独立行政法人国民生活センター

検索メニュー

×閉じる

現在の位置: トップページ > 相談事例 > 消費者トラブル解説集 > 美容医療サービスはクーリング・オフできる?

ここから本文
[2021年7月7日:公表]

美容医療サービスはクーリング・オフできる?

質問

 「10万円の全身脱毛」というSNS広告をみてクリニックへ行ったら「別のコースの方が効果が高い」と70万円の医療脱毛を勧められ契約した。高額なのでクーリング・オフしたい。

回答

 医療脱毛などを含む一部の美容医療サービスは期間が1カ月を超え、金額が5万円を超える場合は特定商取引法が適用され、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができます。またクーリング・オフ期間を過ぎても、契約期間内であれば決められた金額を支払うことで中途解約も可能です。

 なお、全ての美容医療サービスの施術でクーリング・オフや中途解約ができるわけではありません。契約をやめたいと思った場合はなるべく早めに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。

解説

特定商取引法の対象となる美容医療サービスとは

 特定商取引法は、7種類の継続的なサービス(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)のうち一定の条件を満たす契約を特定継続的役務提供としています。特定継続的役務提供にはクーリング・オフ制度のほか、中途解約時の取り扱いなどのルールが適用されます。

 美容医療サービスは2017年12月1日以降の契約で、以下の特定商取引法施行令(政令)及び特定商取引法施行規則(省令)に定められた要件を満たす場合は、特定継続的役務提供の適用を受けます。

美容医療の定義と期間・金額の要件(政令)

 いわゆる美容医療とは、「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)」とされています。

 そして期間(サービスの提供期間)が1カ月を超え、金額(消費者が支払う金銭の総額)が5万円を超える契約が要件となっています。

施術方法等の要件(省令)

  • 脱毛:光の照射又は針を通じて電気を流すことによる方法(例:レーザー脱毛、針脱毛など)
  • にきび、しみ、そばかす、ほくろ、入れ墨その他の皮膚に付着しているものの除去又は皮膚の活性化:光若しくは音波の照射、薬剤の使用又は機器を用いた刺激による方法(例:レーザーや超音波を照射する機器による治療、ケミカルピーリングなど)
  • 皮膚のしわ又はたるみの症状の軽減:薬剤の使用又は糸の挿入による方法(例:ヒアルロン酸注射、糸によるリフトアップなど)
  • 脂肪の減少:光若しくは音波の照射、薬剤の使用又は機器を用いた刺激による方法(例:レーザーや超音波を照射する機器による治療、脂肪溶解注射、脂肪を冷却する機器による治療など)
  • 歯牙の漂白:歯牙の漂白剤の塗布による方法(例:ホワイトニングジェルを注入したマウストレーを装着する治療など)

クーリング・オフをする場合

 特定継続的役務提供に該当する美容医療サービスにはクーリング・オフ制度があります。契約書面を受け取った日を1日目として8日間はクリニックに書面等で申し入れすることによって、無条件で契約を解除することができます。クーリング・オフの通知書面の書き方や手続き方法については、国民生活センターのホームページに解説ページがありますので、参考にしてください。

中途解約をする場合

 特定継続的役務提供は、契約期間内であれば理由を問わず中途解約をすることができます。またその際に事業者が消費者に対して請求できる、解約時に支払う費用の上限額は、特定継続的役務提供の対象業種ごとに定められています。美容医療サービスの場合は、支払い済代金との差額が下記の負担額を上回っている場合は返金を受け、不足がある場合は追加の支払いをします。

美容医療サービスを中途解約する際の消費者の負担上限額

  • サービス提供前:2万円
  • サービス提供後:すでに提供されたサービスにかかる料金+5万円または未提供のサービスにかかる料金の20%に相当する額のいずれか低い方

 特定商取引法に該当しない契約は、原則、クリニックが定める解約に関する特約に従うことになります。キャンセル料や違約金の請求に納得できない場合は、解約に伴って生じる損害の内訳をクリニックに確認してみましょう。

 解約に際してクリニックとトラブルになった場合は、最寄りの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

参考