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[2021年9月3日:更新]
[2017年11月16日:公表]

乳幼児による加熱式たばこの誤飲に注意

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 ここ数年、たばこ葉に火をつけずに、電気的にヒーターで加熱などして吸う、新しいタイプのたばこ(以下、「加熱式たばこ」とします。)が発売され、煙やにおい、タールなどの吸入や空間への排出が少ないとされていることから販売数を伸ばしています。

 一方、加熱式たばこの使用前後のたばこ葉が入った部分を食べてしまったという事故情報が医療機関ネットワークに9件、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)にも2件寄せられており、いずれも2016年度以降に発生したもので、被害者の年齢が判明している10件については、すべてが1歳5カ月までの乳幼児でした。

 今後、加熱式たばこの普及により、たばこ葉が入った部分の誤飲事故も増加することが考えられることから、加熱式たばこのたばこ葉の入ったスティックやカプセル(以下、「スティック等」とします。)3タイプ12銘柄の誤飲のリスクについて調査し、情報提供、注意喚起することとしました。

主な調査結果

形状、サイズ等

  • すべての銘柄は子どもが誤飲しうる形状でまた、12銘柄中9銘柄は、子どもの口腔(こうくう)内に容易に収まるサイズでした

たばこ葉中のニコチン量

  • すべての銘柄で、1本分のたばこ葉には嘔吐(おうと)を引き起こすおそれのある量のニコチンが含まれていました

表示等

  • スティック等の商品のパッケージに、誤飲に関する注意が記載されている銘柄はありませんでした
  • 本体キットのパッケージ等の注意表示には、すべての銘柄で、子どもの手の届くところに置かないようにといった旨の記載がみられました
  • 販売者が運営する商品の公式ホームページには、6銘柄(1タイプ)では誤飲への注意の記載がみられましたが、他の6銘柄(2タイプ)ではみられませんでした

消費者へのアドバイス

  • 加熱式たばこの使用前の1本分のたばこ葉中には、中毒症状が現れるおそれのある量のニコチンが含まれています。使用前後のたばこ葉の入ったスティック等は、乳幼児の手が届かない場所に保管・廃棄するようにしましょう
  • 乳幼児が加熱式たばこのスティック等を誤飲した場合には、水や牛乳などを飲ませず、直ちに医療機関を受診しましょう

事業者への要望

  • 乳幼児が容易にたばこ葉の入ったスティック等を取り出せないよう、外箱の構造等の改善を要望します
  • 乳幼児によるたばこ葉の入ったスティック等の誤飲を防止するため、商品パッケージの表示やホームページ等により、保管・廃棄には十分に注意する旨の啓発をより一層推進するよう要望します

要望先

  • 一般社団法人日本たばこ協会(法人番号1010405001087)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 内閣府 子ども・子育て本部(法人番号2000012010019)
  • 財務省 理財局 総務課 たばこ塩事業室(法人番号8000012050001)
  • 文部科学省 初等中等教育局 幼児教育課(法人番号7000012060001)
  • 厚生労働省 健康局 健康課(法人番号6000012070001)
  • 厚生労働省 子ども家庭局 保育課(法人番号6000012070001)
  • 厚生労働省 子ども家庭局 母子保健課(法人番号6000012070001)
  • 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 化学物質安全対策室(法人番号6000012070001)
  • 公益社団法人日本小児科学会(法人番号5010005018346)
  • 公益財団法人日本中毒情報センター(法人番号6050005010703)

業界の意見 ※2017年12月28日 追加

「一般社団法人日本たばこ協会」より

 今般いただいたご要望につきまして、現在加熱式たばこを製造販売されている会員社に検討を依頼すると共に、当協会としても加熱式たばこの誤飲に関する今後の適切な対応のあり方について検討してまいります。

「フィリップ モリス ジャパン合同会社」より

 私たちが住み、働く地域社会で、常に責任ある企業市民として、持続可能な社会を作っていくことが、私たちフィリップ モリス ジャパンの使命です。「たばこスティック」誤飲防止に関しましては、成人喫煙者、成人ユーザーへのコミュニケーションを通じて、携帯灰皿・パウチを提供するなどして成人喫煙者がポイ捨てしなくてよい環境を作ること、気づきや行動変容を促す啓発活動、そして誤飲があった際の対策、三つの側面からの働きかけと準備が重要であると考えています。子どもたちによる「たばこスティック」の誤飲防止につきましては、これまでも保管・廃棄場所の注意について啓発等、取り組んで参りましたが、誤飲防止の問題解決は簡単ではありません。だからこそ、私たちが取り組む意義があるとも考えています。フィリップ モリス ジャパンは、子どもの健やかな成長をサポートする取り組みを積極的に実施し、責任ある一企業として地域社会に貢献していけるよう、今後もさまざまな活動を続けていきます。

