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[2012年3月6日:更新]
[2012年3月1日:公表]

システムキッチンのステンレスシンクのさびに注意!

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文(PDF)」をご覧下さい。

目的

 今般、「新築分譲のマンションで入居5日後からシンクにさびが発生し、2年間で5回同じ箇所のさび取りを行った。シンクがさびやすいか調べてほしい」、「システムキッチンのステンレス製シンクにさびが発生する。シンクのステンレスがさびやすいか調べてほしい」などのテスト依頼が寄せられた。

 相談者宅のシンクを調べたところ、シンクの水栓の取り付け周りや縁など水がかかって溜(た)まりやすい箇所にさびが発生していた。

 また、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)(注1)には、2006年度以降、2012年1月31日までに「ステンレスシンクがさびた」などといった相談は123件(注2)寄せられていた。

 そこで、今回はステンレスシンク仕様のシステムキッチンについて、材質やさびやすさを調べるとともに、さびを防止するためのステンレスシンクの取り扱いについて消費者へ情報提供することとした。

  1. (注1) PIO-NETとは、国民生活センターと全国の消費生活センターをオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのこと。
  2. (注2) 2006年4月から2012年1月31日までの登録分。件数は、本調査のため特別に事例を精査したものである。


主なテスト結果

 システムキッチンの市場占有率の上位の製造又は販売者が販売しているものの中から、普及タイプのシステムキッチンのステンレスシンクをテスト対象とした。

 シンクは、常に水や塩分を含む食品などにさらされ、ステンレス鋼にとって、さびやすい環境下にあるといえる。一方、ステンレス鋼にも多くの種類があり、その種類によってさびやすさに違いがある。そこで、システムキッチンのステンレスシンクの材質を調べるとともに、ステンレスのさびやすさを調べるため腐食試験等を実施した。また、本体及び取扱説明書の表示を調べた。

  • ステンレスシンクの材質を調べたところ、各銘柄でステンレスの種類が異なっていた。
  • シンクに濡(ぬ)れたスチール缶を置いたところ、銘柄に関係なく1日で「もらいさび」が発生した(写真1参照)。
  • シンク底部の食器を置いた周辺に塩分を長時間放置してしまうとわずかなさびが見られた(写真2参照)。
  • ステンレスシンクのさびやすさを相対的に比較するため促進試験を行ったところ、さびやすさに違いがあった。
  • 全銘柄ともステンレスの種類や耐食性の表示はなかったが、さび発生への注意や使用後にシンクに水を流す、水滴を拭き取る旨の普段の手入れ方法が記載されていた。

写真1 腐食試験結果(スチール缶を置いた箇所、例)
濡れたスチール缶との接触で「もらいさび」が発生した
もらいさびが発生した箇所の写真

写真2 腐食試験結果(食器を置いた箇所、例)
食塩水で濡らした箇所に食器を置き長時間放置してしまうとわずかなさびが発生した
わずかなさびが発生した箇所の写真



消費者へのアドバイス

 ステンレスはさびにくいものの、さびないわけではない。さびの発生を防ぐために日常の手入れをしっかり行う。また、ステンレスの種類により、さびやすさに差があることも知っておく。

  • ステンレスシンクは長期間使用するものなので、さびやすさや取り扱い上の注意をよく確認する。
  • ステンレスシンクをさびさせないためにも塩分の付着などの汚れを長時間残さないように使用後は水で洗う。また、濡れたスチール缶などを放置しておくと、すぐにもらいさびが付着するので注意する。
  • 取扱説明書には、塩素系のヌメリ取り剤などはさびの要因となるので使用しないと記載されていたので、取扱説明書をよく確認する。
  • さびが発生したりもらいさびが付着した場合は、そのまま放置するとさらに進行するので、粒子の細かいクリームクレンザーなどで早めに取り除く。


業界への要望

 ステンレスの種類や耐食性能、手入れ方法をカタログ等に記載したり販売時に説明するなど、より一層情報提供するよう要望する。



要望先

  • キッチン・バス工業会


情報提供先

  • 消費者庁 消費者政策課
  • 経済産業省 商務情報政策局 生活文化創造産業課 日用品室
  • 消費者委員会事務局


業界の意見 ※2012年3月1日 掲載、2012年3月6日 追加

「キッチン・バス工業会」

「キッチン・バス工業会」より

 「システムキッチンのステンレスシンクのさびに注意!」の公表に関して当該製品のメーカー団体であるキッチン・バス工業会より下記のとおり見解を発表いたします。

 今回の商品テスト及び公表内容を勘案した結果、台所といった環境でのステンレス素材に関する一般消費者への情報提供が不十分であるとの認識に立ち、今後、さびを防止するためのお取り扱いに関する情報を、なお、一層積極的に提供していく必要があると考えます。

その上で、今回のテストに関しては幾つか意見を述べさせて頂きます。

テストは、ステンレスシンクのさびに関し全国の消費者センターに対して寄せられた苦情が直近6年間で123件あるため、主要メーカー4社のシステムキッチンのステンレスシンクの材質や耐食性を調査し、消費者への情報提供ならびに業界団体への要望を行う趣旨と受け止めております。

