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[2021年2月25日:公表]

補聴器トラブルを防ぎましょう!−買ったが合わず返品もできない、医師に不要と言われた…−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 全国の消費生活センターには、「勧誘され購入したが医師に不要と言われた」「試用なしで購入したが音がうるさい」等の補聴器に関する相談が寄せられています。

 そこで、最近の補聴器に関するトラブルを分析して問題点をまとめ、消費者被害の未然防止・拡大防止のため、また、適切な補聴器選択のため、情報提供します。

相談件数

 国民生活センターでは2014年2月に注意喚起を行い、相談件数はやや減少していましたが、最近は増加傾向が見られます。特に、通信販売でのトラブルの割合が増加しています。

図.PIO-NET(注)にみる「補聴器」の相談件数と通信販売の割合
2015年度から2021年1月31日までの年度別相談件数と通信販売の割合のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。
※2019年度同期件数(2020年1月31日までのPIO-NET登録分)は448件

 年度別相談件数:2015年度は598件、2016年度は575件、2017年度は538件、2018年度は542件、2019年度は628件、2021年1月31日までの件数は442件です。

 通信販売の割合:2015年度は18%、2016年度は10%、2017年度は16%、2018年度は17%、2019年度は17%、2021年1月31日までの割合は26%です。

  • (注)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。データは、2021年1月31日までの登録分。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。

販売購入形態別の主な相談事例

【店舗購入】不安をあおられ購入したが、医師から耳は正常で必要ないと言われた
 眼鏡店がオープンするとの広告を見て、夫の眼鏡を買いに店舗に出向いた。夫の視力測定等の間待っていると、「補聴器が必要か耳の状態を測定している、5分程しかかからない」と声をかけられた。測定結果から、「補聴器を必要とする状況のギリギリのラインだ。早めに補聴器をつけ始めないと、認知症になりやすくなる」と言われた。オープンキャンペーンで約50万円の補聴器が約40万円になると言われ、高額なので少し考えると断ったところ、「今日購入してくれたらもう少し安くする」と言われ、結局40万円弱で購入することになった。その後、耳鼻咽喉科で聴力を測定してもらったところ、正常値で、補聴器の必要は全くないと言われた。耳の状態が不安で契約したのに、納得できない。解約したい。
(契約当事者:60歳代 女性)
【通信販売】誰でも装着可能という補聴器を購入したが、耳に合わない
 最近、「小さな声が聴き取りにくい」と言う母のために、ラジオ広告で電話の音や大きな音もきれいに聞こえ、ノイズも入りにくいという補聴器を購入しようと思い、販売店に問い合わせた。耳あなの大きさがみんな違うので、装着可能かが心配だったが、「S・M・Lと、3サイズに変更可能なキットが付いているので、全ての人に対応可能」と言われたので、片耳が約4万円で高かったが申し込み、母にプレゼントした。しかし、母は届いた補聴器が合わないようで、母から連絡をもらって返品の申し出をしたが、電池を入れて通電していたので、返品は受けられないと断られた。決して安いものでなく、安易に、「誰にでも装着可能」とした売り方に、納得できない。
(契約当事者:60歳代 女性)

以下のような相談も寄せられています

  • 【店舗購入】試用したものと違うタイプの補聴器を勧められたが、我慢できないほどうるさい
  • 【通信販売】雑音で使用できず返品したいが、電話がつながらない
  • 【通信販売】ほしかった補聴器をインターネットで注文し代金を振り込んだが、商品が届かない
  • 【訪問販売】業者が自宅に上がり込み、断り切れずに契約してしまった。書面も渡されていない
  • 【訪問販売】同じ業者の訪問販売で、数年おきに何度も補聴器を購入させられた
  • 【訪問販売】説明を聞くために訪問を受けたが、契約せざるを得なくなった
  • 【その他】マスクを外した時に、片方の補聴器を紛失した

PIO-NETおよび相談事例からみた問題点

  • 医師の診断がないまま勧誘等され補聴器を購入し、トラブルになっている
  • 試用していない機器を、適切な説明なく販売している、返品もできない
  • 不安をあおられたり十分な検討時間がないまま契約となり、トラブルになっている
  • 通信販売では、事業者に電話がつながらない、詐欺サイトが疑われるトラブルも見られる

消費者へのアドバイス

  • 聞こえにくいと感じたら、まず専門医の診断を受けましょう
  • 契約前に自分に合った機器かどうかしっかり確認しましょう
  • 1人で決めず、できるだけ周囲にも協力を求めましょう
  • 通信販売では、事前に試用できないリスクや詐欺サイトに注意しましょう
  • 使用時の紛失にも注意しましょう
  • トラブルになった場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう
*消費者ホットライン「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

啓発資料


本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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