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[2021年4月8日:公表]

アルコール消毒で合成樹脂製のドアノブが破損(相談解決のためのテストからNo.153)

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。

 「トイレのドアノブをアルコール消毒していたところ、ひびや亀裂が生じ、破損した。破損した原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。

 当該品は、幼稚園のトイレで使用されていたドアノブで、赤色のアクリル樹脂の中に金属部品が組み込まれているものでした。外観調査を行ったところ、当該品は金属部品を覆っているアクリル樹脂に複数の亀裂が生じており、亀裂の破面を見るとソルベントクラック(注1)に特徴的な鏡面を示していました。

 相談者によると、新型コロナウイルス対策のためドアノブの消毒が不可欠となり、1日に5回程度、市販のアルコール消毒液(エタノール濃度:約65容量%)等で消毒を行っていたところ、当該品が使用開始から約2カ月で破損したとのことでした。

 そこで、エタノールによる影響を調べるために、新品の同型品を用いて、JIS K 7114「プラスチック−液体薬品への浸せき効果を求める試験方法」を参考に、エタノール(99.5容量%)への24時間浸せきテストを行った結果、同型品は、当該品と同様に、アクリル樹脂の部分に複数の亀裂が生じ、亀裂の破面は鏡面を示しました。

 なお、同型品の取扱説明書には清掃時の取り扱いに関する注意表示として、「アルコール類〜(中略)〜は絶対に使用しないで下さい。クラック(ひび割れ)や破損の原因になり、手を傷つける恐れがあります。」との記載がありました。

 以上のことから、当該品は、消毒の際に付着したアルコール(エタノール溶液)によって、ソルベントクラックを生じたものと考えられました。

 依頼センターがテスト結果を事業者に説明したところ、取扱説明書に記載されている清掃時の取り扱いに関する注意と同様な内容が、事業者のウェブサイトにも記載されることになりました。

 当該品に限らず、アクリル樹脂製品はアルコール消毒により、亀裂が生じて破損に至る可能性があります。そのため、消毒する前にアルコールの使用が可能かを取扱説明書等で確認するとともに、アクリル樹脂であった場合には台所用洗剤を使用するなど、厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」(注2)を参考にして消毒・除菌を行うようにしましょう。


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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