[2013年12月19日:公表]
投資経験の乏しい者に「プロ向けファンド」を販売する業者にご注意!−高齢者を中心にトラブルが増加、劇場型勧誘も見られる−
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
投資をめぐるトラブルは後を絶ちません。特に近年は、いわゆるファンドへの出資に関するトラブルが増加していますが、その中には、プロの投資家向けのファンドを、高齢者を中心とする投資経験の乏しい者に販売し、多くの消費者トラブルが生じているものがあります。
プロ向けファンド業者に関する相談は増加しており、2012年度は1,518件の相談が寄せられ、3年前の2009年度に比べて約10倍となっています。また、契約当事者も高齢者(60歳代以上)が9割を占めています。
プロ向けファンドは、基本的にプロ投資家を相手に販売・運用が行われるものとして簡素な規制となっており、一般投資家を念頭においた規制にはなっておらず、販売勧誘規制も大幅に緩和されています。しかし、制度上49人以下であれば一般投資家にもファンドを取得させることができることから、一部の業者によって、不特定多数の一般投資家への勧誘を前提としたプロ向けファンドが組成され、高齢者を中心とする投資経験の乏しい者に対して不適切な勧誘が行われています。
そこで、プロ向けファンドに関するトラブルについて、消費者への注意喚起を行うとともに、行政に対して対策の強化を要望します。
相談事例
- 【事例1】
- 突然の電話で、認知症ぎみの高齢者にプロ向けファンドを勧める業者
- 【事例2】
- 判断力が不十分な高齢者に「必ずもうかる」と言って電話勧誘する業者
- 【事例3】
- リスクを理解しない高齢者にプロ向けファンドへ出資させる業者
- 【事例4】
- コンピュータ分析による株や商品先物への投資をうたうプロ向けファンド
- 【事例5】
- 「利率がよい」とCO2排出権取引ファンドを勧誘する業者
- 【事例6】
- 金融庁に届け出ていることで信用させようとする業者
- 【事例7】
- 高齢者に執拗な勧誘を行う業者
- 【事例8】
- 代わりに買ってくれれば謝礼を払うという不審な勧誘(劇場型勧誘)
問題点
一部の業者によって、不特定多数の一般投資家への勧誘を前提とする「プロ向けファンド」が組成され、高齢者等への不適切な勧誘が行われています。
- 自宅への突然の訪問や電話により、投資経験が乏しく積極的に契約を望んでいない高齢者等にハイリスクで複雑な「プロ向けファンド」を販売している
- うそや、ぎまん的な説明、不十分なリスク説明、迷惑勧誘などが行われている
- 「劇場型勧誘」が行われるなど、詐欺的な業者の関与がうかがわれる
- ファンドの運営内容について、十分な情報提供がなく消費者が把握できていない
- 被害回復が難しいケースが多い
消費者へのアドバイス
- 取引内容が理解できなければ契約しない
- 「必ずもうかる」「元本保証」などと勧誘してくる業者とは絶対に契約しない
- 金融庁に届け出ているからといって信用できる訳ではない
- 「代わりに買って」「名義を貸して」「あなたの名前で買った」などと持ちかけてくる勧誘の電話はすぐに切る
- すぐに消費生活センター等に相談する
- 日頃からの高齢者への見守りが大切
行政への要望
- プロ向けファンドの制度趣旨に則った仕組みを導入すること
- 不適切な勧誘を行うプロ向けファンド届出業者に対して厳格な対応をとること
要望先
- 金融庁 総務企画局 市場課
- 金融庁 監督局 証券課
- 証券取引等監視委員会事務局
情報提供先
- 消費者庁 消費者政策課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 警察庁 生活安全局 生活経済対策管理官
PIO-NETにおける相談件数 ※2015年6月1日 追加
年度 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 |
---|---|---|---|---|---|---|
相談件数(件) | 157 | 846 | 1,252 | 1,552 | 1,342 | 775 |
平均既支払額(万円)※ | 461<93> | 580<484> | 679<606> | 557<788> | 699<713> | 704<430> |
※「平均既支払額」は、既にお金を支払ったという相談1件当たりの平均金額(万円未満を四捨五入)。< >は、既支払額1円以上の相談件数。2015年5月15日までの登録分。
- (注)相談件数は次の条件により算出した。
- 「ファンド型投資商品」に関する相談のうち「プロ向けファンド届出業者」に係る相談を集計した。
- プロ向けファンド届出業者については、金融庁ホームページに掲載されている次の情報を参照した。
- プロ向けファンド届出業者について参照した情報:金融庁ホームページ「適格機関投資家等特例業者等」(平成25年10月末現在及び平成27年3月末現在の情報)、及び金融庁ホームページ「警告書の発出を行った適格機関投資家等特例業者の名称等について」(「無登録で金融商品取引業を行っているとして警告書の発出を行った適格機関投資家等特例業務届出者」(平成27年3月20日更新)及び「虚偽の告知等を行っていたとして警告書の発出を行った適格機関投資家等特例業務届出者」(平成27年4月24日更新))に掲載されている情報。
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
[報告書本文] 投資経験の乏しい者に「プロ向けファンド」を販売する業者にご注意!−高齢者を中心にトラブルが増加、劇場型勧誘も見られる−[PDF形式](360KB)
[参考資料] 投資経験の乏しい者に「プロ向けファンド」を販売する業者にご注意!−高齢者を中心にトラブルが増加、劇場型勧誘も見られる−(概要)[PDF形式](144KB)
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