本体等や販売者等のウェブサイトにおいて、商品またはシリカやケイ素の摂取について、医薬品的な効能効果や健康保持増進効果等があると受け取れる記載がみられました。これらは医薬品医療機器等法、健康増進法、または景品表示法上問題となるおそれがあると考えられましたので、事業者への指導等を要望します。
  • ケイ素の含有濃度が表示より大幅に低い銘柄、調製した水のケイ素の濃度が、記載されていた最大とされる濃度に遠く及ばなかった銘柄がありました。これらは食品表示法、または景品表示法上問題となるおそれがあると考えられましたので、事業者への指導等を要望します。

要望先

  • 消費者庁(法人番号5000012010024)
  • 厚生労働省(法人番号6000012070001)

情報提供先

  • 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
  • 内閣府 食品安全委員会(法人番号2000012010019)
  • 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(法人番号9120905002657)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
  • オンラインマーケットプレイス協議会(法人番号なし)

本件連絡先 商品テスト部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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