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[2020年4月9日:公表]

柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供(2020年)

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 柔軟仕上げ剤は、衣類の風合いを柔らかく保つことと静電防止効果を持つものです。2000年代後半から香りの強い海外製の柔軟仕上げ剤がブームになったのをきっかけに、芳香性を工夫した商品の品ぞろえが増え、現在は、消費者が香りの強さや種類を選択できるよう様々な商品が販売されています。

 国民生活センターでは2013年に、PIO-NETに寄せられる「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談件数が増加傾向にあるとして情報提供を行いましたが、それ以降も「柔軟仕上げ剤のにおいがきつくて頭が痛くなる」などの相談情報が毎年一定程度(年間130〜250件程度)寄せられています。

 また、2013年に実施したテストでは、強い芳香のある柔軟仕上げ剤を使用した洗濯物を室内に干した場合に、においのある成分もにおいのない成分も含んだ、揮発しやすい成分が多く放散されることも確認されました。

 そこで、新たに寄せられた相談情報の内容を分析し、併せて現在販売されている柔軟仕上げ剤を使用した洗濯物から放散される、揮発しやすい成分の総量(総揮発性有機化合物(TVOC):Total Volatile Organic Compounds)やにおいの強さ(臭気強度)、現在販売されている商品の表示を調べ、商品選択や使用にあたっての注意点等を消費者に情報提供するとともに、関係機関への要望及び情報提供を行うこととしました。

相談情報の概要

  • 柔軟仕上げ剤のにおいに関する、申し出に基づく相談情報は、2014年度以降、928件寄せられ、うち、594件(64%)が危害があったというもの(注1)でした。当センターが2013年に情報提供を行った翌年度以降も、年間130〜250件程度の相談情報が寄せられています。
  • 相談情報を相談受付月別に集計すると、6月から9月にかけて比較的多く寄せられていました。また、商品の購入者と相談者が異なっているものが全体の71%を占めていました。
  • 危害があったという申し出情報の内訳をみると、性別・年代は、30歳代〜60歳代の女性が78%と大半を占めていました。また、その発生場所は「家庭」が81%を占めていました。
  • (注1)2014年4月以降受付、2020年1月31日までの登録分。

市販されている商品に関するテスト

  • 無香性や微香タイプの柔軟仕上げ剤を表示の2倍量使用した場合には、表示量通りに使用した場合と比較して、TVOCの上昇はみられませんでしたが、香りの強いタイプの柔軟仕上げ剤を表示の2倍量使用すると、表示量通りに使用した場合と比較して、TVOCは顕著に上昇しました。
  • 微香タイプと香りの強いタイプの柔軟仕上げ剤を表示の2倍量使用した場合には、柔軟仕上げ剤を表示量通りに使用した場合と比較して、臭気判定士(注2)が感じるにおいの強さに明らかな差は認められませんでした。また、無香性の柔軟仕上げ剤を表示量通りに使用した場合には、柔軟仕上げ剤を使用しない場合と比較して、感じるにおいの強さはわずかに弱くなりました。
  • (注2)臭気判定士とは、においの強さを判定する嗅覚測定法を行うための国家資格です。

表示の調査

  • 6銘柄中4銘柄では、自社の評価方法で評価した「香りの強さの目安」が商品のパッケージに表示されていました。
  • いずれの銘柄も、業界の自主基準に準じた成分表示がされていました。なお、香料等に関する詳細な情報については、記載がありませんでした。
  • いずれの銘柄にも、「香りに関する注意喚起」が表示されていました。

消費者へのアドバイス

  • 自分にとっては快適なにおいでも、他人は不快に感じ、中には体調を崩すという申し出もあるということを認識しておきましょう。
  • 香りの強いタイプの柔軟仕上げ剤を表示の2倍量使用すると、総揮発性有機化合物(TVOC)は顕著に上昇しましたが、臭気判定士により調べたにおいの強さに明らかな差は認められませんでした。使用量の目安を参考に、過度な使用は避けましょう。
  • 商品を選択する際は、商品のパッケージ等に記載されている「香りの強さの目安」を参考にしましょう。

業界・事業者への要望

  • 消費者の適切な商品選択のために、業界で「香りの強さの目安」に関する表示方法の指針等を設けるよう要望します。
  • 製品に意図的に配合された0.01%以上の香料成分について、具体的な成分名の表示を検討するよう要望します。
  • 引き続き、消費者に分かりやすい形で、適切な使用量を守るよう促す取り組みを行うよう要望します。

行政への要望

  • 柔軟仕上げ剤の適切な使用方法について、引き続き、消費者への一層の周知・啓発を要望します。

要望先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 日本石鹸洗剤工業会(法人番号なし)

情報提供先

  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 消費者庁 表示対策課(法人番号5000012010024)
  • 文部科学省 初等中等教育局 健康教育・食育課(法人番号7000012060001)
  • 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 化学物質安全対策室(法人番号6000012070001)
  • 厚生労働省 健康局 難病対策課(法人番号6000012070001)
  • 経済産業省 製造産業局 化学物質管理課(法人番号4000012090001)
  • 経済産業省 製造産業局 素材産業課(法人番号4000012090001)
  • 環境省 環境保健部 環境安全課(法人番号1000012110001)
  • 日本チェーンドラッグストア協会(法人番号なし)
  • 一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)

本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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