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[2002年4月5日:公表]

尿の吸収量表示に問題があった失禁ケア用品−軽度の失禁症状がある人を対象とうたったものを中心に−

実施の理由

 失禁(「尿失禁」のこと)症状がある人は年々増加傾向にある。失禁は高齢者だけの問題ではないが、日本の人口高齢化は急速に進行しており、失禁症状のある人は高齢者に多かった。

 このような現状を背景に失禁パンツや失禁パッド(以下「パッド」とする)など失禁をケアする商品が多数販売されている。利用者にとってはどの位の失禁量ならもれずに使えるのかということが最も重要であるが、実際には尿の吸収量表示のないものも販売されている。さらに表示以外にも、「もれて役に立たない」、「尿が全面にもれた」、「かぶれた」などの苦情も寄せられている。

 そこで、今回は軽度の症状の人を対象としたもので、失禁パンツとパッドの両方に多く見られた約50mlのものを中心に、吸収性や消臭性などについて実使用も踏まえながら調べ、情報提供することにした。



結果・現状

 失禁パンツとパッドでは吸収性に大きく差があり、失禁パンツのほとんどは表示量の半分以下で、吸収量が少なかった。また、実際のモニターでも「もれ」を経験した人がパッドより多かった。パッドは、ほとんどのものが表示を上回る吸収量で、吸収性に優れていた。消臭性やむれの点でも、パッドのほうが優れていた。実際に失禁症状があるモニターが使ってみたところ、総合的に良かったのはぬれても交換がしやすく、着用時のシルエットも気にならないパッドのほうで、今後使用するのもパッドが良いという人が多かった。従って、吸収量が約50mlの商品を必要としている人にはパッドがむいていた。なお、パッケージを失禁用とわからないようにするなど、購入しやすい環境を整える配慮も必要である。



問題点

 失禁パンツの吸収量表示は、購入の目安にはならないので問題であった。また、吸収量以外にも表示上の問題が多く、軽度の失禁症状がある人には、医療費控除を受けるに必須な「おむつ使用証明書」が発行されることは考えにくいが、一部のパッドに医療費控除対象品の記載があり、誤解を招き兼ねず問題であった。さらに、組成表示の内容が家庭用品品質表示法上不適正なものがあった。



今後の予定

 テスト対象メーカーや業界団体に結果を説明し、吸収量については統一したテスト方法を構築し表示するよう要望する。また、抗菌剤や消臭剤について、自主的に製品にその成分を表示するよう要望する。さらに、医療費控除対象品の記載について、表示の改善も要望する。



業界の意見 −たしかな目 2002年7月号より−

「クレシア」より

  1. (1)本結果は失禁パンツvsパッドという、カテゴリー(分類)間の比較試験と受け取られ、消費者のべネフィットという視点では少し考察に欠ける感がいたします。現在失禁パンツをご使用している消費者に「失禁パンツは性能が悪いのでパッドに替えなさい」を示唆し、失禁パンツのべネフィットを吸収量の結果だけから否定してしまっていることがうかがえます。失禁パンツのユーザーの視点に立ったそのよさも考慮し、考察すべきであったと思います。
  2. (2)実使用テストにおいて、50ccのパッド使用者を対象とされた点につきまして、やはり現在失禁パンツを使用している方を加えるべきだと思います。望ましくは失禁パンツ使用者に失禁パンツを使用していただき、パッド使用者にパッドを使用していただくことが使用テストの基本設計と考えます。失禁の状態、量は個人差があり、体調、季節などでも異なります。失禁パンツはパッドに至らない超軽度の症状の方を対象としていることから、パッドのユーザーが失禁パンツを使用すれば、結果は明白であると考えられます。この点の配慮、考察が欠けていると思われます。

 以上、まとめますと失禁パンツのベネフィットに触れられていないために、失禁パンツ=悪、パッド=良という構図が本結果からうかがわれますことは逆に消費者に対して誤解を招く危惧を感じざるをえません。
 何とぞ、弊社の意見にご理解をいただき、今後の参考にしていただきたいと存じます。

(株)クレシア 商品企画開発部調査役 尾関 昌幸

商品テスト部の見解

 今回の実使用テストのモニターの中には、失禁パンツを使用したことのある方も含まれています。
 消費者へのアドバイスでも述べていますが、どのくらいの吸収量の製品が必要かは、利用される方の症状によって異なります。テストでは、約50mlの製品が必要な方にはパッドのほうが向いているという結果でした。統一した表示をしていただければ、利用者が各人の失禁量を把握し、それに応じた吸収量の失禁パンツあるいはパッドを選ぶことが可能であると考えられます。

