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[2016年10月27日:公表]

成人になると巻き込まれやすくなる消費者トラブル−きっぱり断ることも勇気!−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 全国の消費生活センター等に寄せられる相談をみると、20歳になった若者(成人)からの相談件数は未成年者と比べて多く、その契約金額も高額です。また、契約する商品・サービスにおいても、未成年者のトラブルではあまり見られなかった「サイドビジネス」や「マルチ取引」、「エステ」が上位になるという特徴がみられます。

 未成年者が行った親権者の同意がない契約は原則取消すことができますが(注)、成人になると未成年者のような保護はありません。さらに、社会経験が乏しい若者を狙い撃ちする悪質な業者による消費者トラブルも発生しています。

 そこで、成人になると巻き込まれやすくなるトラブルについて相談事例やアドバイスなどをまとめ、注意喚起を行います。

  • (注)法定代理人の同意を得た契約(民法5条1項、2項)や、自由財産の処分(同3項)等、未成年者が行った契約であっても取消すことができない場合がある。

図 契約当事者18歳〜22歳の年度別相談件数(平均値)
2011年度から2016年9月30日までの年度別相談件数(平均値)のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

 2011年度の18歳〜19歳の平均値は5222件、20歳〜22歳の平均値は8223件、2012年度の18歳〜19歳の平均値は4885件、20歳〜22歳の平均値は7902件、2013年度の18歳〜19歳の平均値は5731件、20歳〜22歳の平均値は8328件、2014年度の18歳〜19歳の平均値は5905件、20歳〜22歳の平均値は9075件、2015年度の18歳〜19歳の平均値は5747件、20歳〜22歳の平均値は8935件、2016年9月30日までの18歳〜19歳の平均値は2353件、20歳〜22歳の平均値は3544件です。

相談事例

よく考えずに契約した事例

【事例1】
 街中で声をかけられ、タレント事務所に同行して所属契約をした。翌日解約を申し出たら、違約金を請求された
【事例2】
 必ず利益を得られるといわれホームページ作成を依頼し料金を支払ったが、相手に不審感があるので解約したい

契約をせかされた事例

【事例3】
 痩身エステの中途解約を申し出たが、支払請求額が高額すぎて納得できない

20歳になった途端に契約させられた事例

【事例4】
 友人から儲(もう)かる話があると言われ、仮想通貨の投資のような契約をしたが、解約したい
【事例5】
 エステで契約した際は未成年であったが、20歳になってから契約したことにされた

借金を勧められた事例

【事例6】
 友人に誘われ投資用教材を契約したが、消費者金融の返済も困難なので解約し返金してほしい
【事例7】
 SNSで知った女性に連れて行かれた事務所で自己啓発セミナーの契約を勧められ借金で会費を払うよう言われた

相談事例からみられる問題点

  • 契約に関する知識が乏しいことに乗じて契約をさせられてしまう
  • 「絶対儲かる」など、うまい話に弱い
  • 業者が断りにくい状況を意図的に作り、断り切れない場合がある
  • 借金やクレジット契約を提案するなどして高額な契約をさせられてしまう

消費者へのアドバイス

  • 契約責任を負う成人であることを自覚し、安易な気持ちで契約しない
  • 簡単に大金を得ることは通常あり得ない。うまい話には飛びつかない
  • きっぱり断ることも勇気!「今日なら安くなる」などと言われてもその場で契約しない
  • クレジット契約の利用や借金は慎重に
    1. (1)安易にクレジット契約をしない
    2. (2)借金をしてまで契約しない

行政への要望

 20歳を境に未成年とは異なる消費者トラブルに巻き込まれている現状を踏まえ、消費者庁と文部科学省に以下の通り要望いたします。

消費者庁への要望

  • 20歳前後の若年層にこれらのトラブル事例が周知されるよう、都道府県及び関係団体等に対し、これらのトラブル事例に関する情報提供を行うこと。
  • 20歳前後の若年層が自立的かつ合理的に行動することができるよう、文部科学省と連携し、若年層に対する消費者トラブルの情報や知識の提供機会の拡大を促すこと。

文部科学省への要望

  • 学生等を含む20歳前後の若年層にこれらのトラブル事例が周知されるよう、都道府県及び関係団体、大学、専修学校等に対し、これらのトラブル事例に関する情報提供を行うこと。
  • 学生等を含む20歳前後の若年層が自立的かつ合理的に行動することができるよう、消費者庁と連携し、若年層に対する消費者トラブルの情報や知識の提供機会の拡大を促すこと。

要望先

  • 消費者庁 消費者教育・地方協力課(法人番号5000012010024)
  • 文部科学省 生涯学習政策局 男女共同参画学習課(法人番号7000012060001)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者政策課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 警察庁 生活安全局 生活経済対策管理官(法人番号8000012130001)

本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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