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[2011年7月21日:公表]

放射性物質への不安につけこむ広告や勧誘にご注意を!

 2011年3月11日に発生した東日本大震災により生じた原発事故以降、3カ月間で震災関連の“放射能”に関する相談が、全国の消費生活相談窓口に2,140件寄せられている。

 依然として、野菜、お茶等の食品や水の安全性に関する相談が多いが、中には、放射性物質への不安を抱く消費者に対して、「体内被ばくに効果がある」「放射性物質を完璧に除去可能」「チェルノブイリ原発事故の際に使われた商品」等とうたう広告や勧誘によるトラブルもみられる。

 すでに、薬事法違反で逮捕されたケース(注1)や、業者の口座が凍結され、法律(注2)に基づく手続きが開始されたケース(注3)もあるが、震災2カ月後以降、広告や販売方法に関するトラブルが多数みられる。引き続き、放射性物質等に関するニュースが報道されており、現在、相談が集中している東北、関東地域だけでなく全国的に同種トラブルが発生する可能性もある。そこで、改めて同種トラブルの未然防止、拡大防止のため、消費者に注意を呼び掛ける。

  1. (注1)医薬品として承認をうけていない商品にもかかわらず、「体内被ばくに効く」等とうたい商品を販売した業者を、警視庁が薬事法違反(医薬品の無許可販売等)の疑いで逮捕した(2011年4月5日)というケース。
  2. (注2)「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)」2007年12月に成立、2008年6月に施行。振り込め詐欺等により資金が振り込まれた預金口座等(振込口座)について、金融機関が取引停止等の措置をとり、口座名義人の預金等に係る債権を消滅させる手続きを行う。その後、被害者から被害回復分配金の支払の申請を受け付け、口座の残高に対する被害額の割合等に応じて被害回復分配金を支払うことになる。
  3. (注3)「代金を前払いしたのに放射線測定器が届かない」というトラブルが多数生じた業者の口座を、金融機関が凍結し、法律に基づく手続きが開始されたケース。

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)にみる相談の概要

相談件数の推移

 PIO-NETに寄せられた震災関連の“放射能”に関する相談は、2011年3月11日以降6月10日までの3カ月間で合計2,140件寄せられている(2011年6月22日登録分まで)。事故発生直後の1カ月目に1,114件が寄せられた。しかし、その後も、引き続き多くの相談が寄せられており、2カ月目に509件、3カ月目に517件寄せられている。

時期別にみる相談内容

 以下は、3カ月間で全国の消費生活センターに寄せられた震災関連の“放射能”に関する相談2,140件の相談を分析した内容である。(※以下の項目について、不明・無回答は除く)

(1)購入販売形態

 販売購入形態別にみると、1カ月目は、「商品が手に入らない」「店で買ってきた商品が安全か」等の店舗販売における相談の割合が57%を占めていたが、2カ月後以降は店舗販売の割合が低くなった。一方、自分や家族の身を守るために、放射線測定器やミネラルウォーター、浄水器等を購入しようとした等の通信販売の割合が高くなった。

図1.時期別にみた販売購入形態
時期別にみた販売購入形態のグラフ

(2)商品・役務等分類別

 上位商品・役務等分類をみると、1カ月目には「ミネラルウォーター」、「水道水」、「野菜全般」と続くが、2カ月目以降、これらに加え、放射線測定器やマスク等を含む「保健衛生品その他」や「浄水器」、「緑茶」が上位にきている。

表1.時期別にみた上位商品
3月11日〜4月10日
順位商品件数割合
1ミネラルウォーター16614.9%
2水道水1079.6%
3野菜全般565.0%
4ほうれん草544.8%
5浄水器514.6%
4月11日〜5月10日
順位商品件数割合
1保健衛生品その他6512.8%
2ミネラルウォーター509.8%
3浄水器326.3%
4野菜全般234.5%
5相談その他(注4)224.3%
5月11日〜6月10日
順位商品件数割合
1緑茶12023.2%
2保健衛生品その他7714.9%
3野菜全般326.2%
4相談その他(注4)254.8%
5浄水器193.7%
  1. (注4)放射性物質に対する不安や雇用への不安、各種補償や支援金に関する問合せ、チェーンメール等の相談を含む「相談その他」の類型のうち全般的な相談。

