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[2017年3月2日:公表]

エステサロン等でのHIFU機器による施術でトラブル発生!−熱傷や神経損傷を生じた事例も−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 全国の消費生活センター等には、エステティックサロン(以下、「エステサロン」とする。)等でHIFU(ハイフ)という「高密度焦点式超音波」や、それに類する超音波技術を応用したという機器(以下、「HIFU機器」とする。)で施術を受けたところ、「顔面が急に熱くなり痛みが走った」や「熱傷になり、治るまでに半年かかると言われた」、「神経の一部を損傷した」等で治療に数カ月を要する危害を負ったといった相談が寄せられています。

 HIFU機器は、人体の表面を傷つけずに、超音波を体内の特定部位に集中させることで加熱し、熱変性を生じさせることができることから、医療で前立腺の治療等に用いられているものですが、エステサロン等でもホームページや施術前の説明でHIFU機器を用いて「脂肪細胞を溶解させる」、「肌の土台である筋膜に直接ダメージを与える」等、皮下組織に直接影響を与えることで小顔、痩身や美顔等の施術ができるとうたっています。その一方で、リスクについては説明がなく、「脂肪細胞を安全に破壊できる」等、消費者に安全な施術であると誤認させているエステサロン等もみられます。このような行為を医師資格のないエステティシャン等が行うことは禁じられています。

 そこで、エステサロン等でのHIFU機器を用いた施術(以下、「HIFU施術」とする。)に関するトラブルについて調査、分析を行い、消費者被害の未然防止と拡大防止のために消費者に注意を呼び掛けるとともに、関係機関・団体へ要望及び情報提供を行います。

HIFUとは

 虫眼鏡で太陽光を集中させて紙を焦がすことができるのと同様に、超音波を凹面等の発生器で一点に集束させると、その焦点での音圧を高くすることが可能であり、そのエネルギーにより焦点部分を高温にすることもできます。

 この手法を応用したものが「強力集束超音波(HIFU:High-Intensity Focused Ultrasound)」や「集束超音波(FUS:Focused Ultrasound)」、「高密度焦点式超音波」等と呼ばれています。

相談事例

【事例1】
エステサロンで痩身の施術を受けて熱傷になり、治るまでに半年かかると診断された
【事例2】
美容クリニック併設のエステサロンの施術で頬の神経の一部を損傷した。リスク説明があれば契約しなかった
【事例3】
痩身エステにお試しクーポンで行ったが、執拗に迫られやむなく新たな契約をした。顔にブツブツができ、契約をやめたい
【事例4】
結婚式直前に受けたエステサロンのHIFU施術で、顔に熊の爪で引っかかれたような3本のミミズ腫れができた。こんな機器をエステサロンで使用してよいのか
【事例5】
エステサロンで施術を受けたところ熱傷を負い、顔に傷痕が残った
【事例6】
1回で効果が実感できるという広告をみてHIFU施術を受けたが、何も効果がなかった

エステサロン等のホームページ表示

HIFU機器を用いて皮下組織に直接熱作用を加える人体への侵襲行為を行うと思われる表示がみられました

相談事例と調査からみる問題点

  1. エステティシャン等がHIFU機器を用いて皮下組織に直接熱作用を加え、危害を及ぼすような美容施術を行うことは、医師法に抵触するおそれがあります
  2. HIFU施術では皮下組織の熱傷等、表面からは判断のつきにくい危害が生じるため、診断・処置が困難となり、治療が長引くおそれがあります
  3. きっかけとなったクーポンサイト等にリスク等の記載がなく、消費者に安全な施術と誤認させています
  4. 施術前にリスク等の説明がなく、消費者に十分な検討の機会が与えられていません
  5. エステサロン等との交渉が難航し、トラブルの解決が困難となる場合があります

消費者へのアドバイス

(1)エステサロン等で皮下組織に熱作用を加え危害を及ぼすHIFU施術を受けてはいけません

 HIFU施術による侵襲行為は、医師の医学的知識や技能を必要とする施術であり、医師以外の者による施術は絶対に受けてはいけません。

(2)危害を受けてしまった場合には、すみやかに医師の診察を受けましょう

 HIFU施術では、表面からは判断のつきにくい危害が発生することもあるため、自分がどのような施術を受けたのかを、自分が施術を受けたエステサロン等の広告やホームページの施術内容の記載箇所を印刷して持っていくなどして、医師にきちんと伝える必要があります。

(3)美容施術を受ける際には広告をうのみにせず、自ら情報収集し、検討しましょう

 施術にはリスクはつきものです。リスクが一切ないとうたっていたり、リスクについて記載がないサイト等をうのみにするのはやめましょう。

(4)困ったときは消費生活センター等に相談しましょう

 医療機関ではないエステサロン等でHIFU施術を受けてしまったことが判明、疑われた際には、各地にある保健所への相談、情報提供も併せて行うとよいでしょう。

  • ※消費者ホットライン:局番なしの188(いやや)
    お住まいの地域の市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

行政への要望

医師法に抵触するおそれのある施術が行われています。監視、指導、対策等の対応を要望します

要望先

  • 厚生労働省 医政局 医事課(法人番号6000012070001)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者政策課(法人番号5000012010024)
  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 消費者庁 表示対策課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課(法人番号6000012070001)
  • 経済産業省 商務情報政策局  ヘルスケア産業課(法人番号4000012090001)
  • 経済産業省 商務情報政策局  医療・福祉機器産業室(法人番号4000012090001)
  • 警察庁 生活安全局 生活経済対策管理官(法人番号8000012130001)
  • 一般社団法人日本エステティック振興協議会(法人番号9010505002440)
  • 公益財団法人日本エステティック研究財団(法人番号2010405000889)
  • 公益社団法人日本美容医療協会(法人番号4010005016755)
  • 一般社団法人日本美容外科学会(JSAPS)(法人番号1010005013078)
  • 一般社団法人日本美容外科学会(JSAS)(法人番号7010005019920)
  • 公益社団法人日本広告審査機構(法人番号3010005016566)

本件連絡先 相談情報部、商品テスト部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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