分電盤のトラブルで冷蔵庫、電子レンジ、エアコンが一度に故障した
質問
何もしていないのに突然、冷蔵庫、電子レンジ、エアコンが一度に故障してしまいました。すぐに電力会社に連絡し、分電盤に仮の漏電遮断器を付けてもらいました。原因は、分電盤の中に生じた「中性線欠相」だとのことですが、これはどのようなものなのでしょうか。
回答
1994年以前に設置された古いタイプの単相3線式の分電盤を使用している場合に、まれに電線の断線やネジの緩みによる「中性線欠相」がおき、電気製品が壊れてしまうことがあります。トラブルを防ぐため、
- 電気設備の定期点検の際には屋外だけではなく屋内設備まで点検を受けること
- 点検時の指摘事項はそのままにせず修理などの対応を行うこと
- 中性線欠相保護機能付きの漏電遮断器に交換すること
をおすすめします。
解説
一般住宅への配電方式には2本(黒・白)の電線で100Vの電気を供給する単相2線式と、3本(赤・白・黒)の電線で、100V、200Vの両方の電気が供給できる単相3線式があります。単相3線式では、IHクッキングヒーターなど200Vの家庭用電気機器を100Vの機器と共に使用することができます。
図1 単相2線式
図2 単相3線式
単相3線式の3本ある電線のうち「中性線」と呼ばれる電線で、断線やネジの緩みによる接触不良が起こると、電圧のバランスが崩れ、電気製品に過剰な電圧がかかって壊れてしまうことがあります。国民生活センターが以前行った再現テストでは、中性線欠相により冷蔵庫や液晶テレビに過剰な電圧がかかる様子や、その後通常の電圧に戻しても、正常に動作しなくなる様子が確認されました。
上記のような中性線欠相による被害を防ぐため、1995年以降、単相3線式の配線を行う場合には分電盤に中性線欠相保護機能付きの漏電遮断器を設置するよう、電気工事に関する内線規程(注)が改正されました。そのため、1995年以降に分電盤が設置された住宅では中性線欠相による事故の危険は小さいと考えられます。しかし、1994年以前に設置された保護機能のない分電盤が住宅内でそのまま使われている場合には、現在でも中性線欠相による被害が起こる可能性があります。
図3 分電盤の仕組み(図は単相3線式の例)
中性線欠相によるトラブルの発生を防ぐために、以下の点に注意するとよいでしょう。
定期点検時には屋内電気設備も点検してもらう
4年に1度義務づけられている、電気保安協会等による電気設備の定期点検の際には分電盤など屋内の設備についても点検を依頼しましょう。
分電盤内の漏電遮断器の表示を見ると、中性線欠相保護機能付きであるかどうかを確認することができます。築年数が長い住宅など中性線欠相によるトラブルが心配な場合、自分で確認をすることもできますが感電の危険もあるため、定期点検時にあわせて確認を依頼するとよいでしょう。
定期点検による指摘があった場合の対応
電気設備の異常や指摘を受けた不良はそのままにせず、電気工事店へ点検や修理を依頼しましょう。
中性線欠相保護機能付き漏電遮断器への交換
1994年以前の古い単相3線式の家屋には、中性線欠相保護機能のない漏電遮断器が設置されていることがあります。電気工事店に依頼して、中性線欠相保護機能付きの漏電遮断器に交換したほうがよいでしょう。
お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
- (注)電気工作物の工事、維持および運用の実務に当たって、技術上必要な事項を細部にわたり規定した民間規格