<フィリップ モリス ジャパンの取り組み>

1.誤飲防止の啓発、見える化
  1. (1)当社製品ウェブサイト(会員登録前トップページ)での注意喚起掲載。
  2. (2)使用済み「たばこスティック」入れパウチへの注意喚起掲載、パウチ配布。
  3. (3)製品リーフレット、ユーザーガイド等への注意喚起掲載。
  4. (4)当社「たばこスティック」パックへの注意喚起掲載(2018年夏頃改訂予定)。
2.公益財団法人日本中毒情報センターとの連携
  1. (1)日本中毒情報センターの医療従事者向けホームページ(ログイン後)に当社たばこスティックが水に浸された場合のニコチン量、および蒸気として吸い込む場合のニコチン量の両方を掲載。
  2. (2)医療従事者による当社たばこスティック誤飲に関する日本中毒情報センター中毒110番への問い合わせ(センターによる情報提供)に関する費用を当社が負担。
  3. (3)当社に医師や医療機関の方から誤飲に関する問い合わせを頂いた際に、より速やかに日本中毒情報センター中毒110番へつなげられるよう、当社コールセンター(オペレーション時間内はオペレーターから口頭で、時間外はレコーダーにて)において、電話番号等の案内を開始。
  4. (4)日本中毒情報センターによる、当社へのたばこスティック誤飲事例に関する受信状況の提供
3.関連学会

関連学会との、子どもの当社たばこスティック誤飲についての報告、改善策協議を実施。

  • 注)なお、日本中毒情報センター中毒110番の電話番号案内や受信状況の提供については日本中毒情報センター名義使用会員に入会している企業が対象となります

「ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社」より

 この度、国民生活センターからのご指摘・ご要望を真摯に受け止め、責任ある企業市民として乳幼児による加熱式たばこ製品の誤飲防止に向けた取組みを継続すると共に、お客様がより安心してご使用していただけるよう改善に取り組んでまいります。

【誤飲防止に向けた現在の取組み】

  • glo™製品キットに同梱のユーザーガイド及び安全のしおりにてお客様に注意喚起。
  • 弊社ホームページにて、ユーザーガイド及び安全のしおりを掲載。

【誤飲防止に向けた検討(実施予定のアクション)】

  • 弊社ホームページにて、より一層の注意喚起を実施。
  • glo™ストア等にてglo™販売時に販売員より直接注意喚起すると共に、ポイ捨てや乳幼児による誤飲注意を表示した使用済みスティック入れを配布し、乳幼児の誤飲防止を啓発。
  • 乳幼児によるたばこ製品の誤飲を防止するための注意表示を製品パッケージに掲載することを検討中。
  • 公益財団法人日本中毒情報センターと連携し、たばこ製品誤飲時の対策を充実させる(協議中)。

「日本たばこ産業株式会社」より

 この度、いただきましたご指摘・ご要望を真摯に受け止め、誤飲防止に向けた取り組みの継続及びお客様がより一層安心して安全にご使用していただくため鋭意取り組んでまいります。

【誤飲防止に向けた現在の取り組み】

  • プルーム・テック・スターターキット及び当社Ploom TECH(プルーム・テック)公式サイト内に掲載のユーザーガイドにてご使用されるお客様への注意喚起
  • たばこカプセルのパッケージに「本製品はたばこ製品です。」と記載することで、ご使用されるお客様に“たばこ製品としての扱い”をお知らせ
  • 公益財団法人日本中毒情報センターのポスターやリーフレット作成に協力し、全国の保健センター・保健所に配布することで、子どもの誤飲防止に向けた注意喚起

