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[2020年3月19日:公表]

おむつ交換台からの子どもの転落に注意!−頭部損傷リスクが高く、入院する事例が寄せられています−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

 外出先で子どものおむつを替える際には、おむつ交換台は欠かせないもので、大型商業施設などのトイレやベビールームなどでよく利用されています。おむつ交換台については、子どもが転落する事故情報が寄せられており、これまでも当センターから注意喚起をしており(注1)、また、関係機関において事故防止に向けた取り組みが行われています(注2)。

 医療機関ネットワーク(注3)には、2010年12月以降の約9年間(2019年12月31日までの登録分)で、外出先の施設などのおむつ交換台からの子どもの転落事故の情報が、58件寄せられており(注4)、危害部位は頭部が71%(41件)を占め、そのうち8件は入院を要するものでした。

 そこで、医療機関ネットワークに寄せられた事故情報を分析するとともに、消費者の利用実態を把握するためにインターネットアンケート調査を行い、利用する上での注意点について取りまとめ、消費者へ情報提供するとともに、関係機関へ要望及び情報提供を行うこととしました。

  • (注1)折りたたみ式オムツ交換台からの転落に注意!!(2007年10月5日公表)
  • (注2)2007年7月25日に経済産業省は「施設用おむつ交換台における転落事故の防止について(要請)」、2010年12月21日に消費者庁は「おむつ交換台からの転落による事故の防止について」を公表し、事故防止のため警告表示の貼付の徹底や点検の実施等を施設管理者に要請しました。
  • (注3)消費者庁と国民生活センターとの共同事業で、消費生活において生命または身体に被害が生じた事故に遭い、参画医療機関を受診したことによる事故情報を収集するもので、2010年12月から運用を開始しています。
  • (注4)2010年12月以降受付、2019年12月31日までの伝送分。件数は本公表のために特別に精査したものです。

医療機関ネットワークからの事故情報の概要

  • 医療機関ネットワークには、0〜3歳の子どもが外出先の施設などのおむつ交換台から転落したという事故情報が、58件寄せられています
  • 寝返りができるようになり、つかまり立ちをし始める頃から事故がみられます
  • 危害部位は頭部が71%を占めています。入院を要したのは9件で、そのうち8件が頭部を受傷しています

主な事故事例

【事例1】
バッグから物を取り出そうとしていたときに子どもが転落し、頭頂骨及び後頭骨骨折と診断され、6日間入院した
(4カ月・女児)
【事例2】
手を洗っているときに子どもがおむつ交換台に立ち上がって転落し、頭骨骨折、急性硬膜外血腫と診断され、5日間入院した
(1歳8カ月・男児)
【事例3】
きょうだいのトイレを手伝っていたときに子どもが転落し、頭頂骨骨折、急性硬膜外血腫及び頭部皮下血腫を負い、9日間入院した
(8カ月・男児)
【事例4】
使用済みのおむつを捨てていたときに子どもが転落し、頭部を打撲した
(7カ月・女児)

利用者へのアンケート調査結果

 0歳〜3歳の子どもの保護者で、外出先の施設にあるおむつ交換台を利用した経験のある1,000人を対象に、インターネットアンケート調査を行いました

おむつ交換台から子どもが落ちた(落ちそうになった)経験について(n=1,000)

  • 46人の保護者は、子どもが落ちた経験をしており、落ちそうになった経験のある334人をあわせると、38%を占めました

子どもが落ちた(落ちそうになった)ときの状況について(n=380)

  • 設置場所は多目的トイレが多く、形状は折りたたみ式タイプが多いことがわかりました
  • 保護者の74%が、備え付けのベルトがあったにもかかわらず締めていませんでした
  • 保護者の86%が、子どもから離れたり、目を離したりしていました。そのうち58%の人が、その時間は1〜3秒程度と回答しました
  • 子どもが落ちた(落ちそうになった)ときの状況は集中しており、保護者の70%が、かばんから物を取り出したり、おむつなどのごみを捨てたりしていました

おむつ交換台やその周辺にあれば便利・安全だと思うことについて(n=1,000)

  • 転落防止の柵やガードおよびベルト、子どもを寝かせる広いスペースについて、また、荷物置き場やごみ箱が近くにあることなど設置環境について、あれば便利・安全だと思っていることがわかりました

消費者へのアドバイス

  • 保護者がかばんから物を取り出したり、おむつなどを捨てるときなど、1〜3秒程度の短時間でも、子どもは動いて転落するおそれがあることがわかりました。おむつ交換台にのせる際には事前に準備し、子どもをおむつ交換台から降ろした後に片付けやごみ捨てをする、また、備え付けのベルトを必ず利用するなどして転落事故を防止しましょう
  • おむつ交換台から転落すると頭部への損傷リスクが高く、大変危険です。転落して頭部を打った場合には、医療機関を受診しましょう

事業者への要望

 おむつ交換台からの子どもの転落事故の情報が寄せられています。より安全なおむつ交換台の開発・普及を要望します。また、転落事故の危険性や利用する上での注意点について、消費者へのさらなる啓発を要望します

行政への要望

  • おむつ交換台からの子どもの転落事故の情報が寄せられています。より安全なおむつ交換台の開発・普及がされるよう製造事業者への指導を要望します。また、転落事故の危険性や利用する上での注意点について、消費者へのさらなる啓発がされるよう製造事業者への指導を要望します
  • おむつ交換台からの子どもの転落事故の情報が寄せられています。アンケート調査結果からは、保護者の86%は、子どもから離れたり、目を離したりしており、うち58%の人は、その場合の時間が1〜3秒程度であったことがわかりました。子どもの転落事故防止のために、保護者が子どもから離れたり、目を離したりしないで、安全におむつ交換ができる環境が整備できるよう施設管理者への周知を要望します
  • おむつ交換台からの子どもの転落事故の情報が寄せられています。転落事故の危険性や利用する上での注意点について、消費者へ引き続き啓発を要望します

要望先

  • 消費者庁 消費者安全課 (法人番号5000012010024)
  • 厚生労働省 子ども家庭局 母子保健課(法人番号6000012070001)
  • 経済産業省 製造産業局 生活製品課(法人番号4000012090001)
  • 経済産業省 商務情報政策局 商務・サービスグループ 消費・流通政策課(法人番号4000012090001)
  • 経済産業省 商務情報政策局 産業保安グループ 製品安全課(法人番号4000012090001)
  • 国土交通省 総合政策局 安心生活政策課(法人番号2000012100001)

情報提供先

  • 内閣府 子ども・子育て本部(法人番号2000012010019)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 厚生労働省 子ども家庭局 総務課(法人番号6000012070001)
  • 国土交通省 住宅局 建築指導課(法人番号2000012100001)
  • 国土交通省 都市局 公園緑地・景観課(法人番号2000012100001)
  • 一般財団法人国土技術研究センター(法人番号4010405000185)
  • 一般社団法人日本トイレ協会(法人番号5010005025433)

動画

動画イメージ写真 おむつ交換台を使用している母と子どもの様子
動画:おむつ交換台からの子どもの転落に注意!
【動画提供】国立研究開発法人 産業技術総合研究所


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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