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[2022年5月26日:公表]

一度に中身がすべて噴出したスプレー缶(相談解決のためのテストからNo.166)

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。

依頼内容

 「制汗スプレーを使用したところ、空になるまで噴射し続けた。原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。

調査

 当該品は本体がアルミ製のスプレー缶で、開封後の最初の使用時に噴射ボタンを1回押しただけで内容物が出続けて空になったとのことでした。

 一般的なスプレー缶では、ステムガスケットがステム孔を塞いで内容物が漏れ出ないように密閉しています。噴射ボタンを押すと、ステムとステムガスケットが下がり、ステム孔が開放され、容器内で圧力がかかっている噴射剤及び原液の混合内容物がディップチューブを通って噴射ボタンの孔(あな)から噴射されます。

 当該品の外観に腐食や損傷等は見られず、X線の装置により内部の様子を観察したところ、ハウジングが脱落している様子が見られました。そこで、当該品を切り開き、内部の様子を観察したところ、分離したハウジングは樹脂製でもろくなって破断している様子が見られ、樹脂製のステムももろくなっている様子が見られました。

 当該品は噴射ボタンを押した際に、もろくなっていたハウジングが脱落したことでスプリングによって戻る力がなくなり、ステム孔が開放状態となって内容物が出続けたものと考えられました。また、開封後の最初の使用時に噴射ボタンを1回押しただけで内容物が出続けたとのことから、使用時には既にハウジングがもろくなっていたものと考えられました。

 なお、当該品に表示されていた製造者名は20年以上前に変わっており、当該品はその前に製造されたものと考えられました。

消費者へのアドバイス

 古いスプレー缶は今回の事例のように内部の部品が劣化して噴射剤等が漏れたり、噴射が止まらなくなってしまう可能性があります。また、缶本体が腐食して破裂したり、漏れた噴射剤に引火する等の事故を引き起こす危険性もあります。製造から長期間経過したものや製造時期が不明なもの、異常が見られるスプレー缶は使用しないようにしましょう。なお、廃棄方法についてはスプレー缶に表示されているメーカー連絡先か、お住まいの自治体の指示に従うようにしましょう(注1、2)

 また、多くのスプレー缶の噴射剤には可燃性ガスが使われており、近くに火気があれば引火の危険性もあります。スプレー缶を使用するときや使用直後には火気を近づけないようにし、換気にも注意しましょう。


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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