[2019年9月12日:公表]
ジャンプ式折りたたみ傘の事故に注意−飛び出した手元が顔や身体に衝突し重篤なけがをすることも−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
当センターは2008年5月にジャンプ式折りたたみ傘の危険性について注意喚起公表を行っています。その後、2013年に家庭用品品質表示法が一部改正され、ジャンプ式折りたたみ傘は「傘の開閉時及びシャフトの伸縮時には、顔や身体から離して使用する」旨を取扱い上の注意として表示することが義務付けられました。
近年、ジャンプ式折りたたみ傘の中で、手元を収納する途中で手を放しても手元が飛び出さずに止まる機能を備えた商品も販売されるようになってきた一方、この機能を備えていない従来からの商品も販売されており、市場には両方混在している状態です。
PIO-NETには注意喚起を行った以降もジャンプ式折りたたみ傘に関する相談が寄せられており、2014年度以降では危害・危険情報が13件寄せられています。当センターにも商品テスト依頼が3件寄せられ、そのうち2件は治療に1カ月以上を要する事例でした。
そこで、ジャンプ式折りたたみ傘について、使用実態を調査するとともに、ジャンプ式折りたたみ傘の特性及び危険性をテストし、消費者へ情報提供することとしました。
動画【YouTube】
ジャンプ式折りたたみ傘について
ジャンプ式折りたたみ傘は、折りたたんだ状態から手元の開閉ボタンを操作することで傘本体が開くとともに中棒が伸び、傘本体が開いた状態から再度開閉ボタンを押すと傘本体が閉じます。手元を収納する際は、傘本体及び手元を持ち、手の力で押し縮めて収納します。
中棒にはバネが内蔵されており、押し縮められたバネが伸びようとする力で傘本体を開いたり中棒を伸ばす仕組みとなっています。そのため、手元を収納する途中で手を放すと、縮められたバネの力で手元が飛び出し、顔や身体に衝突しけがをする危険性があります。
なお、家庭用品品質表示法の雑貨工業品品質表示規程では、「傘の開閉時及びシャフト(中棒)の伸縮時には、顔や身体から離して使用する」旨の取扱上の注意の表示が義務付けられています。
消費者へのアンケート調査
- 約3割の人はジャンプ式折りたたみ傘を使用中にけがをしたり危険を感じたことがありました
- 取扱説明書及び注意表示で禁止している方法で手元を収納することがある人が約5割いました
- 手元を収納する力について、5割超の人が重い・やや重いと感じていました
- 使用前に取扱説明書や注意表示を確認している人は2割に満たない程度でした
テスト結果
手元を収納する力
手元を収納する力は最大で36〜77N(4〜8kgf)と大きく、また継続的に力を加える必要があるため、力の弱い方は収納しづらい可能性がありました
飛び出した手元が衝突したときの衝撃力
飛び出した手元が衝突したときの衝撃力は604〜1,562N(62〜159kgf)と大きく、顔や身体に衝突した場合、重篤なけがにつながる可能性があり、参考として厚さ約4mmのガラス板に飛び出した手元を衝突させたところ、ガラス板が破砕しました
写真.飛び出した手元をガラスに衝突させたときの様子
表示の調査
すべての銘柄で手元の収納方法に関する表示が確認されました
消費者へのアドバイス
- ジャンプ式折りたたみ傘は内部に強力なバネが入っているため、使用方法を誤れば重篤な事故につながる危険性があります。使用する際は取扱説明書をよく読み、十分に注意しましょう
- ジャンプ式折りたたみ傘の中には飛び出し防止機能が備わった商品もあります。飛び出し防止機能が備わった商品を選択するようにしましょう
事業者・業界への要望
- ジャンプ式折りたたみ傘の危険性や正しい使用方法について、消費者への更なる啓発を要望します
- より安全に配慮した商品の普及を要望します
要望先
- 日本洋傘振興協議会(法人番号1120005004041)
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
- 消費者庁 表示対策課(法人番号5000012010024)
- 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
- 経済産業省 製造産業局 生活製品課(法人番号4000012090001)
- 経済産業省 商務情報政策局 製品安全課(法人番号4000012090001)
- 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
- 一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(法人番号8010005004343)
- 日本チェーンストア協会(法人番号5700150005467)
- 日本百貨店協会(法人番号9010005030272)
業界の対応 ※2020年1月9日 追加
「日本洋傘振興協議会」より
2008年5月に貴センターが公表した「ジャンプ式や自動開閉式折りたたみ傘の事故」を受けましてから、弊会にて製品に関する使用上の注意並びに取扱い説明書を作成し、会員に周知を図ると同時に、その添付を指導いたしました。それ以降は、弊会会員においては事故発生の報告は受けておりません。その上で、今回あらためて、会員のジャンプ式折りたたみ傘の取扱い実態について調査を行いました。その結果を踏まえた上で、下記にご回答申し上げます。
1.ジャンプ式折りたたみ傘の危険性や正しい使用方法について、消費者への更なる啓発の要望
- (回答)
- ジャンプ式(自動開閉式)折りたたみ傘の取扱い説明および使用上の注意(日本洋傘振興協議会)について、弊会ホームページに掲載しました。
2.より安全に配慮した商品の普及を要望
- (回答)
- 会員に対し「ジャンプ式(自動開閉式)折りたたみ傘」の取扱い実態調査を行いました。
- 製品への取扱い方法・注意事項の表記について再度周知・指導します。100%表記しているものについては継続し、表記不十分なものについては指導します。
- 安全(セーフティ)機構の装着を促します。安全機構付の製品については、誤用等による事故が大幅に低減することが期待できます。 会員に対してはすべての取扱い製品に備える等、より安全に配慮した商品づくりを促します。
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
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