業界の対応 ※2018年2月13日 追加

「日本たばこ産業株式会社」より

 日本たばこ産業株式会社は責任ある企業市民として、これまでも誤飲防止に向け、ご使用になるお客様への注意喚起等 取り組んで参りました。

 今回いただきましたご要望を真摯に受け止め、より一層安心して安全にご使用していただくために、誤飲防止に向けた取組みを強化して参ります。

誤飲防止に向けた今後の取り組み

  1. (1)当社Ploom TECH(プルーム・テック)公式サイトによる、より一層の注意喚起を推進(2017年12月末より更新済)。
    • 会員登録前のプルームテック・サポート画面上部に「安全上のご注意」を配置
    • 「安全上のご注意」の中に誤飲防止の注意喚起のための文章を掲載
      “保管・廃棄は乳幼児・子供の手の届かない場所にてお願い申し上げます
      Ploom TECH専用のたばこカプセルはたばこ製品です。
      たばこカプセル及びPloom TECHに関連する全てのアイテムを乳幼児・子供の手の届かない場所に保管・廃棄してください。
      万が一、飲み込んだ場合は、速やかに医師に相談してください。”
  2. (2)たばこカプセルの入ったブリスターケースに“本製品はたばこ製品です。”との記載と併せて誤飲防止の注意喚起のための文章を追記(2018年5月頃から)
  3. (3)ユーザーガイド内に記載されている誤飲に関する文章を変更(2018年8月頃から)
  4. (4)お客様へ配布する冊子リーフレット等に誤飲防止の注意喚起のための文章を追記(2018年2月頃から)
  5. (5)2018年に配布される公益財団法人日本中毒情報センターの「子どもの誤飲防止ポスターやリーフレット」に“加熱式”の文言を新たに付加することで、加熱式たばこの注意喚起を強化。これらを全国の保健センター・保健所に配布し、子どもの誤飲防止に向けた啓蒙活動を継続。

業界の対応 ※2021年9月3日 追加

「フィリップ モリス ジャパン合同会社」より

当社は今、紙巻たばこの喫煙と比較してより害の少ない代替品の開発と、リスク低減の可能性に関する科学的実証、こういった製品の責任ある市販化に資源を集中的に投下し、一日も早く紙巻たばこの煙のない社会を実現することを目指しています。1人でも多くの成人喫煙者が加熱式たばこ製品に切替えることを通じて、成人喫煙者自身の健康への害だけではなく、煙、におい、そして火災のリスクを低減し、非喫煙者も成人喫煙者も心地よく暮らせる社会づくりに貢献できると考えていますが、そのためには、加熱式たばこについても紙巻たばこと同様、当社製品を適切に使用していただくことが不可欠です。私たちは、使用済み製品の適切な廃棄や誤飲防止を促す注意喚起を、当社ウェブサイトや製品パッケージ上に掲載しています。また、誤飲が起きてしまった場合の迅速な対応のため日本中毒情報センターと連携して対策を行っています。

フィリップ モリス ジャパンの取り組み

誤飲防止の啓発

当社たばこ製品の乳幼児による誤飲を防止するため、継続してお客様に注意喚起を行い、乳幼児の手の届かない場所での管理をお願いしております。2021年8月より販売を開始した加熱式たばこ製品のデバイス(製品名ILUMATM)では、電磁誘導加熱技術を採用しており、専用のたばこスティック(スマートコアスティックTM製品名TEREATM)の中に金属片が組み込まれています。そのため誤飲した際のリスクも含め広くお客様の注意喚起に努めております。

  1. (1)「たばこスティック」パック上での注意喚起
  2. (2)金属片を含むたばこスティック製品の、広告用マテリアル(リーフレット、ポスター、ウェブサイト、製品紹介ビデオ等)での、以下の内容の注意喚起
    「注意:スマートコアスティックTMには飲み込むと大ケガにつながりかねない尖った金属片が含まれているため、飲み込んだり分解したりせず、お子様の手の届かない所で管理してください。」
  3. (3)注意文言は、お客様にとって見つけやすく読みやすいフォーマットを採用
公益財団法人日本中毒情報センターとの連携
  1. (1)日本中毒情報センターWebサイトの医療従事者向けページに当社たばこスティックのニコチン含有量、およびその他の製品情報を掲載
  2. (2)医療従事者による当社たばこスティック誤飲に関する日本中毒情報センター中毒110番への問い合わせ(センターによる情報提供)に関する費用を当社が負担
  3. (3)当社コールセンターヘ医療機関の方あるいはお客様から誤飲に関する問い合わせを頂いた際には速やかに日本中毒情報センター中毒110番にご相談いただくよう、電話番号等をご案内
  4. (4)日本中毒情報センターが実施している製品事故情報速報サービス(賛助会名義使用会員対象)を利用し、当社製品の誤飲事故に関するモニタリングを継続
関連学会

当社たばこスティックについての情報を関連学会に提供し、乳幼児による誤飲についての対応策等の協議を実施


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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