[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 商品テスト・回収情報 > 商品テスト結果 > 歩行補助車の安全を考える

[2003年2月6日:公表]

歩行補助車の安全を考える

実施の理由

 足腰が衰えてきている人が、歩行の補助や手荷物の運搬、休憩時に腰掛けるなどに利用する商品として歩行補助車がある。歩行補助車は、(財)製品安全協会によるSGマーク認定実績から推定すると、平成13年度に約24万台が販売されている。高齢化が進み、さらに販売数量も増えるものと考えられる。

 一方、危害情報システムに寄せられた歩行補助車による事故情報は、平成4年4月から平成14年12月末までに38件であった。事故のきっかけは「押して歩いているときに転倒した」という内容が大部分である。中には骨折などにより入院するといった重篤な事故も見られる。転倒事故は、段差や溝などの道路環境や歩行補助車の不具合、取扱いの問題などによると考えられる。

 そこで、押して歩くときの安全性、ハンドルの強度や耐久性、座面に腰掛けるときの安全性などについてテストを実施し、消費者に情報を提供することとした。

 また、歩行補助車と形状が類似しているショッピングカート(4輪で押して歩くもの)は、混在して販売されていることがある。歩行補助車との違いを明らかにするために参考品として取り上げ、テストを実施した。



結果・現状

 歩行補助車の一部に、ハンドルの安定性や強度、座面の安定性などで問題のあるものがあった。また、「座面とバッグが小さい」あるいは「座面がない」タイプには、2cmの段差が乗り越えにくいもの、道路の側溝の格子状のふたに落ち込んで転倒するおそれのあるものも見られた。

 ブレーキやストッパは安全機構として必要な装備であるが、高齢者には扱いにくいものがあった。ブレーキについては装備のないものや装備されていても使用に伴い効きが弱くなるものなどが見られた。

 ショッピングカートは、ブレーキがなくハンドルの安定性などで歩行補助車とは異なっていた。



問題点

 歩行補助車の中には、段差が乗り越えにくいもの、道路の側溝の格子状のふたに落ち込んで転倒するおそれのあるものが見られたので、危険の少ない商品作りが必要である。ブレーキは重要な安全機構であることから、耐久性のある商品作りが必要である。

 歩行補助車とショッピングカートは異なる商品であり、ハンドルの安定性などで違いがあった。歩行の補助として利用する場合は、ショッピングカートで代用するのではなく、歩行補助車を選択することが大切である。



今後の予定

 テスト対象メーカーや業界団体に対して、使用者が適切な商品選択ができるような表示の改善と販売時のサポートを要望する。また、製品については、より安全な商品作りを要望する。行政等に対しては、日本工業規格(JIS)の策定や表示の改善などを要望する。



業界の意見 −たしかな目 2003年5月号より−

「全国ベビー&シルバー用品連合会」より

 今回の要望に対して、当業界は以下の対応を行っております。

(1)表示の改善
 ショッピングカートと歩行補助車を明確に区別する対策として4輪タイプ、ショッピングカート本体およびタグ等に歩行補助車と区別する文言「この製品は買い物に使用するショッピングカートです。歩行を補助する歩行補助車ではありません。」を表示。また、販売店には消費者に適切な説明を行うためにチラシを作成して配布。現在、文案を作成中。
(2)取扱説明書等
 メーカーの取扱説明書、パンフレットなどは歩行補助車とショッピングカートを明確に区別した 記載に改め、特に「シルバーカー」「老人車」の文言は歩行補助車以外には使用しないこと。
(3)安全なブレーキ
 各メーカーにブレーキの安全性について改良を求めます。
(4)車輪の形状
 車輪の幅、車輪の直径、車輪の構造=単輪か双輪については製品安全協会と検討中です。メーカーは独自にタイヤの幅を27?以上、直径140?以上に改良することに取り組んでおります。
(5)ロック機構
 安全な機構に改良、あるいは取扱説明書、本体表示・タグ等で使用者に対して操作時の説明が十分に行き届くように表示方法にくふうを行います。
(6)夜間の視認性の確保
 夜間反射材を未使用のメーカーに対し業界の反射材の使用あるいは、各自の調達で製品に貼付することを促します。
業界の仕様・材質=JIS Z 9117(JIS1級)・カラー白・サイズ=55×48?角・黒色マーク入り1台につき4か所貼付(2000年8月から実施)

