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[2021年4月8日:公表]

液体芳香剤の誤飲事故等に注意!−乳幼児がリードディフューザーの液を誤飲して入院する事故が発生−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 ボトルに入った液体芳香剤の液に「リードスティック」と呼ばれる木製の棒などの一端を浸して、吸い上げられた液を気化、拡散させるもの(以下、「リードディフューザー」とします。)(図参照)が家庭などで広く利用されています。

 2020年11月、「医師からの事故情報受付窓口」に、乳幼児がリードディフューザーに入っている液を誤飲し、肺の一部が空洞のようになる呼吸器障害を負って2週間程度入院、その後も通院を要しているという事故情報が寄せられました。

 また、医療機関ネットワークには、2010年12月から2020年12月末までの約10年間に、乳幼児が液体芳香剤を誤飲したなどの事故情報が31件(注)寄せられています。

 そこで、これらの事故情報を分析するとともに、販売されているリードディフューザーの表示や液の成分を調べ、リードディフューザーなどを使用する際の注意点等について、消費者へ情報提供することとしました。

図.リードディフューザーのイメージ
容器に入った液体芳香剤の液にリードスティックと呼ばれる木製の棒の一端が数本浸してある様子

  • (注)件数は本公表のために特別に精査したものです。

液体芳香剤及びリードディフューザーとは

 液体芳香剤は、開封して使用を開始すると、芳香成分等が溶解した液が徐々に揮散し、液がなくなるまでの数カ月程度持続するものです。主流は、ろ紙、不織布、スポンジ、竹ひご等の一端を芳香成分を含む液に浸して吸い上げさせ、徐々に周囲に芳香成分が拡散するものです。その中で、リードスティックにより芳香成分を拡散する商品が、リードディフューザーと呼ばれています。リードスティックの本数や太さなどにより、香り立ちの強さを調整できるのが特徴です。

 さまざまな香りをうたった商品がありますが、芳香成分を含む液には、水や10%前後のエタノールを含有し、植物抽出物や数%の有機酸、10〜20%程度の界面活性剤を配合しているタイプや、香料や精油を溶剤(30〜70%程度のイソパラフィン系などの炭化水素類やグリコールエーテル類等を含むもの)で希釈した、揮発性の低い液体のタイプなどがあります。エタノール、炭化水素類、グリコールエーテル類はいずれも、粘膜の刺激作用、中枢神経の抑制作用があるとされているもので、これらの成分を含む芳香剤の液が目に入ると痛みや充血、誤飲すると悪心(おしん)、嘔吐(おうと)のほか、量が多い場合は意識障害などが起こる可能性があります。また、誤えんすると肺炎につながる可能性もあります。

参考
公益財団法人 日本中毒情報センター編「発生状況からみた急性中毒初期対応のポイント 家庭用品編」株式会社へるす出版、2016、「芳香剤・消臭剤−設置タイプ」(p.283-288)から一部引用。

「医師からの事故情報受付窓口」に寄せられた事故情報

 2020年11月、「医師からの事故情報受付窓口」に、リードディフューザーの液を誤飲して乳幼児が入院を要した事故(以下の【症例】)の情報が寄せられました。

【症例】
リードディフューザーの液を誤飲し、胸部CTにて肺の一部に空洞影がみられた。

写真1.患児の事故発生から7日目の胸部CT画像(横断面)
肺の一部に空洞影が写った横断面のCT画像
(患部を△で囲っています)

写真2.患児の事故発生から7日目の胸部CT画像(縦断面)
肺の一部に空洞影が写った縦断面のCT画像
(患部を△で囲っています)

医療機関ネットワークに寄せられた事故情報

 医療機関ネットワークには、2010年12月から2020年12月末までの約10年間に、3歳以下の乳幼児の「液体芳香剤」に関する事故情報が31件寄せられています。

主な「誤飲・誤えん」の事故事例

【事例】
リードディフューザーの液を誤飲し、誤えん性肺炎のおそれがあった。
【事例】
リードディフューザーの液を誤飲し、中毒症状を発症した。
【事例】
高さ1mの棚に置いてあったリードディフューザーの液を誤飲。

調査

 インターネットショッピングモール(「Amazon.co.jp」、「Yahoo!ショッピング」、「楽天市場」)で「リードディフューザー」が分類されるカテゴリにおいて、売れ筋ランキングの高い商品や、神奈川県相模原市、神奈川県横浜市、東京都町田市内の百貨店、ホームセンター、チェーンドラッグストア、チェーンストアで販売されている商品、合わせて10銘柄について、商品本体やパッケージの表示や液の成分を調べました。(検体購入:2020年11月〜2021年1月、調査期間:2020年12月〜2021年2月)

  • 10銘柄とも、乳幼児の手の届かないところで使用・保管するといった記載がありました。
  • 10銘柄とも、飲用ではないとの記載がありました。そのうち6銘柄では、誤飲した場合に医師の診察を受ける旨の記載があり、別の2銘柄では、誤飲して異常がある場合に医師の診察を受ける旨の記載がありました。
  • 4銘柄では、誤飲した際に吐かせないよう記載がありましたが、その理由まで記載している銘柄はありませんでした。
  • 10銘柄中2銘柄には、目に入った場合、医師の診察を受ける旨の記載があり、別の6銘柄では、目に入って異常がある場合に、医師の診察を受ける旨の記載がありました。なお、8銘柄では、流水で洗い流すなど対処法が記載されていました。
  • 10銘柄中7銘柄では、液や液を吸い上げたリードスティックに、皮膚や衣類が触れないよう記載がありました。6銘柄では、皮膚に付着して異常がある場合、医師の診察を受ける旨の記載がありました。また、9銘柄では、石けんや流水でよく洗うなど対処法の記載がありました。そのうち3銘柄ではその理由として、かぶれるおそれがあると記載していました。
  • 全10銘柄について、水以外の主な溶剤の成分を調べたところ、6銘柄からはイソパラフィン系の炭化水素類、残りの4銘柄からはエタノールとグリコールエーテル類と推定される物質が検出されました。

消費者へのアドバイス

  • 液体芳香剤は、乳幼児の手や目が届かない場所で使用・保管するようにしましょう。
  • 誤飲した液体芳香剤の液が気管に入ると、化学性肺炎を生じる危険がありますので、誤飲した場合は慌てて吐かせずに、直ちにかかりつけ医等に相談しましょう。
  • 液体芳香剤の液が目に入った場合は、すぐに流水で洗い流しましょう。また、皮膚に付着した場合はかぶれるおそれがあるため、石けんなどで洗いましょう。

業界・事業者への要望

  • 液体芳香剤を乳幼児の手や目の届かない場所で使用・保管することについて、より一層啓発等を含めた安全対策を推進することを要望します。

要望先

  • 芳香消臭脱臭剤協議会

情報提供先

  • 消費者庁(法人番号5000012010024)
  • 内閣府(法人番号2000012010019)
  • 内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
  • 消防庁(法人番号2000012020001)
  • 厚生労働省(法人番号6000012070001)
  • 経済産業省(法人番号4000012090001)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
  • 一般社団法人日本百貨店協会(法人番号9010005030272)
  • 一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
  • 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(法人番号1010405018940)
  • 日本チェーンストア協会
  • アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
  • ヤフー株式会社(法人番号3010001200818)
  • 楽天グループ株式会社(法人番号9010701020592)

本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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