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[2017年2月3日:更新]
[2017年1月19日:公表]

金属製タイヤチェーン使用時のトラブルに注意−緩みや速度超過などは、チェーン切れや思わぬ事故につながります−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 自動車で積雪路や凍結路等を走行する際に、滑り止めのためにタイヤに取り付けるタイヤチェーンには、接地面が金属製の鎖等でできている金属製チェーンと、ウレタンやゴムでできているタイヤ滑り止め装置(以下、非金属製チェーン)等があります。昨年度の販売数量は金属製チェーンが約40万ペア、非金属製チェーンは約24万ペア(注1)で、金属製チェーンの方が販売数が多くなっています。

 PIO-NET(注2)には過去5年間でタイヤチェーン(金属製・非金属製両方を含む)の安全・品質に関する相談が89件(注3)見られました。89件の中でも57件(64.0%)が南関東であり、日本の総人口に対する南関東の人口比(約28%)を考慮しても非常に多く見られました。これは冬季でも積雪が少なくタイヤチェーンを使用する機会がないために、チェーンの使用に不慣れな人が急な積雪に対して使用することがあるためと考えられます。

 商品テスト部では、過去5年間に金属製チェーンについて走行中の破断に関する4件のテスト依頼があり、切れたチェーンによって車体が傷付いたりブレーキが利きにくくなって雪の壁に衝突したりするなどの拡大損害も発生していました。テストの結果、チェーン自体の強度が不足していたと考えられるものや溶接不良のものもありました。

 そこで、金属製チェーンの使用実態に関するアンケート調査を実施するとともに、販売数量が多い金属製チェーンを使う上での注意点を消費者に情報提供することを目的とします。

  • (注1)「冬物用品特集」、『月刊アフターマーケット』2016年10月号、p.45-49、(株)自動車新聞社
  • (注2)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのことです。2015年度以降は消費生活センター等からの経由相談が含まれていません。
  • (注3)2016年12月31日までの登録分。

金属製チェーンの種類

  • 金属製チェーンを大きく分けると、はしご型(ラダー型とも言います)と亀甲型があります

写真 金属製チェーンの例
金属製のはしご型チェーンを装着しているタイヤの写真。タイヤ横はサイドチェーン、タイヤ表面はクロスチェーンでおおわれている。
はしご型

金属製の亀甲型チェーンを装着しているタイヤの写真。タイヤ全体がトレッドチェーンもしくはクロスチェーンでおおわれている。
亀甲型

アンケート調査

  • 約6割の人が備えとして購入していました
  • 約4割と多くの人が使用時のトラブルを経験しており、走行中に「チェーンが緩んだ」が最も多く、次いで「チェーンが切れた」と続きました
  • チェーンが緩んだ、または切れた人の2割以上が車体等に何らかの損傷を受けていました
  • チェーンが緩んだ、または切れた人の約4割が30km/hを超える速度での走行でトラブルに遭っていました
  • チェーンが緩んだ人の約7割は積雪路や凍結路面、切れた人の約5割はアスファルト路面を走行中にトラブルに遭っていました
  • チェーンが緩んだ、または切れた人の7割以上が100km以下の走行距離でトラブルに遭っていました

JIS規格を参考にした硬度試験及び溶接部の外観調査

  • 現在市場で売られている金属製の12銘柄を調べたところ、リンクの硬さはJIS規格同等以上の硬さでした。また、溶接部の不良も見られませんでした

トラブルが発生した時を想定した再現実験

  • チェーンが緩んだまま使用すると、タイヤから浮き上がったチェーンは車体に接触するようになり、路面に強くたたき付けられることにもなりました
  • 外れかかったタイヤチェーンは早期の摩耗や破断が考えられるほか、ブレーキホース等に巻き付いて損傷させることも考えられました
  • 急制動を行うと、チェーンが大きく捻(ね)じられ大きな負担がかかると考えられました

取扱説明書の表示等

  • 現在市場で売られている12銘柄調べたところ、取扱説明書には事前の取り付け練習や、取り付け後の緩みの確認、摩耗の確認についての記述が見られました

消費者へのアドバイス

  • 事前に装着方法を十分理解し、練習をして確実に装着しましょう。装着後には必ず緩みがないかを確認しましょう
  • スピードの出し過ぎや“急”のつく運転操作はやめましょう
  • 積雪や凍結のないアスファルト路面での走行は避けるようにしましょう
  • 過度の摩耗等の異常が見られるものは使用を中止しましょう

業界への要望

  • 消費者にチェーンの緩みの確認と安全な運転を心がけるよう、さらなる周知、啓発を要望します

要望先

  • タイヤチェーン工業会(法人番号なし)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 一般社団法人日本自動車工業会(法人番号7010405008746)
  • 一般社団法人自動車用品小売業協会(法人番号8010405007887)
  • 一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(法人番号8010005004343)

動画


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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