(3)内容別分類(複数回答項目)

 「安全・衛生」に関する相談は、1カ月目には全体の53%、2カ月目には38%、3カ月目には47%と3カ月を通して高い割合を占めている。また、「広告・表示」もしくは「販売方法」に関する相談は、1カ月目には25%、2カ月目は42%、3カ月目は34%となっており、割合に上昇傾向がみられた。

(4)相談件数の地域分布

 相談者の地域をブロック別(注5)にみてみると、3カ月を通して南関東が全体の約半数(47%)を占めており、次いで東北南部、北関東と続く。ただし、2カ月目以降、北関東からの相談の割合が低くなり、東北南部、北陸、東海等からの相談割合が微増した。

  1. (注5)北海道・東北北部(北海道・青森・岩手・秋田)、東北南部(宮城・山形・福島)、北関東(茨城・栃木・群馬)、南関東(埼玉・千葉・東京・神奈川)、甲信越(新潟・山梨・長野)、北陸(富山・石川・福井)、東海(岐阜・静岡・愛知・三重)、近畿(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)、山陰(鳥取・島根)、山陽(岡山・広島・山口)、四国(徳島・香川・愛媛・高知)、九州北部(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分)、九州南部・沖縄(宮崎・鹿児島・沖縄)


相談事例

 3カ月間で寄せられた震災関連の“放射能”に関する相談のうち、特に広告や販売方法において特徴的な事例を取り上げる。

通信販売

【事例1】 放射性物質を完璧に除去するとうたう浄水器
 インターネットで「世界の軍隊が放射能汚染地域で使用」「細菌・ウイルス・放射性物質を完璧に除去」等とうたう米国の浄水器をみつけた。その浄水器を扱う日本の代理店のホームページで注文したが、改めてホームページの広告を見ると不審に思えてきたため、代金を支払わず、メールでキャンセルを申し出た。その後、商品が届いてしまったので、商品を返送しようとしたが、代理店の事務所はすでになくなっているようだ。どうしたらよいか。
(2011年6月受付 相談者:30歳代 女性 無職 北海道)
【事例2】 放射性物質を除去するとうたう健康食品
 見知らぬ業者からダイレクトメールが郵送で届いた。中身を見てみると、「チェルノブイリ原発事故の時にも使われた」等という健康食品の広告が入っていた。その健康食品にはキトサンが含まれているようだが、そのような効果があることは聞いたことがない。それでも、チェルノブイリ原発事故の時も使われた等と書いてあると、購入したくなってしまう人もいると思う。悪質な広告ではないか。
(2011年4月受付 相談者:60歳代 男性 無職 埼玉県)
【事例3】 一方的にファックスで届いた放射線測定器の広告
 自宅に、突然「震災対象地域限定価格(約5万円)で小型放射線測定器を販売します」という内容の広告がファックスで届いた。見知らぬ業者なので、一方的にファックス広告が届いたのは、不審である。震災に便乗した勧誘広告なのだろうか。
(2011年4月受付 相談者:70歳代 男性 無職 北海道)
【事例4】 商品も送らず返金もしない通信販売業者
 インターネットで、放射線測定器の専門店というサイトを見つけた。販売しているところが少ない時期だったが、「緊急入荷した」とあったので注文したところ、業者から前払いで約7万円を振り込むようにというメールが届いた。商品代金を振り込み、商品の到着を待っていたが、1カ月経っても商品が届かなかった。不審に思っていたところ、業者から「輸入した商品を検品したら、重大な欠陥が見つかったので、解約させてほしい。当方のミスなので返金する。振込先を教えてほしい」というメールが来た。仕方ないと思い、業者に振込先を伝えた。その後、約1カ月が経とうとしているが未だに返金されない。
(2011年6月受付 相談者:40歳代 男性 給与生活者 茨城県)
【事例5】 フィッシング詐欺が疑われるネットショップ
 原発事故発生後、放射性物質の水道水への混入が心配だったので、子どものためにミネラルウォーターを探していた。どこも売り切れだったが、インターネットでミネラルウォーターを安く販売しているショップを見つけた。そのホームページに、住所、氏名、電話番号、クレジットカード情報を入力して、ミネラルウォーターを注文したが、受注メールが届かなかった。不審に思い、そのショップのホームページを確認したところ、すでになくなっていた。フィッシング詐欺かもしれないと思い、カード会社に連絡すると、すぐに再発行の手続きをするように言われた。個人情報やカード情報を入力してしまい不安だ。
(2011年3月受付 相談者:20歳代 女性 家事従事者 埼玉県)

