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[2009年5月14日:公表]

歩行補助車(シルバーカー)の安全性

 高齢者が外出の際に歩行の補助や品物の運搬及び休憩に用いる商品として歩行補助車(シルバーカー)がある。歩行補助車は主として自立歩行が可能な高齢者を対象としており、買い物用の袋や休憩用の座面を有したものが多い。また、これに類似した商品として一般家庭で買い物等に使用するが、休憩用の座面を有していないショッピングカートがある。財団法人製品安全協会によるSGマーク認定実績から推定すると、2008年度において歩行補助車は約34万台以上、ショッピングカートは約9万台以上出荷されている。

 国民生活センター危害情報システムによると、2004年度以降2008年度までの5年間に歩行補助車に関する事例は30件寄せられている*1)。このうち大部分がつまずいたり、バランスを崩すなどして転倒し怪我をした事故事例(27件(90%))であるが、「方向転換が困難」、「まっすぐ進まない」など品質に関わる事例もみられた。

 そこで、これらの事例をもとにモニターによる使用状況を想定したテストを実施するとともに歩行補助車の構造、安全性、耐久性などに関するテストを行い、情報提供することとした。

*1) 2004年4月1日以降、2009年3月末日までに寄せられた事例。件数については本調査のために事例を精査したものである。


テスト結果

 現在様々なタイプの歩行補助車が販売されており、サイズや機能を考慮して6社8銘柄をテスト対象とした。なお、歩行補助車との違いを明らかにするためにショッピングカート2銘柄を参考品として加えた。

走行性・操作性(モニターテスト)

  • 小さい段差等に車輪が引っかかり、バランスを崩して危険な状態となる銘柄があった。
  • 大きな溝や段差では、後輪付近のフレームを踏んで前輪を浮かせて通過するモニターが多く、誤ってブレーキフレームを踏んでしまう銘柄もあった。
  • 下り坂での加速を抑えると同時に楽な姿勢を維持するためにはブレーキなどの制動装置が有効であった。
  • 組み立て後にフレームのロックが必要な銘柄ではロックを忘れることがあり、使用中に不意に折りたたまれて転倒する危険があった。
  • ハンドルの高さを調節する方法は各銘柄で異なり、モニター自身でハンドルの高さを調節できない銘柄があった。

歩行補助車とショッピングカートの違いについて

  • 歩行補助車とショッピングカートは外観が類似しているものがみられたが、安定性などが異なるものであった。

本体及び取扱説明書の表示について

  • 歩行補助車全銘柄に「自立歩行ができない人の使用には適さない」といった表示があり、ショッピングカートには歩行補助車と区別する旨の表示があった。


消費者へのアドバイス

  • 使用者の目的や体にあった商品を選択し、ショッピングカートを歩行補助車として使用しないこと。
  • 溝や段差を越えるときや傾斜面を歩行する際には十分に注意し、異常を感じる場合は販売店やメーカーに点検を依頼すること。


業界への要望

  • 小さな段差でも車輪が引っかかってバランスを崩したり、ハンドルの高さ調節が困難なものがあったので、安全を確保するとともに高齢者にとって負担の少ない商品の開発を要望する。
  • 歩行補助車とショッピングカートを消費者が誤認しないような商品の開発を要望する。
  • 商品選択の際、使用者に適切な情報が伝わるような販売体制を要望する。


要望先

全国ベビー&シルバー用品連合会



情報提供先

内閣府 国民生活局 総務課 国民生活情報室
経済産業省 商務流通グループ 消費経済政策課
厚生労働省 老健局 振興課
社団法人 日本通信販売協会



業界の意見 ※2009年6月1日 追加

「全国ベビー&シルバー用品連合会」より

1.小さな車輪が引っかかることについて

 SG基準では車輪の直径を決めていますが、補助輪的な小車輪はメーカーでの製品特徴としています。今後、当該メーカーからの状況について確認し、必要に応じて(財)製品安全協会と連携して対応したいと考えています。

 また、折りたたみのロックについては、従来からの大型のシルバーカータイプは手動でロックをかけるものが多く、小型のコンパクトタイプは自動ロックが多い傾向にあり、ロックを手動でかけるものは開閉時に力が少なく、また左右の2ヵ所をロックする機構となっており、付け忘れや万が一片側が外れても安全であるようにしており故障も少ないなど、ロックについては機構により一長一短があります。

 なお、現状の製品はコンパクトタイプが増加しており、ロックが自動でかかる機構が増加している傾向にあります。使いやすさについては、当会員メーカーにモニター試験等を実施し、使いやすさについて開発段階で十分配慮するよう周知したいと考えています。

2.歩行補助車とショッピングカートの区別について

 4輪ショッピングカートについては歩行補助車ではない旨を表示し、さらに当会は(財)製品安全協会と連携してリーフレットを作り販売店等に配布して、誤認しないよう注意喚起を行ってきました。今後さらに、メーカーや販売店等に注意喚起を促したいと考えています。

