独立行政法人国民生活センター

検索メニュー

×閉じる

現在の位置:トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 少量の失禁尿を吸収するとうたった下着−過信は禁物、しみ出すことも−

ここから本文
[2016年5月19日:公表]

少量の失禁尿を吸収するとうたった下着−過信は禁物、しみ出すことも−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 失禁症状のある人は、症状に関する悩みのみならず、尿の服へのしみ出しや、においによって周囲の人に気づかれないかという不安から、外出を控えるなど、精神面への影響や行動の制約を受けてしまうことも考えられます。そのため、症状やニーズに合った適切なケア用品を選択・使用することが重要です。

 国民生活センターでは、失禁尿を吸収することをうたった、洗濯して繰り返し使える布製の下着(以下、「失禁パンツ」とします。)について、2002年4月に「尿の吸収量表示に問題があった失禁ケア用品−軽度の失禁症状がある人を対象とうたったものを中心に−」を公表し、消費者が購入の際に目安となるような適正な吸収量表示をするよう事業者に要望をしました。しかしながら、公表以降も失禁パンツについて、複数の消費生活センターからの依頼によりテストを実施したところ、広告等に表示されている吸収量よりも大幅に少ない量や、広告等には少量の失禁尿では漏れる心配がない旨の記載があるのに5ml程度の量で股(また)部分の縁からしみ出すなど、上に着用している衣服までしみ出す可能性がありました。

 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)(注)には、失禁パンツに関する相談が、2011年度以降受付、2016年3月末日までの登録分で156件寄せられています。その中には、「吸収が悪い。」、「表示量より少ない尿の量で外にしみ出す。」などといった吸収性に関する相談がみられました。

 そこで、少量の失禁尿を吸収することをうたった失禁パンツ12銘柄について調査し、消費者に情報提供することとしました。

  • (注)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのことです。2015年度以降は、消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。

主なテスト結果

モデル試験

 人体腰部の模型を用いて立位及び座位を想定したテストを行ったところ、表示吸収量よりも少量でしみ出すものがみられました。また、洗濯を繰り返すと、新品時よりも少量でしみ出すものが多くみられました。

表示、広告

 商品に使用者の尿漏れの程度や症状のタイプ、特徴に関する表示がみられたのは12銘柄中8銘柄でした。

表示者等へのアンケート調査

 想定している吸収量は、少量複数回や少数回の合計量という銘柄が多く、またその検証は、生地のみのテストからモニターテストまで様々でした。

使用経験者へのアンケート調査

 失禁パンツを単独で使用した際に、約2割の人が外に着ている服へのしみ出しを経験していました。

消費者へのアドバイス

  • 少量の失禁尿を吸収することをうたった失禁パンツには、わずかな尿量でもしみ出してしまうものがあるため、商品の選択や使用する際には注意が必要です。
  • 失禁パンツを購入する場合は、サイズ等を確認し、まずは少数枚で購入して自分の尿漏れのタイプや程度に適応できるかを確認しましょう。

事業者への要望

  • 広告等に表示されている吸収量よりも大幅に少ない量で、外側の衣服にまでしみ出す可能性のある商品がありました。消費者が症状や程度に合った商品を選択できるよう、対象となる尿漏れのタイプや程度を分かりやすく表示したり、吸収量を表示する場合は実使用に即した1回量と回数を表示するなど、表示の改善を要望します。
  • 失禁パンツの組成繊維の表示は、任意表示部分であっても消費者に分かりやすく表示をするよう要望します。
  • 商品選択の際に消費者が自分の体型に合ったものが購入できるよう、詳細なサイズ表記を要望します。また、消費者が初めて購入する際に試せるよう、1枚での販売の検討を要望します。

行政への要望

 広告等に記載されている吸収量より大幅に少ない尿量で外側の衣服にまでしみ出してしまう可能性がある商品がありました。景品表示法上問題があると考えられますので、事業者への指導を要望します。

要望先

  • 消費者庁 表示対策課(法人番号5000012010024)

情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 厚生労働省 老健局 高齢者支援課(法人番号6000012070001)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
  • 一般社団法人日本衛生材料工業連合会(法人番号7010405004332)
  • 特定非営利活動法人日本コンチネンス協会(法人番号9011305001590)

本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について