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[2011年7月21日:公表]

震災による給湯器の貯湯タンクの転倒被害
−今後の被害防止のため、改めて機器の設置の点検を!−

 東日本大震災など一連の地震により、家電製品などの転倒による相談が寄せられている。その中でも、屋外に設置されている電気温水器やCO2冷媒ヒートポンプ給湯器(注1)等(以下、給湯器とする)の貯湯タンクが倒れたり、傾いたりして故障してしまったという相談が複数寄せられており、設置の不備が疑われる事例もあった。

 家庭内の家電製品や家具については、地震の際の転倒防止対策用品などが流通しており、一定程度の揺れに対しては自衛策をとることが一般的に認知されているが、給湯器の貯湯タンクについては、転倒の危険性を消費者が認識していないことが多いと思われる。大容量の給湯器が転倒した場合には、機器の故障だけでなく、まわりのものを壊したり、人に当たってけがをする危険性もある。

 そこで、今後の被害の未然防止・拡大防止のために注意喚起として情報提供することとした。

  1. (注1)CO2冷媒ヒートポンプ給湯器は、空気の熱を熱交換器で冷媒(CO2)に集め、その冷媒を電気エネルギーを使って圧縮機でさらに高温にし、その熱を利用しお湯を沸かすもの。電力会社やメーカーなどでは、「エコキュート」の愛称で呼ばれているものも多い。

相談件数等

相談件数

 PIO-NET(注2)には、東日本大震災が発生した3月11日以降、給湯器の貯湯タンクが転倒した・傾いたという相談は、96件寄せられている(2011年7月10日までの登録分)。

契約当事者の地域

 契約当事者の地域別に見ると、被災4県(岩手県、宮城県、福島県、茨城県)で60件、茨城を除く関東地方でも33件、甲信越で1件の相談が寄せられている(注3)。

  1. (注2)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センターをオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのこと。PIO-NETでは、電気温水器とCO2冷媒ヒートポンプ給湯器は、同じ区分としている。
  2. (注3)2件は、契約当事者の都道府県は、不明である。


相談事例

【事例1】アンカーボルト(注4)で固定されていなかった機器が転倒
 1年半前オール電化の工事をして、CO2冷媒ヒートポンプ給湯器を取り付けた。地震で給湯器の貯湯タンクが倒れ、隣家との塀を倒し、隣家の窓ガラスを割ってしまった。その際、倒れた貯湯タンクを見ると、アンカーボルトで固定されていないことに気づいた。販売業者に言ったところ、来訪し貯湯タンクを固定し、給湯だけはできるようにして帰った。修理だけでなく、隣家に対する塀や窓ガラスの修理代も弁償してほしい。
(契約当事者:40歳代 男性 給与生活者 千葉県)
【事例2】振れ止め金具で固定されていなかった
 9階建てのマンションの7階に住んでいるが、ベランダに設置してある電気温水器の貯湯タンクが、地震で倒れてしまった。取扱説明書に、2階以上に設置する場合は、振れ止め金具(下図イメージ参照)で固定しなければならないと書かれていたが、金具が取り付けられていないことがわかった。業者に貯湯タンクを元に戻して、金具で固定してほしいと頼んでいるが、なかなか対応してもらえない。
(契約当事者:60歳代 男性 無職 千葉県)

貯湯タンク上部を振れ止め金具で壁と固定している。
振れ止め金具のイメージ

【事例3】アンカーボルトの大きさがメーカー指定のものより小さかった(1)
 1年前に建売住宅を購入した際に、設置されていたCO2冷媒ヒートポンプ給湯器の貯湯タンクが地震で倒れた。状況を見に来た業者は地震による倒壊なので、全額自己負担であり、見積もりは64万円程度と言って帰った。納得できないので、カタログを調べてみたところ、長さ10センチのアンカーボルトで固定しなければならないのに、6センチのものが使用されていた。
(契約当事者:40歳代 女性 家事従事者 宮城県)
【事例4】アンカーボルトの大きさがメーカー指定のものより小さかった(2)
 自宅のリフォームとあわせてCO2冷媒ヒートポンプ給湯器を設置した。地震で、貯湯タンクが倒れた。工事の説明書を確認したところ、3本のアンカーボルトを床面に7センチ埋め込むよう記載されているにもかかわらず、ボルト自体の長さが7センチもないものだった。また、壁に固定するよう記載されているが、一切固定されていなかったこともわかった。施工業者に連絡し、現状を確認してもらったうえで、無償修理を依頼したが、「施工に問題はなかった」と応じない。どうしたらよいか。
(契約当事者:30歳代 女性 給与生活者 宮城県)
【事例5】機器が倒れて玄関ドアが開かなくなってしまった
 10階建てのマンションの7階に住んでいたが、玄関ドアの向かいに設置してある電気温水器の貯湯タンクが地震で倒れ、ドアが開かなくなってしまった。倒れた貯湯タンクから熱湯が下へ流れ落ちていた。このような設置方法では、危険だと思う。新しい機器を設置し直す際には、設置方法を変更してもらいたい。
(契約当事者:40歳代 女性 家事従事者 宮城県)
  1. (注4)機器を固定するために、コンクリートに埋め込んで利用するボルト。一般的にコンクリートに埋め込まれた部分が深いほど、また、太さが太いほど、引き抜かれる力に対する強度が強くなる。アンカーボルトのイメージは、下記(参考3)参照。