「高島屋」より

 今回のテスト結果に関しては、真摯に受け止め、「吸収量の表示」および「組成表示」につきましては、改善に向けて重点的に取り組むために、以下のような対応を検討・実施いたしております。

  1. (1)吸収量は、表示の義務はないものの、より顧客の視点に立ち、調査機関のテスト結果に基づいた「吸収量の表示」を行うことを検討いたしております。ただし、吸収量のテスト方法の統一に関しましては、メーカーを通じて業界に働きかけを行ってまいりますが、今後は行政に対する要望も、あわせて行っていただければ幸いに存じます。
  2. (2)組成表示等の不備が想定される当該商品に関しては、確実な組成表示が可能になるまで販売を停止いたしており、現在は調査機関にて検査を行っております。その結果を受け、カタログおよび商品に適正な表示を行ってまいります。

 「消費者の視点に立った商品づくり」を進めるうえで、こうしたご意見は非常に貴重であり、かつ迅速に対処すべきものであると考えております。

(株)高島屋 通信販売事業本部 第2営業部 健康・介護用品担当 斎藤 剛

「多比良」より

 製品、吸水布素材の選定、いずれも同様の方法で吸収量を確認しております。すなわち、失禁パンツの股部分に人工尿(尿素20g、塩8g、硫酸マグネシウム1g、塩化カルシウム0.5g、水1L)を50ml注ぎ、すべてが吸収されたのを確認して、手のひらを押しつけて表面の戻りの確認を行い(周辺から漏れ出しがあっても手を離すと漏れ出した水分が再び吸水布に吸い取られる状態であることを確認する)、問題ないことを確認しています。この数値を吸水量の目安として約50mlと表示しております。
 はき心地、肌触り、フィット性、洗濯の取り扱いについてもモニターによる確認を行い、品質の確保を行っております。
 失禁パンツは、吸水に布地を使っておりますので、時間が経過すると繊維を伝って水分が伝わる性質があります。失禁があった際は、なるべく早いうちにはき替えていただくことをお勧めいたします。
 通常の使用に関しては問題はないと判断しております。
 「吸収量」については統一された定義がないので、今回の試験は「相対比較をするための試験方法の1つ」として評価されるものであると思います。しかし、「吸収量の定義」や「吸収量の絶対値」を示すものとして適当なものであるかについては十分議論されなければならないものと考えます。消費者の商品選択に適切な情報を提供できるよう、統一規格の作成に向けての動きが促進されることを希望し協力していきたいと考えます。
 品質表示については、家庭用品品質表示法に基づいて表示しております。ご指摘の項目については詳細確認の上、不適正な部分は改めてまいります。
 今回のテスト内容は、真摯に受け止め、今後の商品企画、開発、品質管理に生かしてまいりたく考えております。

多比良(株) 開発部次長 金村 光恭

「NI帝人商事」より

  1. (1)副題が「軽度の失禁症状がある人を対象にした失禁ケア用品」を中心にとあるが、「軽度」表示の失禁とは吸水量の目安を数値的にどこに置いたものをいうのか、消費者へもっとわかりやすくする必要があります。今回のレポートで「購入の目安になる適正な表示」とはどうすればよいのか識別表示について、分科会を設け早急な方向付けが必要です。
     当社の製品は腹圧性尿失禁で悩んでおられる軽度〜中等度の人(薬で治療できるといわれる失禁、50ccまで)を対象に、洗濯が可能で環境にやさしく、デザイン性のある失禁パンツを上市しました。
     各社、狙いが違うのですから、国民生活センターがパッドタイプの肩を持つような表現は慎んでほしいと思います。消費者は国民生活センターのいうことだからと、うのみにします。
     パッドタイプは使い捨てで、環境にはやさしくありません。一面的な見方での判断は公共団体としては慎むべきだと思います。
     このような誤解は、吸収量をベースとした機能性能のとらえ方(漏れ、むれ、においなど)ができていないために起こったもので、吸水量の表示義務化とその測定法の統一化を進め、もっと深い吟味が必要と考えます。
  2. (2)抗菌性の加工剤・安全性の表示要望について、どういう表示の仕方をするかガイド案を示して欲しかった。当社は、製品の一部の部材だけにSEK申請したケミタック(R)加工を施していますが、SEKマークを表示するには身生地を含む製品部材すべてがSEK基準に合格しないと抗菌防臭表示できないことになっており、基準不適合のため表示しておりません。
     今回テストした失禁パンツのうち、SEKマークがついたのは2銘柄あったとのことですが、身生地を含む製品部材すべてがSEK基準に合格しているのでしょうか。
     かつて、当社が市販品を購入し調べた時は、SEKマークがついている製品でも全部材がSEK基準に合格しない表示法上不適正な製品が上市されていました。まず、抗菌(や消臭)性についても、表示する時の測定法の統一と基準作りが必要だと考えます。

