[2012年3月15日:公表]
薄型テレビの転倒防止対策の重要性
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
目的
2011年7月24日に一部の地域を除きテレビの地上アナログ放送は終了し、地上デジタル放送に移行した。
地上デジタル放送への移行が進んでいた2011年3月11日、東日本大震災が発生した。PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)(注1)には、地震でテレビが転倒したとの相談事例が2011年3月11日以前では5年間で3件であったが、3月12日以降は60件寄せられており(注2)、その多くが画面等を破損して修理が必要となっていた。中には「小さな子供が危うく下敷きになるところだった」といった危険なものも含まれていた。また、事業者に転倒防止措置の義務はないものの、対策の実施や説明がなかったことに不満を感じた事例が半数以上含まれていた。
そこで、万一の地震が発生したときに、テレビの地震対策の有無がどのような違いにつながるのかを調べるとともに、消費者、製造事業者、家電量販店を対象にアンケートを実施して地震対策の実態を明らかにし、消費者へ情報提供することとした。
- (注1)PIO-NETとは、国民生活センターと全国の消費生活センターをオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのこと。
- (注2)2006年4月1日以降受付から2012年2月29日までの登録分。
テスト結果
テレビの取扱説明書等に記載された転倒防止対策や市販の粘着マットの効果を確認するために、震度が5弱から6強に相当する地震波(注3)で加振し、加振中及び加振後のテレビの状態を調べた。
- (注3)耐震試験に一般的に使用される阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の神戸海洋気象台の波形
- テレビの大きさや転倒防止対策の方法によって結果に多少の違いが見られたものの、いずれかの転倒防止対策を行うことで、転倒や落下を軽減することができた
- 取扱説明書等に転倒防止に関する警告や注意書きが見られた
- 転倒防止対策で使用する部品等は自分で用意する必要もある
アンケート調査
薄型テレビの転倒防止対策の実態調査のため、一般消費者(2000名)、製造事業者(6社)、家電量販店(7社)へのアンケート調査を行った。
- (1)一般消費者へのアンケート
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- 「転倒防止対策があることを知らなかった」が37.8%と最も多く、次いで「テレビ購入前から知っていた」が35.1%であった。
- 転倒防止対策を知らない、実施していないとの回答を合わせると約7割あり、実施しているとの回答は約3割であった。また、必要性を感じながら実施していないという回答もあった。
- 転倒防止対策の内容は、実施者591人のうち標準添付品のネジやバンド等でテレビ台に固定が316人で最も多く、次いで市販の耐震・粘着マットが248人であった。
- (2)製造事業者へのアンケート
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- 転倒防止対策は用意されているが、必要となる部品などが同梱(どうこん)されているとは限らない。
- (3)家電量販店へのアンケート
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- 購入時には転倒防止対策の必要性を伝え、設置時には要望に応じて転倒防止対策を実施するとの回答が多かった。
消費者へのアドバイス
- テスト結果から、転倒防止対策は有効であるため、特に転倒したときの危険性が高い大型テレビは確実に実施すること。
- テレビの設置を販売店に依頼する場合、転倒防止対策についても相談する。
業界への要望
- 製造者、販売店ともに、消費者へ転倒防止対策の重要性について周知徹底するよう要望する。
- 転倒防止対策に必要なネジなどの標準添付又は、使用する用具の目安を示すよう要望する。
- テレビの設置の依頼を受けた際は、特に大型のテレビは転倒防止対策も同時に実施するよう要望する。
要望先
- 一般社団法人電子情報技術産業協会
情報提供先
- 消費者庁 消費者政策課
- 経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課
- 経済産業省 商務情報政策局 商務流通グループ 製品安全課
- 消防庁 国民保護・防災部 防災課
- 消費者委員会事務局
- 全国電機商業組合連合会
動画
※大きな音がします。視聴に際して、ご注意ください。
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
[報告書本文] 薄型テレビの転倒防止対策の重要性[PDF形式](429KB)
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