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[2007年10月5日:公表]

石油ファンヒーターによる室内空気汚染

 石油ファンヒーターは冬場の居間などの暖房機器として最もよく使われており、やけどや一酸化炭素中毒にも注意が必要だが、呼吸器に悪影響を及ぼす窒素酸化物や、最近ではいわゆるシックハウス症候群や化学物質過敏症といった問題から注目されるようになった揮発性有機化合物(VOC)についての関心も高い。PIO−NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、2002年度から2007年8月末日までに「石油ファンヒーター運転中、異臭と目にしみるような刺激を感じる。」、「臭いが強く、のどがいたい。」といった石油ファンヒーターに関連した危害情報が243件寄せられている。そこで、石油ファンヒーターを使用したときの窒素酸化物や揮発性有機化合物等による室内空気汚染と換気の効果などを調べ、消費者に注意喚起等の情報提供をする。

 テストの対象銘柄はダイニチ工業(株)、(株)コロナ、(株)トヨトミの3社の暖房のめやすが木造9畳までのもの1銘柄ずつ(銘柄1〜3)と暖房のめやすの大きな木造15畳までのもの1銘柄。


主なテスト結果

設定温度を20℃にして使用した場合

  • 運転を開始すると二酸化窒素の室内濃度は急激に上昇し、健康保護のための目安となる濃度(短時間の場合は0.1〜0.2ppm)を10分程度で超えて上昇し続け、30分後には0.5〜0.8ppm前後にまで達した(図1)。石油ファンヒーターは長時間、日々繰り返し使うため、健康影響が懸念された。
  • 室内にいて頭痛や咳、目がチカチカするといったいわゆるシックハウス症候群問題をきっかけに、厚生労働省は揮発性有機化合物(VOC)の個別成分の室内濃度指針値やトータルとしての総揮発性有機化合物(TVOC)の暫定目標値を定めている。テストの結果、VOCの室内濃度は、銘柄により差があり、指針値を超えることはなかったが、TVOC濃度は1〜1.5時間の使用で暫定目標値(400μg/m3)を超えるものもあった(図2)。


図1 二酸化窒素濃度
設定温度を20℃にして使用した場合の二酸化窒素の室内濃度のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

 3銘柄とも運転開始(点火後)から急激に濃度が上昇し、0.1〜0.2ppmを10分前後で超えた。その後も上昇し続け、30分後には0.5〜0.8ppm前後にまで達し、30分後あたりからは上昇が緩やかになった。全般に銘柄2、銘柄1、銘柄3の順で濃度が高い傾向。


図2 TVOC濃度の変化
設定温度を20℃にして使用した場合のTVOC濃度の変化を示したグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

 どの銘柄でもTVOC濃度は使用時間の経過とともに上昇した。運転開始から30分では、全銘柄暫定目標値(400μg/m3)を超えなかったが、1時間から1時間30分では銘柄3が、2時間から2時間30分と停止後は銘柄1と銘柄3が暫定目標値を超えた。

設定温度を25℃と高めにした場合

  • 設定温度を20℃にした場合に比べ、設定温度を25℃にした方は室温を更に上昇させ維持していくための燃焼により二酸化窒素等の燃焼ガスの濃度が高くなり、室内空気環境はより悪化した。

6畳の部屋で暖房のめやすが15畳までと大きいものを使用した場合

  • 6畳の部屋で暖房のめやすが木造15畳までと過度に大きなものを使用したところ、二酸化窒素、二酸化炭素などの燃焼ガスの濃度は木造9畳までのものとほぼ同じレベルであったが、TVOC濃度は3時間の使用で5〜6倍も高くなった。

換気の効果

  • 1時間に1回1分間、2箇所の窓を全開にしたところ、二酸化窒素などの燃焼ガス濃度は約4割低下し(図3)、TVOC濃度の上昇も抑えられたことから換気による空気の入れ換えは非常に有効であった。またその際に一時的な室温の低下はあるが、窓を閉めるとすぐに回復した(図4)。


図3 二酸化窒素濃度
換気なしと換気をした場合の二酸化窒素の濃度の変化を示したグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

