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[2019年12月19日:公表]

ページの縁で乳児が指を切った絵本(相談解決のためのテストから No.139)

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。

 「子ども用教材の絵本の縁で乳児が指を切った。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。

 当該品は、絵本4冊セットのうちの1冊でした。相談者によると、9カ月の乳児が一人で絵本をめくっており、最初の2〜4ページをめくった際に、ページの端で右手薬指第一関節あたりに切傷を負ったとのことでした。調査は、当該品と比較するため、本文ページ紙の質等を考慮して、絵本4銘柄(0〜2歳児対象本)を参考品として新たに購入し調査を行いました。

 当該品を調査したところ、表紙及び裏表紙の外周、見返し紙、本文ページ紙の縁には鋭利な箇所はみられませんでした。

 現在のところ、当該品のような絵本の紙における縁部の鋭さについて定めた公的な規格はありません。そのため、日本の玩具安全基準:一般社団法人日本玩具協会(ST基準)のST-2016「第5章 5.8鋭い縁部の試験」及び米国の安全規格(機器の縁の鋭さに対する試験UL1439)を準用し、シャープエッジテストを行いました。その結果、当該品の表紙及び裏表紙の外周、本文ページ紙の縁は“潜在的に危険な縁部”、“人体傷害の恐れにつながる鋭い縁部を持っている”とは判断されませんでした。

 次に、指を模したソーセージを用い、縁部によって切り傷ができるか調査を行いました。ソーセージは各紙の縁部に軽く当て(0.1〜0.2N程度の力:押し付けることなく、横に滑らせる程度の力)、横にスライドさせました。その結果、当該品及び参考品はいずれも、表紙と裏表紙ではソーセージに切り口はできませんでしたが、本文ページ紙や見返し紙ではわずかな力であっても容易に切り口ができることが確認されました。

 当該品の表示について調査したところ、「紙によって指を傷つけることがある」といった取扱い上の注意表示等はありませんでした。一方、参考品においては、いずれも表紙もしくは裏表紙に「紙で手や指を傷つけることがあるため注意してください」といった注意表示が確認されました。

 依頼センターがテスト結果を事業者に説明したところ、事業者は「注意書きの記載について、改訂に向けて検討中である」との報告がありました。


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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