訪問販売

【事例6】 放射性物質を吸着除去するという温浴器
 2年前に健康機器の展示販売会で浄水器を購入したことがある。その後、その販売業者は、点検する等と言って何度か自宅に来訪していた。震災後に来訪した際、放射性物質を吸着するという石の玉が入った温浴器を風呂の中で使うよう勧められた。東北地方に息子が住んでいるので、1台約50万円の温浴器を2台購入することにした。その日は内金として約20万円を支払った。息子に電話で温浴器のことを伝えると、「そんな話は聞いたことがない」と言われた。だまされたと思うので、解約したい。
(2011年4月受付 相談者:80歳代 女性 無職 静岡県)
【事例7】 市役所から来たという人から説明された放射性物質の侵入防止用換気扇フィルター
 自分が出かけている時、作業着を着た男性が二人で来訪した。妻が対応したが、「市役所が放射能検査をしている。換気扇にフィルターをつけないと放射性物質が入ってくる。放射能を測定する」等と言われ、家に入れたようだ。測定している最中に、自分が帰宅して不審に思い「市役所に確認する」と言ったところ、急いで帰ってしまった。自分が帰宅しなければ、換気扇フィルターを勧誘されていたと思う。妻は、作業着を着てバッチを付けていたので市役所の人だと信用してしまったようだ。
(2011年3月受付 相談者:30歳代 男性 給与生活者 茨城県)

マルチ取引

【事例8】 放射能汚染を防ぐと説明された栄養ゼリー
 知人から「放射能汚染が拡大しているが、これを防ぐことができる栄養ゼリーがある。早く買って飲んだほうがよい」と購入を勧められた。また、他の人を紹介すれば紹介料がもらえると言われた。放射性物質に対して不安があったので、まだ日本で販売していない商品と言われたが、海外の業者のサイトから申し込んだ。商品は3週間後に海外から届き、開封して飲んでみたが効果があるとは思えない。放射性物質に不安がある人に対して悪質な勧誘だと思う。
(2011年4月受付 相談者:年代不明 女性 職業不明 東京都)


事例からみる問題点

根拠もないのに「放射性物質の除去可能」等とうたう広告や勧誘がみられる

  1. (1)「体内被ばくを防ぐ」「放射性物質の除去が可能」等とうたっていても、根拠となるデータが示されてない場合が多い。
  2. (2)データが示されていても、商品そのものを試験した結果ではなく、部分的なデータを示しているにすぎない場合が見られる。例えば、一部の含有成分に関するデータを用いて、商品としての効果をうたっていたり、たった1度の試験結果を用いて継続的な効果をうたう等である。
  3. (3)健康食品は医薬品のように効果・効能が確認されているものではない。また、医薬品でないものについて、「体内に入った放射性物質を排出する」等の広告・表示をすることは、薬事法等に違反する可能性があるにもかかわらず、「放射性物質の除去」をうたう広告がみられる。
  4. (4)浄水器における放射性物質に関する除去性能について示したデータ等がみられるが、日本では、そもそも水道水に放射性ヨウ素等の放射性物質が混入しているという前提がなく、試験方法が確立してない。浄水器の継続的な放射性物質に関する除去性能等は、いまだ各専門機関や業界団体等が調査中であるが、「放射性物質を完璧に除去する」等とうたう浄水器の広告がみられる。

インターネット通販特有のトラブルが多発している

  1. (1)放射性物質への不安から、ショップの連絡先等の表示を十分に確認せず、商品を慌てて注文した結果、「商品代金を支払ったのに商品が届かない」「販売業者と連絡が取れない」等のトラブルが多くみられる。寄せられる相談の中には海外のサイトで商品を購入してトラブルが生じたが、連絡が取れないというケースもみられる。
  2. (2)フィッシング詐欺が疑われるネットショップに、個人情報やクレジットカード情報を入力してしまったというトラブルもみられる。

