組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車−正しく組み立てができないと事故の危険も−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「密」を避ける移動手段として、また、人との接触を避ける外出自粛時の気軽なレクリエーションとして、自転車への関心が高まっています。2020年の自転車の1店舗当たり平均年間新車販売台数は前年比5.8%増となっており、コロナ禍による自転車需要の高まりがみられます。
通常、店舗で販売されている自転車は、出荷元の工場等から、一部の部品が装着されていない組み立てが必要な状態で箱詰めされるなどして販売店に引き渡され、販売店で有資格者などにより組み立てられ、検査及び整備などが行われています。
しかし、通信販売で購入できる自転車の中には、工場から販売店に出荷されるときのように、組み立てが必要な状態のまま消費者に届けられ、消費者が別途、組み立て、検査及び整備の手配をしなければならないものもあります。組み立て等を依頼できるところを探す煩わしさや、見つからない等のため、専門知識を持たない消費者自らが組み立て、不完全な整備状態で使用され、事故につながるおそれもあります。
PIO-NETには、2016年度以降の約6年間に、通信販売で購入した自転車に関連する危害・危険事例が206件あり、そのうち組み立てが必要な状態で届いた自転車を消費者が組み立て、使用していると推定される事例が少なくとも31件あります。
そこで、組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車について調査を行い、消費者に情報提供することとしました。
図.工場からの自転車の出荷状態の一例
消費者へのアンケート調査
- 価格や購入に係る手間が省けることが購入理由として優先される傾向がみられました
- 7割近くの人が自分1人で組み立てを行い、誰かに協力してもらった人も2割程度いました
- 自分1人または誰かに協力してもらって組み立てた人のうち2割が、組み立てができなかった、組み立てることができても不安があると回答しました
- 組み立てができたと回答した人の中で、組み立ての際に困ったこととして「梱包材の処分」、「取扱説明書の内容が理解できなかった/記載されていなかった/説明が不十分であった」、「組み立てに必要な作業スペースの確保」という回答が多くありました
- 組み立てることができたと回答した人に組み立て作業の難易度について聞いたところ、2割が「難しい」、「とても難しい」と回答しました
- 今回のアンケート調査では、3割が防犯登録をしていないと回答しました
- 購入店から防犯登録の案内がなかったと回答した人が4割以上いました
- 使用していて困ったこととして、調整・保守、販売店のサポートに関する内容が多くありました
商品を受け取ってから使用するまでの過程についてのテスト
- 自転車が入った箱の重さは30kgを超えるものもあり、1人で持ち運ぶことや、箱を壊さずに自転車を取り出すことは困難と考えられました
- 商品本体の他に、組立説明書、取扱説明書、組立工具などが同梱されていましたが、取扱説明書のないものもありました
- 梱包材は、45Lのゴミ袋約1袋分ありました。また、商品が入っていた箱は1週間をめどに保管する旨の記載がみられました
- ねじは、適切な強さで締め付ける必要がありますが、具体的な締付トルクの記載がみられないものがほとんどでした
- 付属の工具では、適切に締め付けることが困難と考えられるものがありました
- あらかじめ組み付けられている部分にも、調整や修正が必要な箇所がありました
- すべての銘柄で防犯登録の際に使用できる販売証明書が付属していましたが、販売者による記入が望ましい欄も消費者が記入しなければならないものがありました
- 定期的な点検整備や修理サービスを提供していない銘柄がありました
消費者へのアドバイス
- 組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車の組み立てには、自転車についての正確な知識が必要です。不適切に組み立てられた自転車に乗ると事故の危険もあります。購入する際には、どのような組み立てが必要かを確認しましょう。また、購入後、組み立て方法について不明な点があれば販売事業者に確認しましょう
- 通信販売で自転車を購入する際には、購入後の点検整備や修理サービスの内容についても確認しましょう
- 通信販売で購入した自転車であっても防犯登録の義務はありますので、必ず登録しましょう
事業者への要望
- 自転車を未完成状態で販売する際には、自転車技士等による組み立てが望ましいことを伝えるよう要望します。また、組み立て状態で販売することや、組み立てに係るサポート、点検、修理をするサービスの提供を要望します
- 自転車の防犯登録のさらなる周知を要望します。また、自転車の防犯登録に必要な書類には、必要事項を記入して消費者に渡すことを要望します
インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼
- 未完成状態の自転車を通信販売する際には、出品者は自転車について正確な知識のない消費者が適切に組み立てることは困難であることをあらかじめ購入者に説明すること、また、販売証明書には必要事項を記入してから購入者に渡すよう、出品者への周知をお願いします
協力依頼先
- アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
- ヤフー株式会社(法人番号3010001200818)
- 楽天グループ株式会社(法人番号9010701020592)
情報提供先
- 消費者庁(法人番号5000012010024)
- 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
- 警察庁(法人番号8000012130001)
- 経済産業省(法人番号4000012090001)
- 国土交通省(法人番号2000012100001)
- 公益財団法人交通管理技術協会(法人番号6011105004854)
- 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
- 一般財団法人自転車産業振興協会(法人番号3010405000277)
- 一般財団法人日本車両検査協会(法人番号4011505000802)
- 一般財団法人製品安全協会(法人番号1010505002118)
- 一般社団法人自転車協会(法人番号6010405010595)
- 日本自転車軽自動車商協同組合連合会(法人番号3010405001861)
動画
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
[報告書本文] 組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車−正しく組み立てができないと事故の危険も−[PDF形式](6.5MB)
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