NI帝人商事(株) 生活用品課 (元・帝人(株)新商品事業部) 吉田 典雄

商品テスト部の見解

 失禁パンツの場合、肌側接触部分に加工が施されていなければ、SEKマークを取得できることになっています。今回は、マークのないものもあり、さらに加工部位が銘柄によって異なるため、加工部位の効果の追試という形ではなく、股部分について多層構造のまま試料として抗菌効果があるかどうかを調べました。

「ニシキ」より

 弊社商品に関するご指摘、改善要望につき早速検討いたしましたので下記のとおり報告いたします。

  1. (1)吸収量表示は、ご指摘どおり商品パッケージに説明を入れておりませんので、お客様にわかりやすい内容で表示します。
  2. (2)吸収量評価ですが、国民生活センターと弊社とのテストの違いによるものではないかと思います。国民生活センターでは局部に人工尿を5mlずつ加えての表地からのしみ出しでの判定ということですが、弊社では吸収体全体で吸水量を算定しております。吸水体を10×10cmで人工尿に浸漬させ荷重を5kg掛けた後の吸水量を測定し、自重の吸水倍率を算出し、その商品の吸水体の自重に掛けた全体吸水量に対し、全体の70%をその商品の吸水量とみなし、今回の商品は約50mlの吸収量があるとして商品説明しております。

(1)(2)は日本コンチネンス協会の指導のもと、貴結果報告書にもありますように軽度の尿失禁は5ml以下でありますので、1日当たりの失禁量に対して商品がどれだけの吸収量があるかをわかるような表示内容を表示することで内容について日本コンチネンス協会に相談しております。

  1. (3)組成表示の股部分が正しく記載されていないと指摘されていますが、弊社商品では「その他」の部位として表示しており、レーヨンについては5%未満ですので表示しておりません。あわせてこの指摘で「その他」の部位表現で日本繊維製品品質技術センターに確認しましたが特にまちがいではないが消費者がわかりやすい表現の方が望ましいということで部位の名称を「吸水部」に変更します。
  2. (4)失禁パンツとパッドの比較でパッドのほうがよい結果となっておりますが、繊維商品のパンツと使い捨てのパッドとは構造が異なるわけですからモニターされた方にも商品の内容を理解されたうえでの感想と国民生活センターの総評であることを望みます。また、昨今の環境問題から、ごみの増加になる使い捨ての商品によい評価を付けることは不適切かと考えます。特に中高年の方は使い捨ての商品にはかなりの抵抗があるようです。

ニシキ(株) 総合管理部 諸岡 勇次

「白十字」より

 今回、「当社試験規準による吸収量表示」がテスト結果の吸収量と相対するというご指摘がありましたので、意見を申し述べさせていただきます。
 弊社試験規準は、過剰の液を取り除いた吸収体全体で保水できる液量を吸収量ととらえており、それに基づいた方法で自社試験を行っております。実際の装着におきましては、数時間から半日といった単位での使用が一般的と思われます(弊社のモニター調査では外出時や起床時に着用という方が大半でした)ので、長時間にわたり軽失禁による排尿が吸収体に拡散・浸透していくことを想定するのに無理はないものと思料いたします。
 国民生活センターによるテスト方法は、軽度失禁ケア用品を対象としたものとしては、国際的にも先駆的な唯一の統一比較方法であり、国際標準になりうる可能性すらあります。本テスト結果をもって「吸収量」と公表されましたことは、非常に大きな影響を持つものと予想され、弊社としてもただちに表示方法の変更に取り組む所存です。