高齢者宅等に来訪して高額な商品を契約させている

  1. (1)「市役所から来た」等といい安心させて家にあがりこむ場合がある。
  2. (2)来訪した業者と話すうちに、放射性物質への不安をかきたてられ、慌てて高額な商品を購入してしまう場合がみられる。


消費者へのアドバイス

放射性物質の除去等をうたう広告や勧誘をうのみにしない

 「体内被ばくを防ぐ」「放射性物質の除去が可能」等とうたっていても、根拠となるデータが示されていない場合や、何らかのデータは示されていても、根拠とはならない場合が多いので、注意が必要である。

 放射性物質の除去等をうたう広告を見たり、勧誘された場合は、まずは根拠となるデータを確認するようにしてほしい。さらに、データを正確に判断するには専門的な知識や情報が必要になる場合が多いので、専門機関へ問い合せる等して、冷静に検討する必要がある。

通信販売を利用して生じたトラブルは、販売業者と連絡が取れなくなる等、解決しにくいので、特に前払いをする場合には慎重に検討する

 通信販売で商品を購入した場合に、「代金を支払ったのに商品が届かない」「販売業者と連絡が取れない」等のトラブルが増加しているので、まずは購入前に、販売業者の所在地(住所)や担当者名、特に電話番号の記載を確認し、記載に不備がある販売業者からは購入しない。

 また、通信販売は特定商取引法におけるクーリング・オフはできない。販売業者が記載する返品ルールに従うことになるので、事前に確認しておく必要がある。しかし、返品ルールの記載が無い場合は、商品の到着後8日以内は消費者が送料を負担することで返品が可能である。

 さらに、商品代金を業者の口座に振り込んだのに商品が届かないなど、業者による詐欺的行為が疑われる場合は、被害者自身のほか、警察、消費生活センター等から金融機関にその業者の口座の情報を提供することで、振り込め詐欺救済法に基づき金融機関が当該口座を凍結することができる場合がある。その場合、振り込んだ口座の残高や被害額に応じて被害回復分配金(被害額の全部又は一部)の支払いを受けることができるが、期間内に申し出た被害者しか分配の対象とならないので注意が必要である。同法による手続きが開始されている口座は、預金保険機構のホームページで確認することができる(振り込め詐欺救済法に基づく公告(預金保険機構))

フィッシング(注6)詐欺と疑われるショッピングサイトの相談も寄せられているので、特にクレジットカード情報は慎重に扱う

 日頃から、金融情報などの個人情報を入力するページでは、ブラウザにSSL通信を示す「鍵のマーク」がロックされた状態で表示されているか確認すること、「鍵のマーク」をクリックして企業の正規ホームページか確認することを習慣づける必要がある。

 また、個人情報を要求したメールやサイトが「怪しい!」と感じたら、フィッシング詐欺の可能性もあるので、フィッシング対策協議会(注7)に報告されている事例と比較してみる。

 なお、クレジットカード情報を入力した後、不審に感じた場合は、すぐにカード会社に連絡をする。

  1. (注6)「フィッシング」とは、メール等で偽のホームページにアクセスするよう仕向け、そのページにおいて個人の金融情報(クレジットカード情報、ID、パスワード等)を不正に入手する行為をいう。
  2. (注7)フィッシング対策協議会とは、被害が深刻化しているフィッシング詐欺の情報を集約し、提供している団体。

「放射線量を測定する」等と言われても、簡単に家に入れたり、慌てて契約をしない

 「市役所から来た」等といい、消費者を安心させて家にあがりこむ事例がみられるが、自治 体の職員が突然訪問して有料で放射線量を測定したり、商品等を販売することはないので十分に確認する。また、商品や契約の内容を理解しないうちに慌てて契約せず、慎重に検討する。

その他、不審に思った場合や被害にあったときは、各地の消費生活センターや警察等に相談する



情報提供先

  • 消費者庁 消費者政策課
  • 警察庁 生活安全局 生活経済対策管理官



本件連絡先 相談情報部 情報提供課
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

[PDF版] 放射性物質への不安につけこむ広告や勧誘にご注意を![PDF形式](276KB)
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