独立行政法人国民生活センター

検索メニュー

×閉じる

現在の位置:トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 使用中にパッキンに亀裂が生じ蒸気が漏れた圧力鍋(相談解決のためのテストから No.93)

ここから本文
[2016年2月25日:公表]

使用中にパッキンに亀裂が生じ蒸気が漏れた圧力鍋(相談解決のためのテストから No.93)

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。

消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。

 「圧力鍋を使用中に蒸気が漏れた。新しいパッキンに取り換えても、同様に漏れた。原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。

 当該品は、ステンレス製片手圧力鍋で、同型の圧力鍋は現在販売されていませんでしたが、交換部品(パッキンや樹脂製圧力調整おもり)の入手は可能でした。

 当該品に最初から付いていた旧パッキンと取り換え後の新パッキンを観察したところ、いずれのパッキンにも亀裂が生じており、この部分から蒸気が漏れたと考えられました。また、樹脂製圧力調整おもりの下端部分の樹脂(黒色部分)に変形が見られたほか、内圧の異常上昇時に蒸気を逃がす、ロックピン内部の安全バルブのばねに汚れが見られました。

 そこで、樹脂製圧力調整おもりについて、同型品(交換部品)の耐熱温度を調べたところ、160℃で変形しました。

 また、当該品のふたを使用して、樹脂製圧力調整おもりが作動しない状態(樹脂の変形で正常に作動しなかった場合を想定)で使用したところ、汚れが付着した安全バルブは作動せず、内圧が正常時よりも上昇し、安全装置が作動した結果、蒸気が漏れました。この際にパッキンの一部に当該品と同様の亀裂が生じました。

 以上、「部品の耐熱温度を超える使用により部品が変形し、樹脂製圧力調整おもりを正しく作動しない状態となっていた。」、「安全バルブに汚れが付いていたため、安全機能(安全バルブ)が作動しない状態であった。」等の状況が重なっていたと考えられました。この状態で使用したことで、おもり蒸気口からも安全装置(1)(安全バルブ)からも蒸気が排出されず内圧が異常上昇し、安全装置(2)(パッキン外れ)が作動して蒸気が漏れ、同時にパッキンに亀裂が生じたもので、パッキンに経年劣化等の問題はなかったと考えられました。

 依頼センターから製造事業者に対してテスト結果の説明を行ったところ、事業者は「相談者の鍋底の使用状況から空焚(からだ)きまたは焦がした形跡があるので、おもりの作動不良は使用方法に主な原因があるのでは。」との見解でした。相談者は「焦がしたり、空焚きした覚えはない。」とのことでしたが、「安全装置が2重にかかっていたので爆発などの大事故にならず、商品としての安全性は担保されていた。」との一定の理解はされました。また、事業者からは「調理時に空焚きや調理物を焦がすとおもり内部の樹脂が破損・溶け・変形する恐れがある。使用する前に確認し取り扱ってほしい。」と記載した紙を製品に同梱(どうこん)し消費者への注意喚起を図る予定との回答がありました。

 なお、樹脂製圧力調整おもりの耐熱温度は160℃でしたが、事業者によると、「圧力鍋内の温度は100kPaで約115℃であり、通常使用で樹脂製圧力調整おもりが変形する温度になることはない。」とのことでした。


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について