白十字(株)営業企画部 課長 吉井 泉

「ピップトウキョウ」より

 今回のテストですが、消費者の方に対し一部誤解が生じるような内容が含まれていましたので当社の見解を示します。

  1. (1)吸収量について、本文中に国際禁制学会によると、「漏れ量が5g以下で軽度の症状、10gまでで中度、10gを超えると高度、50gを超えるときわめて高度の失禁と判定されます」とございますが、テストでは、軽度失禁用(5cc以下)からきわめて高度の失禁下着(50ccを超える)まで同等に行われたように思います。
     本商品は「軽度失禁用」と表示していますように5cc程度を目安に開発いたしました。比較商品[1]〜[5]の表示は50ccになっており、これらを基準に比較されますと当然の結果になると思います。
     しかし、本商品の開発コンセプトは、「普通の下着感覚」です。「形、素材(本体・綿100%)、はき心地、シルエット等、普通の下着に近い商品を作ろうと吸水部分をできる限り薄くし、特別な防水テープ等を使わずに横漏れを防止する」という位置づけで開発いたしました。軽度失禁の方が十分にお使いいただける商品でありながら、あたかも他社商品に劣るような比較をされている点において消費者の誤解が生じると思われます。
     雑誌に記載されておりますとおり、1回の失禁量が比較的多い方にはパッドをお使いになるのが望ましいという見解については当社も賛同しており、専用紙パッドを使用する中度失禁者用下着をお勧めしております。
  2. (2)本商品は、「はき心地」を重視しており、綿100%を使用しています。綿は、その素材の性質上洗濯によってわずかの縮みはありますが、実際にご使用いただくのに支障はございません。
  3. (3)吸収量表示については、前向きに検討いたします。
  4. (4)この商品のコンセプトである「普通の下着感覚」を崩さずに、よりよい商品の開発と、ご指摘いただいた品質表示を早急に改良させていただき、これからも消費者の方々のニーズに合った商品作りをしていきます。

ピップトウキョウ(株) 商品開発事業部 事業部長 松田 俊一

商品テスト部の見解

 今回、対象とした商品はいずれも表示から「軽度の症状」の方が使われる商品群と考えられます。
 吸収量表示のないものもテスト対象に加えた理由は、表示のあるものとの優劣を付けるために対象としたのではなく、表示のないものの吸収量がどのくらいかが不明であるため、消費者の方にお知らせするために加えています。吸収量の表示のないものは、購入者にとって不親切と考えられますので、表示していただくよう要望いたします。なお、国際禁制学会による「漏れ量」は一定量の水分を取った後、決められた動作で1時間行動したときのものです。

「ピジョン」より

 吸収パンツにとって、尿を吸い、保持することは重要な基本性能と考えております。テスト結果では、表示量に達しない吸収量との結果でしたが、弊社評価方法では60ml以上の吸収量が確認されております。人体モデルの形状、尿滴下速度、吸収部分への加圧など試験方法の相違により差が生じたものと思われます。また、今回のモニターテストで「漏れ」を経験されたということですが、1996年11月発売以来、お客様から「漏れ」についてのご指摘を特に承ってはおりませんでした。
 なお、試験方法の統一は重要な課題であり、その統一が必要と考えます。抗菌防臭性に関しては、抗菌防臭加工認定機関で承認された布地を製品表側に使用しておりますが、多層構成の製品を1枚の布地とみなしたテスト方法であったため、結果が異なったと思われます。弊社では、布地としての抗菌性に関してはSEK認証を受けており、誤った表示ではないと考えております。
 なお、組成表示に関しましては、ご指摘をもとに品質表示を一部見直すことといたしました。いずれにいたしましても、ご指摘を真摯に受け止め、お客様の満足をさらに得られるよう、よりよい商品作りに向け励む所存でございます。

ピジョン(株) R&Dセンター 長坂 明(執行役員)

商品テスト部の見解

 今回は多数のメーカーから「吸収量」についてのご意見をいただきましたので、誌面の関係から、この点についてはまとめて見解を述べさせていただきます。
 現在、尿の吸収量については明確な定義はありませんが、国民生活センターでは漏れずに吸収する量と考え、表生地にしみ出してきたときに漏れがあったと判断し、それまでの量としました。吸収量のテスト方法については一部メーカーからご紹介いただいたように、メーカー間で異なっております。統一した試験方法による吸収量表示について、前向きに検討していただき、メーカー間で吸収量の差異が生じないよう、適正な表示を要望いたします。
 今後、ますますこのような商品は必要とされるため、より充実させていくよう期待します。




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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