1.今回の商品テストで取り上げた根拠が不明

 「国民生活センターの商品テストは、事故や被害などの内容が消費生活に重大な影響を及ぼすと思われる問題や類似した事故・危険のおそれがあると認められる商品について、事故等の未然防止、再発防止等の観点から実施する」とあります。

  • では、今回の商品テストは製品に重大な瑕疵や欠陥を想定して実施したのでしょうか?
  • ステンレスにはJISG-4305に見られるように、多くの鋼種があり、当然その耐食性能には差があります。耐食性能を評価する上で重要なことは、ステンレスが使用される用途(産業用・業務用厨房・家庭用厨房・原子力施設など特殊用途他)において必要な性能を有しているかどうかという点です。
  • 今回の(独)国民生活センターで行われたシステムキッチンのステンレスシンク腐食試験の結果、耐食性が悪いといわれたSUS430においては、家庭用厨房シンクの素材としてこれまで50年以上も使用されており、出荷シェアにおいては52%を占める実績があります。また、業務用厨房のステンレス素材としては85%以上が使用されています。(出展:ステンレス協会「ステンレス鋼板用途別受注実統計」2011年実績)
  • この6年間でごく一部のお客様からご不満は頂戴しているものの、相談件数からみれば、ほぼ全てのユーザーにおいては不具合が生じていないものと判断しております。(2006年4月〜2012年1月 相談件数123件、キッチン出荷台数1002万セット 出典:キッチン・バス工業会「自主出荷統計」)
  • 以上のことより、ステンレスシンクのSUS430はJISG4305に区分される他の鋼種とともに価格や性能、加工性等のバランスの取れたキッチンの素材としては有用なものと考えています。このことよりSUS430は適切なお手入れをすれば全く問題がないと判断しています。
2.腐食試験について

 本報告書における「腐食試験」「腐食促進試験」ともに台所におけるステンレスシンクの耐食性を総合的に評価する試験方法としては、ふさわしいものではないと考えています。二つの試験方法はいずれも実際の使用環境から考えてきわめて過酷な試験条件であり、ステンレスの耐食性に対して消費者に誤った認識を抱かせ、市場に混乱さえ与えかねないと危惧します。

3.メーカー名、商品名の公表について

今回の調査結果から(独)国民生活センターがユーザーに対して発信する内容は

  1. ステンレスはさびない金属ではない。
  2. 錆びさせない為には適切なお手入れが必要である。

となっております。

  • 消費者へのアドバイスを目的とするならば、特定のメーカー名や製品銘柄の公表は不要と考えます。(独)国民生活センターのように社会に対する影響力が大きい公の機関が、明らかに瑕疵の無い製品のメーカー名や銘柄を漫然と公表されることについては重大な問題であると考えております。
まとめ

目的用途におけるその適切な性能を有する一般製品においては、個々の性能と仕様がメーカーによって違いがあるのは一般的なことであり、本報告書の表現は全体の文脈から判断して、一般ユーザーに対しSUS430系の商品は購入を避けるよう誘導する結果となる危惧があります。ユーザーが価格や性能デザインなどを総合的に評価をして意思決定されることが市場の大原則である以上、今回の当該表現は誤ったメッセージを与える可能性が高く、大きな問題であると考えます。

キッチン・バス工業会 常務理事 島崎喜和

「キッチン・バス工業会」への商品テスト部の見解

1.今回の商品テストを実施した理由

 国民生活センターでは、消費生活センター等から依頼されて、相談解決のためのテストを実施しております。システムキッチンのステンレスシンクに対するさびの発生についても複数件依頼がありました。また、PIO-NETにも同様のさびに関する苦情が寄せられていたため、テストを実施することとしました。

 相談事例を見るとステンレスはさびない金属と認識している消費者も少なからず見られること、また、ステンレスの種類によりさびやすさに違いがあることやさび防止のための取り扱いを十分に知らないために、苦情になっているケースもあると思われたことから、消費者に情報提供することにしました。

2.腐食試験について

 シンクは日常的に様々な食品(塩分や酸味を含む食品等)などにさらされています。今回の塩分は、みそ汁等に相当するものです。さらに付着した塩分を含んだ食品を洗い流さないままにされてしまう状況や一部の箇所に溜まる状況は、長期間の使用過程の中では十分に起こり得ると考えられますので、それを模した腐食試験を実施しました。腐食促進試験については、「JIS H 8502 めっきの耐食性試験方法 中性塩水噴霧サイクル試験」による短期間にさびを発生させ相対的に違いを見る手法は、一般的に行われている試験と認識しています。

3.メーカー名、商品名の公表について

 国民生活センターの商品テストは、原則、メーカー名、商品名を付して情報提供しています。今回の商品テストにおいても、製品としての性能・品質を調べた結果、いずれの試験においても銘柄による違いがあることが分かりました。国民生活センターのテスト結果がどの製品に対して実施されたものであるのか明確にする必要があり、また、銘柄名を付すことは消費者が購入や使用に際して、より役立つ情報になると考えております。

 今回のテストは、ステンレスはさびにくいものの、さびない訳ではなく、種類によってさびやすさに相対的に違いがあること、適切な手入れが大切であること等を情報提供しているものです。




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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