全国ベビー&シルバー用品連合会 事務局長 竹内 貞民

「幸和製作所」より

 当社は歩行補助車のリーディングカンパニーを自負しており、またコンパクトタイプ(座面とバッグが小さいタイプ)を築いてきたメーカーとして、当社製品すべてに社内基準による厳しいテストを課しております。

 しかしながら、今回のテスト結果にて指摘頂いた点につきましては、早急に改良改善を行い、お客様にとってより安全でより使いやすい製品作りに取り組んでまいります。ただし、テストに合格するためのテストをするつもりはありません。

 また、歩行補助車と4輪ショッピングカートの表示等の件ですが、業界全体の問題としてとらえ、全国ベビー&シルバー用品連合会と製品安全協会との間で協議して取り組み実施する予定です。ちなみに当社では4輪ショッピングカートの取扱説明書について、いち早くお客様に誤解を招くような表現方法を改め、より大きく見やすい文字を使用しております。お客様には安全に使用していただくため、購入後必ず取扱説明書を一読されますようお願いします。

(株)幸和製作所 統括部長 谷 英雄

「コンビウェルネス」

 今回の検体はコンビキャリーピコで、現在は2代目のコンビキャリーピコII になっております。前者は一昨年の春に発売され、一年を経過する中で、よりよい製品への改良を加えカラーも一新し、後者の製品を昨年の8月より発売しております。テスト結果の、車輪の直径や幅が側溝の格子状のふたに落ち込むことがある点については、より安定してお使いいただくために、ピコII では前車輪を2輪構成に設計変更し、ダブルキャスター付きで方向転換もスムーズな走行が出来る製品としております。段差の乗り越えについても、前輪のダブル化によって、ピコII では操作性が向上しております。当製品は、軽量化と小さく折りたためる開閉機構にて、持ち歩ける良さもあり、この条件を満足しつつ走行安定性を高めています。また、使用経過と共にハンドブレーキの効きが弱くなる点ですが、説明書にブレーキワイヤーの調節のしかたを示しています。ピコ・ピコII は後輪に制動オイルダンパーを採用し、下り坂での速度を抑制する安定した走行が可能となっています。

 今後も使用者の声を反映して、よりよい製品に努めてまいりたいと考えております。

コンビウェルネス(株) 取締役開発部長 小菅 匡

「サツキ」より

家庭用品品質表示法における表示について
 弊社では、数年前経済産業省の試売テストにより本体表示の指導を受けました。歩行補助車であり、ショッピングカートとは異なりますと主張いたしましたが、バッグが付いている以上、表示を付けるよう指示され今日に至っております。今回テストで、その表示が必要でないと指摘を受け情報不足に驚いております。即、生産および在庫品の表示を取り外すよう対応いたしました。そのほかに関するテスト結果は真摯に受け止め、早急に改良に努めます。また、本体表示、取扱説明書においても再度見直しをいたします。

(株)サツキ 代表取締役 宮城 薫

「象印ベビー」

「象印ベビー」より

速度を抑制する機構について
 弊社製品の前輪は、キャスター方式ではなく、左右連動した押し手を任意の進行方向に対して動かす、また、押し手の動きを止めることもできますが、その場合少し余裕を残してあります。これは直進中でも路肩の傾き等による蛇行の修正が必要とされるからです。そのため、この度のテスト方法では、押してから手を離すときの前輪の位置、また途中での振れ等により蛇行することがあります。

 任意無段階にしました理由は、使用者の押す力等は一定しませんので、ご自分に適した制動が必要であり、それに対応する設計になっております。坂道の下りではブレーキとの併用になります。
そのほかの指摘に対しては早急に対処、また厳重な品質管理をいたし、より安全な製品作りに励みます。

象印ベビー(株) 企画部取締役相談役 宮城 猛

「象印ベビー」への商品テスト部の見解

 今回のテストにおいては、下り坂で速度を抑制する機構の確認をしました。人が坂道で押して歩いた場合でも、左右の速度を抑制する機構を均等に調整しないと片側に曲がってしまう状態が確認されたため、この点についての指摘をしております。




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について


商品テスト結果トップページへ

ページトップへ