 換気なしの場合、開始から60分で濃度が0.6ppm前後まで上昇。その後も緩やかに上昇を続け、150分後には0.8ppm前後に達する。1時間に1回換気した場合、60分後換気時に0.6ppm前後から4割程度濃度が低下。その後再び上がるが、120分後換気時に0.5ppm前後から4割程度低下。


図4 室温
換気なしと換気をした場合の室温の変化を示したグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

 換気なしの場合、開始から30分前後で20℃あたりまで上昇し、そのまま20℃前後で持続。1時間に1回換気した場合、換気時は約1℃の温度の低下はあるが短時間で回復。換気時以外は、換気なしの場合とほぼ同じ室温を維持している。



消費者へのアドバイス

  • 閉め切った部屋で石油ファンヒーターを使用すると室内空気環境は悪化する。1時間に1〜2回程度、しっかり換気しながら使用すること
  • 設定温度を高くすると室内空気環境がより悪化する。設定温度はひかえめにした方がよい
  • VOCによる室内空気汚染の観点から、部屋の広さに対し最大暖房出力が過度に大きなものは使わない方がよい
  • 呼吸器の弱い人や疾患のある人、子どもがいる環境では他の暖房機器の検討を


業界への要望

  • 石油ファンヒーターから発生する窒素酸化物と揮発性有機化合物の低減化を要望する。


行政への要望

  • 石油ファンヒーターから発生する窒素酸化物と揮発性有機化合物を低減化させるための機器の改善の指導を要望する。


要望先

経済産業省 商務流通グループ 製品安全課
社団法人 日本ガス石油機器工業会
財団法人 日本燃焼機器検査協会



情報提供先

内閣府 国民生活局 消費者調整課
経済産業省 商務流通グループ 消費経済政策課
厚生労働省 医薬食品局 審査管理課 化学物質安全対策室
環境省 水・大気環境局 総務課



業界の意見 −たしかな目 2008年1月号より−

「日本ガス石油機器工業会」より

 業界として、今回の試験結果を真摯に受け止め、今後とも、石油ファンヒーターを安全かつ快適に使用していただけるよう、引き続き更に換気の啓発を行っていくとともに、窒素酸化物やVOCの低減など機器の改善に努めてまいります。

 なお、テスト結果に対しては、次のとおりです。

1.窒素酸化物などの測定位置が機器前方の温風が直接当たるような位置であるため、室内環境というより温風そのものを測定していることが考えられ、測定及び評価に当たって、この点を配慮いただきたかったことを申し上げます。

 なお、取扱説明書で、石油ファンヒーターの使用に当たっては温風に直接当たらないようにお願いしております。

2.今回の試験条件について、暖房の目安としている標準適室より小さい部屋で閉め切った状態で試験されたことは示されていますが、更に、試験された部屋が換気回数0.44回/h(室温20℃)という高気密住宅に相当する部屋であり、石油ファンヒーターの通常の使用状況に対してかなり厳しい条件のもとでの試験であったことを「たしかな目」で明確にしていただきたかったことを申し上げます。

 なお、石油ファンヒーターは換気しながら使用する製品であり、本体表示や取扱説明書で換気についての注意をお願いしております。また、換気については、業界としても従来から啓発を行ってきたところですが、今後引き続き更に啓発活動を行っていく所存です。

社団法人日本ガス石油機器工業会 石油技術委員会 委員長 岡戸 政隆

商品テスト部の見解

1.測定位置はファンヒーターから1.5 m離れており、部屋の中央で椅子に座っていることを想定してテストを実施しております。また、石油ファンヒーターのファンにより室内の空気は強制的に撹拌されており、時間経過とともに窒素酸化物の濃度が上昇していること、運転停止後も30分以上測定を続けていますが、濃度が急激に落ちないことから温風そのもののデータとは考えておりません。

2.室温25℃の場合の部屋の換気回数は0.5回/時間を上回っていますので、一般住宅から大きくかけはなれてはいないと考えておりますが、20℃の場合はご指摘のとおりわずかではありますが0.5回/時間を下回っていましたので、やや気密性の高い条件でのテスト結果であるかと思います。




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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