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[2015年12月24日:公表]

衣類の防虫剤を使用したら体調が悪くなった

質問

 頭痛、だるさ、無気力感などに悩まされるようになり、医師に相談しているうちに、部屋で使用している防虫剤の「パラジクロロベンゼン」が原因であることがわかりました。防虫剤を捨てた後は体調は回復してきていますが、健康への影響はあるのでしょうか。

回答

 室内の防虫剤の濃度が高くなると、眼、鼻、のどなどの粘膜を刺激することがあります。高濃度の場合だけでなく、低濃度でも長期間吸い続けると健康に影響を及ぼすことがありますので、防虫剤を使用するときは、製品パッケージ等に記載されている「使用上の注意」をよく確認して、正しく使いましょう。

解説

 衣類の防虫剤は繊維製品が害虫に食われるのを防ぐもので、古くから使われている有臭性の樟脳(しょうのう)のほか、ナフタリン、パラジクロロベンゼン(パラジクロルベンゼン)、無臭性のピレスロイド系薬剤(エンペントリン)があります。

使用について

 たんすや衣類収納容器などは締め切った狭い空間のため、防虫剤を多量に使用する必要はありません。防虫剤の製品パッケージ等には、商品名のほか、成分名、使用方法、使用量などを記載するよう公正競争規約で定められているほか、条例で表示を義務付けている自治体もあります。製品ごとの「使用方法」や「使用量」を守り、使い過ぎにならないように十分気をつけましょう。特に、無臭性の防虫剤は濃度が高くなってもわからないことが多いので注意が必要です。

 なお、パラジクロロベンゼンについては、厚生労働省の「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」で室内濃度指針値が取りまとめられています。居室内のパラジクロロベンゼン濃度が指針値(240μg/m3(0.04ppm))を超えないようにするためには、密閉性のある収納容器で使用し、衣替えの際には部屋の換気を十分に行うことが大切です。

 また、防虫剤の併用はしみや変色の原因になる場合があるので注意が必要です。防虫剤を衣類の間に入れておいてもしみにならないのは、防虫剤が固体から直接気体に変化(昇華)しているからですが、種類の異なる有臭性の防虫剤(パラジクロロベンゼン、樟脳(しょうのう)、ナフタリン)のうちの2種類を併用すると、化学反応により薬剤が溶けて衣類に付着し、しみや変色の原因になる場合があります。

 そうしたトラブルを防ぐために、衣替えなどで新しく防虫剤を追加する際に防虫剤の種類を変える場合や、使っていた防虫剤の種類がわからない場合は、まず古い防虫剤を取り除き、次に入っている衣類や収納ケースなどに風をあてて防虫剤の臭いを十分に飛ばし、最後に新しい防虫剤を入れましょう。無臭性のピレスロイド系の防虫剤を新しく使用する場合は薬剤が溶けて衣類に付着することはありませんので、そのまま併用することができます。

保管・管理について

 使い残しの防虫剤は袋を移し替えず、有効成分が逃げないように密封して、直射日光が当たらない湿度の低い場所に保管しましょう。

 パラジクロロベンゼンなどの防虫剤を食品と一緒に保管すると、容器包装を透過して移行することが確認されています。防虫剤は食品と混在させて保管しないように気をつけましょう。

 また、子どもが防虫剤を飲みこまないように置き場所や使用中の管理等にも注意が必要です。万一、錠剤を飲みこんでしまった場合は、防虫剤の種類がわかるように製品のパッケージ等を持って医師に相談してください。

参考

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