酸を使ったフットケア商品−角質ケアをうたった商品で化学やけどやひどい痛みも!−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
薬剤の入った靴下状の袋に足を浸すことで、足裏の角質を剥がし、すべすべにすることをうたった商品が販売されています(以下、「酸を使ったフットケア商品」とします。)。これらの商品の多くには、角質の剥離(はくり)を促す作用のある、グリコール酸やサリチル酸、乳酸等のヒドロキシ酸が配合されています。
2018年10月に、国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」(愛称:「ドクターメール箱」。)に、酸を使ったフットケア商品を使用して化学やけどを負った、という事故情報が寄せられました。また、PIO-NETには、足の角質をケアすることをうたった商品を使用して、やけどや痛み等の危害が発生したという相談が2013年度以降の約5年間(2019年1月15日までの登録分)で26件寄せられています。
そこで、ドラッグストア等で市販されている酸を使ったフットケア商品5銘柄を対象に、ヒドロキシ酸量や表示等を調べ、消費者に注意喚起することとしました。
ドクターメール箱に寄せられた事故情報
ドラッグストアで購入した足の角質をとる商品を表示された使用方法に従って使ったところ、足の甲に広範なびらんを生じ、使用から6日後に来院。化学やけどと診断。足の甲にびらん、足全体に落屑(らくせつ)がみられたため、軟膏(なんこう)を塗布し、解熱鎮痛消炎剤を処方した。6日後に再度受診。色素沈着と若干のかさぶた付着がみられ、痛みが持続していたことから、皮膚の保護のために保湿剤を使用した。
(受診年月:2018年10月、60歳代・女性)
写真 患部の様子
主なテスト結果
ヒドロキシ酸
- ヒドロキシ酸の合計量は5.2〜12.1%で、そのうち、α−ヒドロキシ酸の合計量が、FDA(米国食品医薬品局)において、化粧品として安全であるとされる10.0%を超えるものが1銘柄ありました。
pH
- pHは2.4〜4.0で、そのうち、FDAにおいて、化粧品として安全であるとされるpH3.5を下回るものが3銘柄ありました。
表示等
- 足裏の皮膚が広範囲に剥がれた写真が掲載されており、消費者が、皮膚トラブルなのか正常な状態なのかを判断できない可能性があると考えられました。
- テスト対象銘柄には、使用から数日後に皮膚が剥がれるとの表示があり、使用時間を適切に調整することは難しいと考えられました。
- いずれの銘柄にも、履いただけで足裏の角質が剥がれると受け取れる旨の表示がみられ、化粧品の効能効果の範囲を超える可能性がありました。
消費者へのアドバイス
- 酸を使ったフットケア商品を使用する場合は、表示よりも大幅に短い時間から試すようにしましょう。
事業者への要望
- 酸を使ったフットケア商品について、消費者が商品をより安全に使用できるよう、配合成分や表示の見直しを要望します。
行政への要望
- 酸を使ったフットケア商品の取り扱いについて、調査の上、必要に応じて、医薬品医療機器等法上の分類等について見直すことも含め、検討を行うよう要望します。
要望先
- 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課(法人番号6000012070001)
- 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬安全対策課(法人番号6000012070001)
- 厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課(法人番号6000012070001)
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
- 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
- 公益社団法人日本皮膚科学会(法人番号4010005004396)
- 一般社団法人SSCI-Net(法人番号8180005016710)
- 日本化粧品工業連合会(法人番号1700150005132)
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
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