[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 商品テスト・回収情報 > 商品テスト結果 > 消火用布の安全性−ごく初期の天ぷら鍋火災を消火できないことも−

[2008年6月19日:公表]

消火用布の安全性−ごく初期の天ぷら鍋火災を消火できないことも−

 消火用布は、天ぷら油が発火した際に鍋を覆って消火する等の用途として販売されている商品である。商品には、天ぷら鍋火災を初期に防止するなどの表示が記載されている。

 また、消費生活センターから「初期の天ぷら油の火災に使用できる旨の表示がある消火用布があるが、実際に消火できるか心配である。消火できる性能があるか調べてほしい」というテスト依頼があった。

 東京消防庁「平成19年中の火災の概要」によると、平成19年の管轄区域内の全火災件数5,799件のうち、天ぷら鍋火災が原因であったのは396件(約6.8%)であった。全火災件数が平成18年(5,915件)よりも116件減少しているにもかかわらず、天ぷら鍋火災の件数は平成18年と同数の396件で、全火災件数に占める天ぷら鍋火災の比率が前年よりも増加していることが伺える。また、神戸市消防局(「天ぷら油火災」初期消火中に負傷するケースが多発!!)では、天ぷら鍋火災の初期消火でタオル類、布団・毛布等を被せるなどで消火する際に、「適切でない消火手段をとったために逆に被害を拡大させたり、危険をともなう消火手段をとったために消火作業時に負傷するといったケースが多発している」との報告を行っている。

 現在のところ、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)にはテスト依頼のあった当該事例があるのみで、事故に至った事例は寄せられていないが、実際の火災で消火用布を用いて消火できなかった場合には、人の生命・身体などに重大な被害を招きかねない。そこで今回は、消火用布が実際に天ぷら鍋火災の消火に効果があるのか、消火性能を調べることとした。

 今回は、神奈川県相模原市及び東京都町田市の店頭販売、またはインターネット通信販売等で購入可能であった消火用布、計4銘柄をテスト対象とした。


主なテスト結果等

消火性能テスト

 消火用布での消火の練習を繰り返し行った職員が消火を行っても、再び火がつくことがあった(表、写真)。

表.消火性能テストで再び火がついた時の状況
銘柄No.及び銘柄名 / 鍋を消火用布で覆ってから再び火がつくまでの経過時間
1.初期消火タオル / 57秒
2.初期消火布ファイアーストップ / 16秒
3.我が家の消防士初期消火用シート / 37秒
4.ワンストップ消火布 / 19秒

写真.消火性能テストで再び火がつく様子の例(銘柄No.1)
(鍋を布で覆った直後)
鍋を布で覆った直後の写真

(再び火がついた直後(消火活動から57秒後)
再び火がついた直後(消火活動から57秒後)の写真

(火がついてから10秒後)
火がついてから10秒後の写真

表示

 消火の際にやけどなどの二次災害の危険があることや、確実に消火できる火災の規模や方法などについて具体的に表示されていなかった。



消費者へのアドバイス

 天ぷら鍋火災には消火器やエアゾール式簡易消火具(NSマーク付)を使用する。



情報提供先

内閣府 国民生活局 総務課 国民生活情報室
経済産業省 商務流通グループ 消費経済政策課
経済産業省 商務流通グループ 製品安全課
総務省 消防庁 予防課
財団法人 日本化学繊維検査協会
財団法人 日本防炎協会
社団法人 日本通信販売協会
社団法人 日本DIY協会



動画



業界の意見 ※2008年7月7日 追加

「モリト株式会社」より

 今回のテスト報告に関しては、その設定と原因の因果関係において確認の必要があると思われます。但し、今回ご指摘の趣旨を鑑み、当社製品及び関連製品の使用に関する情報を当社の広報手段(ホームページ)を用いてお知らせをする事が重要であると認識し、当社ホームページ上に「使用上の注意」としてユーザーへの注意喚起やお問い合せに対する受付先を掲載致しました。

