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[2015年2月19日:公表]

過信は禁物!息を吹きかけて呼気中のアルコール濃度を調べる測定器−運転の可否の判断には使用しないで!−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 昨今、息を吹きかけることによって呼気中のアルコール濃度を簡易的に調べるという測定器(以下、「アルコールチェッカー」とします。)が販売されており、消費生活センターに、約2年前に購入して使用していたアルコールチェッカーの精度が最近疑わしいとの相談が寄せられました。当センターでテストを実施したところ、測定完了を知らせる電子音は鳴るものの、調べた濃度域での指示値は全て「0」を示し、全く測定できていませんでした。

 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、2009年4月以降の5年間余りにアルコールチェッカーに関する相談が36件(注)寄せられており、「最初の1カ月はいいが2、3カ月経つと数値がゼロのまま動かなくなる。」、「今朝自宅で呼気を測定したアルコール検知器はゼロと表示した、勤務先ではアルコールが検出された、市販の検知器はいい加減なのか。」といったものもありました。

 このようなアルコールチェッカーは、使用者が正常に作動しているか否かを確認することは困難であると考えられ、測定動作に異常等がない限り、検知できなくなっていても、そのまま気が付かずに使用して測定結果を信用してしまう可能性があります。

 そこで、市販されている簡易型のアルコールチェッカー6銘柄についてテストするとともに、商品の表示や広告、使用者の意識に関する調査等を行い、消費者に情報提供することとしました。

  • (注)2014年11月末までの登録分。件数は本公表のために特別に事例を精査したものです。なお、この中には業務目的で購入した事例等も含まれています。

主なテスト及び調査結果

吹きかけ方による指示値の違い

  • 同じエタノール濃度でも吹きかける強さによって指示値が変わるものがありました。

吹きかけるガスのエタノール濃度と指示値の関係

  • 濃度が高くなるにつれて指示値が高くなる傾向はみられたものの、銘柄によって検知できる範囲はまちまちでした。

使用回数を重ねた場合の指示値の変動

  • 同じ銘柄でも個体によって指示値に差がみられるものがありました。また、使用回数を重ねると指示値が大きく変動するものがありました。

表示

  • 全銘柄でパッケージ等には、運転の可否の判断に使用してはいけない、あるいは測定結果を利用して飲酒運転になった場合には責任を持たない旨が記載されていました。
  • センサーの使用可能回数や劣化、交換等について記載がみられないものがありました。
  • アルコール以外の物質や環境によって、正しく測定できない可能性があるとの記載がみられました。

インターネット通販サイト等の広告

  • 運転の可否を判断するためのものではない等の記載がみられないところがありました。
  • 運転の可否の判断に使用できることをイメージさせるような表現がみられました。

製造販売者等へのアンケート調査

  • テスト対象銘柄が飲酒後の運転の判断に使用できると回答した製造販売者等はありませんでした。
  • 使用可能回数や使用期限が定められていない銘柄がありました。
  • 修理やセンサー交換などに対応していない銘柄がありました。

使用経験者等へのアンケート調査

  • 約8割の人が10,000円未満のものを購入していました。
  • 運転の可否の判断に使用している人も約3割いることが分かりました。
  • 同じアルコールチェッカーを長期間使用している人もみられました。
  • 正確に測定できていると認識している、目安にできると感じている人が8割以上いました。

消費者へのアドバイス

  • 息を吹きかけて呼気中のアルコール濃度を調べるアルコールチェッカーの測定結果で運転の可否を判断することはやめましょう。
  • アルコールチェッカーは測定条件によって指示値が変わることがあります。指示値を安易に信用しないようにしましょう。
  • アルコールチェッカーのセンサーには寿命があります。見かけ上の動作に問題がなくても、感度が変わっていたり、アルコールを検知しなくなっている場合もありますので注意しましょう。

事業者への要望

  • アルコールチェッカーを運転の判断に使用するものと考えている人が多くみられました。商品の用途を明確にし、消費者が誤認しないよう広告や表示等の改善を要望します。
  • センサーの寿命や感度の変動等、機器の問題が使用者に分かるよう、機能、注意表示等の充実を要望します。また、確実に正しい測定ができるよう商品や使用方法の説明の改善を要望します。
  • 商品の個体差を減らすよう品質管理の徹底を要望します。

情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課
  • 内閣府 消費者委員会事務局
  • 警察庁 交通局 交通企画課
  • 経済産業省 製造産業局 産業機械課
  • 経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課
  • 経済産業省 商務情報政策局 日用品室
  • 国土交通省 自動車局 安全政策課
  • 公益社団法人日本通信販売協会

本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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