[2022年10月5日:公表]
樹脂製の折りたたみ式踏み台での指挟みに注意−乳幼児が手指の先を切断する事故が発生しています−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
一般家庭において、高い場所にあるものを取るときに、脚立や踏み台などを使うことがあります。近年、家具や家電と壁の狭い隙間に折りたたんで収納しておき、使用時に展開する樹脂製の折りたたみ式踏み台(以下、「折りたたみ式踏み台」とします。)がホームセンターや雑貨店等で販売されています。
昨年、折りたたみ式踏み台につかまり立ちをしていた乳児が、折りたたみ式踏み台にできていた隙間に手指の先端が挟まれ、切断したという事故が発生し、消費生活センターからテスト依頼を受けたほか、医療機関ネットワークにも同様な事象により幼児が手指を負傷したとの事例が寄せられています。
そこで、このような折りたたみ式踏み台について、構造や各可動部付近で手指を挟む可能性を調べ、特に乳幼児における事故の再発防止のため、消費者に注意喚起することとしました。
写真1.折りたたみ式踏み台の例
動画【YouTube】
※大きな音がします。視聴に際して、ご注意ください。
折りたたみ式踏み台とは
折りたたみ式踏み台は、主として樹脂が用いられているため軽く、天板や脚部を折りたたんで狭い隙間に収納できます。使用する状態では、広げられた脚部上で天板が水平になる構造で、上に乗ることができるようになっています。
写真2.折りたたみ式踏み台の外観
医療機関ネットワークに寄せられた事故情報
医療機関ネットワークに寄せられた事故情報には、幼児が折りたたみ式踏み台に手指をかけている際に折りたたまれて負傷したと考えられるものがあり、そのうちの事例を紹介します。
- 【事例1】
- 保護者が座面の取っ手部分を持ってたたんだ際に、児の手指が挟まれた。
- 【事例2】
- きょうだいが強く引っ張ったところ、折りたたまれて児の手指が挟まれ切断された。
消費生活センターからの依頼により実施した商品テストの事例
消費生活センターから依頼を受け商品を調査したところ、折りたたみ式踏み台の天板と脚部の隙間に手指が入り、挟まれて受傷した可能性が考えられました。
テスト結果
乳幼児の力で天板を持ち上げる可能性の調査
- 乳幼児の力でも容易に天板を持ち上げることができ、これにより天板と脚部の隙間を広げる可能性があると考えられました。
乳幼児の手指が侵入する隙間の有無の調査
折りたたみ式踏み台の隙間に、6カ月児及び6歳児の手指の太さに相当する太さのプローブを挿入することで、乳幼児の手指を挟み込む可能性があるか調べました。
- 使用状態に展開すると、手指を挟み込む可能性のある隙間がありました。
- 収納状態に折りたたんでいくと、手指を挟み込む可能性のある隙間が現れました。
隙間に手指を挟み込んだ場合に受傷する可能性の調査
- 1歳児が天板付近につかまり立ちすると、折りたたみ式踏み台の高さが低いほど上から体重をかけるような姿勢になりました。
- 挟まれる箇所によっては、天板に乳幼児自身の力や体重がかかった場合でも、大人の手指に裂傷を負う可能性がありました。
- 折りたたみや展開の途中で狭い隙間に手指を挿し込むと、先端に裂傷を負う可能性がありました。
表示の調査
- 類似の構造であっても、踏み台に、または椅子に限定して使用することを指示する記載がみられるものがありました。
- 手指等の身体を挟み込んで受傷する危険性について注意事項を記載した銘柄はありませんでした。
消費者へのアドバイス
- 乳幼児がいるご家庭で踏み台を入手する場合は、可動部やかん合部のない、一体構造や組立式の商品を選択することを検討しましょう。
- 折りたたみ式踏み台の可動部やかん合部にある隙間に手指を挟まないよう注意しましょう。
- 乳幼児が折りたたみ式踏み台に触れることがないよう、管理・保管しましょう。
事業者への要望
- 乳幼児の使用の制限、使用する場合の注意喚起内容の拡充と、手指の挟み込みに関する危険性について周知徹底を要望します。
- 商品の使用対象として乳幼児を含む場合においては、乳幼児が使用することを考慮した商品の開発を要望します。
インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼
- 消費者及び出品者に対し、折りたたみ式踏み台の隙間で乳幼児が手指を挟み負傷する事故が発生する危険性があることについて、注意喚起の協力を依頼します。
行政への要望
- 折りたたみ式踏み台により乳幼児が手指を負傷する事故の再発防止のため、乳幼児に触れさせないよう、消費者への注意喚起、啓発を行うよう要望します。
- 折りたたみ式踏み台により乳幼児が手指を負傷する事故の再発防止のため、乳幼児の手指が隙間に挟まれた場合に重大な事故に至る可能性があることなどを明示して消費者が確認できるよう、事業者への働きかけを要望します。
- 身体の挟み込みに関する事故を防止するため、規格基準の策定を検討するよう、関係団体や業界への働きかけを要望します。
要望先
- 消費者庁(法人番号5000012010024)
- 経済産業省(法人番号4000012090001)
協力依頼先
- アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
- ヤフー株式会社(法人番号3010001200818)
- 楽天グループ株式会社(法人番号9010701020592)
情報提供先
- 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
- 公益社団法人日本小児科学会(法人番号5010005018346)
- 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
- 一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
- 日本チェーンストア協会(法人番号なし)
- オンラインマーケットプレイス協議会(法人番号なし)
- 特定非営利活動法人Safe Kids Japan(法人番号5010905002878)
啓発資料
- 樹脂製の折りたたみ式踏み台での指挟みに気を付けましょう![PDF形式](620KB)
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
[報告書本文] 樹脂製の折りたたみ式踏み台での指挟みに注意−乳幼児が手指の先を切断する事故が発生しています−[PDF形式](1.7MB)
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