問題点

(1)設置指示書どおりの施工がされていないケースがあった
 給湯器メーカーは、設置事業者向けに機器の設置のための説明書(以下設置指示書という)をつけているが、アンカーボルトの大きさが指定よりも小さかったり、振れ止めの金具を取り付けるよう指示されているのについていなかったなど、設置指示書どおりに設置されていないことが明らかになった事例があった。設置指示書どおりに施工されていれば、転倒しなかった可能性もある。
(2)人命に危害が及ぶ可能性がありうる
 給湯器の貯湯タンクは、機器にもよるが、満水時には重量が400〜500キロになる。万が一、人がいるところに倒れた場合には、けがをする可能性がある。また、貯湯の温度は、65℃〜90℃と高温で、お湯がたまった状態で貯湯タンクが倒れた場合には、熱湯によりやけどを負う可能性もある。【事例5】の家のドアが開かなくなってしまったケースのように、通路をふさぎ災害の際の逃げ場を失ってしまう危険性もあった。


消費者へのアドバイス

(1)設置に不備がないか販売業者に点検を依頼する
 今回の地震の被災地以外の地域も含めて、自宅に給湯器を設置している場合は、設置に不備がないかどうか確認が必要である。また、支障なく使用できている場合でも、見えない位置の脚の傾き、アンカーボルトの緩みなどが発生している可能性もある。きちんと設置されているかどうかを消費者が判断するのは難しいため、販売業者に点検を依頼してほしい。
(2)自分でできる範囲のチェック項目について
 (1)のように、点検は必ず専門家である販売業者に依頼する必要があるが、もし、消費者が以下のような点に気がついた場合には、できるだけ早く点検してもらうこと。
  1. [1]戸建住宅の場合で、貯湯タンクが土の地面や石・ブロックの上に直接置かれている。
  2. [2]貯湯タンクが全く固定されていない。
  3. [3]貯湯タンクの上部に振れ止めの金具がついていない(メーカーの設置指示書にある場合)。
 メーカーの設置指示書は、設置工事終了後に消費者に渡すことになっているので、手元にない場合には、販売業者から取り寄せるか、メーカーに問い合わせてみること。

自分でできる範囲のチェック項目箇所の図

(3)チェックシートで事業者と一緒に工事の内容を確認する
 多くの場合、給湯器を設置した際、消費者に渡される設置指示書の中にチェックシートが入っている。給湯器の設置がメーカーの指定どおりに行われたかどうかは、消費者にはわかりにくい。給湯器の設置工事後に、事業者の説明を受けながらチェックシートに記載されている項目に沿って確認をしてほしい。
 チェックシートがない場合には、基礎工事はどのような工事を行ったか、指定サイズのアンカーボルトをつけたか、アンカーボルトは何本で固定されているか、振れ止めの金具がついているかなど書面にしてもらうとよい。
(4)書類は必ず保管する
 給湯器は、決して安いものではない。また長期にわたって使用するものであることから、契約書、取扱説明書、保証書、設置指示書(チェックリストを含む)等の書類は、その給湯器を撤去するまで必ず保管しておくこと。


事業者への要望

給湯器メーカーに対しては、以下の内容について要望する。

  1. 消費者にとってわかりやすく、工事の内容ができるだけ詳細に確認できるチェックリストを作成すること。
  2. 販売業者、設置業者に対して既に設置している機器の点検を行うことを呼びかけるとともに、設置指示書どおりの工事を行うように対策を講じること。
  3. 今回の震災による給湯器の貯湯タンクの転倒の被害を十分に検証し、今後の耐震性能のあり方を検討すること。

販売業者、設置業者に対しては、以下の内容について要望する。

  1. 機器の設置工事に不備があったり、震災により機器が不安定になっている可能性があることから、既に設置している機器の点検を行うこと。
  2. 設置指示書どおり工事を行うよう徹底すること。
  3. チェックリスト等を利用して、設置指示書どおり工事を行ったかどうか消費者に説明するとともに、設置指示書やチェックリストは消費者に確実に渡すこと。


要望先

  • 一般社団法人日本電機工業会
  • 社団法人日本冷凍空調工業会
  • 社団法人住宅生産団体連合会
  • 社団法人日本建設業連合会
  • 社団法人日本建設業経営協会
  • 社団法人全国中小建設業協会
  • 全日本電気工事業工業組合連合会


情報提供先

  • 消費者庁 消費者政策課
  • 経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課
  • 国土交通省 住宅局建築指導課
  • 電気事業連合会


参考

(参考1)関連する法令と指針

 給湯器は、建築基準法の建築設備にあたり、建築基準法施行令第129条の2の4第二号により、「建築物に設ける昇降機以外の建築設備にあつては、構造耐力上安全なものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いること」とされ、さらに告示(注5)により「風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の振動及び衝撃に対して安全上支障のない構造とすること」とされているが、法令上具体的な仕様の基準や構造計算の基準はない。

 現状では、各給湯器メーカーが、建築設備全般に関する指針である「建築設備耐震設計・施工指針(注6)」にある基準をもとに、設置指示書どおりに設置した場合の耐震設計をしていることが多い。

  1. (注5)平成12年建設省告示第1388号
  2. (注6)一般財団法人日本建築センター発行、国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所監修。過去の地震の被害を受け、建築設備の具体的な耐震設計・施工指針としてまとめられたもの。最新は2005年版。

(参考2)電気温水器の貯湯タンクの脚が曲がった様子の一例

脚が曲がっている貯湯タンクの写真

(参考3)アンカーボルトの一例

アンカーボルトの写真

機器と土台を固定するアンカーボルトのイメージ図




本件連絡先 相談情報部 情報提供課
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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