3.使用者の商品選択について

 歩行補助車は自立歩行ができる人を対象としており、自立歩行の目安として手すりなどを使用しないで歩ける人として、製品の見やすい箇所に表示しています。現在、製造事業者を通じて販売店等に歩行補助車の選択についても説明しています。

 高齢者は、加齢により足腰が弱り、購入時に最適な選択をしても年が経つにつれて身体能力が低下し安定性が悪くなります。当会は、上述のようにリーフレット等の配布により販売店等の認識も高まっており、歩行補助車に向かない人にはさらに安定性の良い歩行車を使ってもらうように説明を加えています。

当連合会は高齢者個々に応じた福祉用具の正しい選定について、今後も(財)製品安全協会・メーカー及び販売店様とも連携し、推し進めていく所存です。

全国ベビー&シルバー用品連合会
会長 五十畑 雅章

「コンビウェルネス株式会社」より

1.「段差に車輪が引っかかること」について

 一般的にコンパクトタイプなどと呼ばれる小型のシルバーカーには、直径14cm程度以下の比較的小さな車輪がついていることが多いのですが、こうした車輪が小さな段差でも引っかかりやすいということは、弊社では十分に把握しています。

 一方、バリアフリーに関する国土交通省の基準では、横断歩道と歩道の境目には2cmの段差を設けることとされています。これは視覚障害者等のためには段差が必要だからです。しかし、小型シルバーカーの車輪はこの段差にどうしても引っかかってしまいがちです。弊社ではシルバーカーが段差に引っかかるということが頻繁に生じるのが、この「歩道の境目の段差」を通過するときではないかと考えています。

 そこで弊社では、段差スルー機能という仕組みを開発しました。主に「歩道の境目の段差」に引っかかることなく通過させることを目的としたものです(高さ3cm以下の段差に限ります)。しかしこの段差スルー機能は、車輪が段差を乗り越えるものであって、段差そのものをなくすものではありませんので、使用者の方はご自身が段差につまずいたりしないよう、段差のあるところでは十分に注意をしていただく必要があります。

 また今回、国民生活センターのテストコースに設けられた「連続する段差」のような場合も、1つ1つの段差に十分に注意し、取扱説明書に記載しているような適切な状態でお使いいただけたらと思います。

2.「組み立て時のロック操作の必要性」について

 折りたたみが可能なシルバーカーの場合、走行中に何かの拍子で不意に折りたたまれてしまうと大変危険です。この「走行中に不意に折りたたまれてしまう」ことを防止するためには、2つの観点からの対策が必要です。

 1つ目は、折りたたみ防止のロックを確実にかけること、すなわちロックかけ忘れの防止対策です。2つ目は、折りたたみ防止ロックが確実にかかっていることを使用者ご自身が確認できることです。1つ目のロックのかけ忘れを防止するためには、手動でロックするのではなく、自動ロックにすれば解決します。弊社商品も自動でロックがかかるようになっていますのでロックをかけ忘れることはありません。しかし、自動ロックは折りたたみ状態から完全に開いた時でないとかかりませんので、万一、開き方が不完全だった場合は、ロックがかからないということになります。これを防止するのが2つ目の対策です。弊社商品には、大型の折りたたみロックレバーがついていますが、完全に開ききった時だけレバーが正常な位置に来て、手動でロックがかけられるようになります。弊社商品は、このようにして自動ロックと手動ロックによる「2重の対策」で安全性を高めています。

コンビウェルネス株式会社
商品管理部 部長 有山佳伸

「象印ベビー株式会社」より

1.銘柄No.8について

 ハンドルの形状は縦平行方式、後下がりが特長です。

  1. 1)上から押えて握るため、段差等でハンドルが持ち上がっても押える力が無理なく働きます(横長ハンドルの場合は手のひらで回転することがあります)。
  2. 2)持ち上げやすく、前部が上りやすくなっています。
  3. 3)足の踏み出しに障害物がなく、自然に姿勢が良くなり歩きやすくなります。
  4. 4)荷物は後方のかごに入れやすく、多く入ります。
  5. 5)キャスターではないため、片手で十分に操作でき、狭い場所でのバックも簡単です。

 以上、お出かけの時、人込みでの遠慮を少なくするための配慮です。

2.ハンドルの高さ調節方法について

 最初に決めれば再度行うことの少ない機構です。銘柄No.8の場合は左右外側に目印の溝があり、その位置でねじを締めます。安全のため、No.3の銘柄以外はこの方式を採用しています。

 以上、製品についての考え方、メリット等を記述しました。No.8の銘柄は約20年間作り続けていますが、現在までのところ、ご指摘の部分についての事故及び他の部分についてもクレーム等はありません。ご指摘の件につきましては今後も十二分に注意、考慮します。全員一丸となって、安全で使いやすい商品作りに励みます。

象印ベビー株式会社
企画部 取締役相談役 宮城猛




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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