モリト株式会社 事業開発部 部長 小島 賢司


「日本ドライケミカル株式会社」より

 弊社初期消火布「ファイアーストップ」について、発売開始より20年間、20万枚以上の実績があり、今までお客様より事故等に至った事例は報告されておりません。しかし、使用方法については国民生活センターのご指摘のように充分留意して頂くようお願いします。

使用に関する注意点

  • ファイアーストップは初期消火用具です。着火から時間が経過し、炎が高くなり周辺の壁面や天井に着火した場合は無理に当製品を使用せず、消火器を使用するか、消防署へ通報してください。
  • 使用する前に、まず気持ちを落ち着けてください。慌てると鍋をひっくり返したり、風で火を煽ってしまったりすることがあります。
  • ファイアーストップの上から濡れたタオルや布巾をかぶせる時や、上から水を注いで湿らせるときは、油面に水滴が落ちない様にしてください。
  • 油温が十分下がるまで、鍋の中を覗いたり、ファイアーストップを取り除いたりしないでください。再着火することがあります。
  • 一度使用したファイアーストップは再使用せず、不燃物として廃棄してください。一度使用したものは、付着した油が燃えることがあります。

 弊社製品「ファイアーストップ」及び消火器に関するお問い合わせは下記までお願いします。

  1. 日本ドライケミカル株式会社 品質保証室
  2. 電話番号:03-5767-3804

日本ドライケミカル株式会社 商品事業部 事業部長 渡部 俊春

「ユニチカ株式会社」

「ユニチカ株式会社」より

 今回のテスト結果を受け、当社で公表資料とほぼ同様の鍋寸法(直径300mm)・油量(700ml)でのワンストップ消火布の消火手順および自社試験結果を報告いたします。(公表後の6月23日に自社での試験実施結果より)

  1.  テスト(1):加熱開始から約18分40秒に自然発火(油温約363℃)し、自然発火後約34秒経過後(炎高さ約50cm、油温約374℃)に加熱を継続しつつ消火布を被せて消火を開始し、消火開始後15秒経過後、35秒経過後にそれぞれ濡れタオル(寸法34cm×82cm)を広げて合計2枚置いた後約37秒経過後ガスコンロの火元を消しました。ガスコンロを消す前に微小な再発火が鍋横の下から認められましたが瞬時に自然消火し、その後再発火も無く消火できました。
  2.  テスト(2):加熱開始から約13分8秒に自然発火(油温約371℃)し、自然発火後約54秒経過後(炎高さ約80cm、油温約406℃)に消火布を被せて消火を開始し、さらにガスコンロの火元を消し、消火開始後17秒経過後、消火開始後約31秒経過後、消火開始後約1分5秒経過後にそれぞれ濡れタオル(寸法34cm×82cm)を広げて合計3枚を置きました。濡れタオルをかけている間に鍋横の下からの再発火は一時的に2回あったものの濡れタオルで消火できる程度のものであり、濡れタオル3枚目を置いた後は再発火も無く消火できました。

 以上の結果から当社として今後、取扱説明書の内容の検討も含め、さらなる安全性を追求してまいります。

ユニチカ株式会社 ガラス繊維事業部 ガラス繊維開発部 部長 吉田 三雄

「ユニチカ株式会社」への商品テスト部の見解

 今回の当センターの天ぷら鍋火災の消火性能テストでは、ワンストップ消火布は2回のテストのうち1回は、一旦消火したように見えたものの再び火がつきました。消火用布は、鍋を覆う方法(被せ方、角度、動作時間など)によって、消火できるかできないかが分かれてしまうため、確実とは言えません。神戸市消防局の報告(「天ぷら油火災」初期消火中に負傷するケースが多発!!)にあるように、炎に近づいて消火することの危険性や確実な消火を考慮すると、天ぷら鍋火災には消火器やNSマーク付のエアゾール式簡易消火具を使用すべきと考えます。




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について


商品テスト結果トップページへ

ページトップへ