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[2011年5月13日:公表]

「震災に関連する悪質商法110番」の受付状況
−開設後1カ月のまとめ−

 2011年3月11日(金曜)に発生した東日本大震災により、被災地では消費生活センター等も被害を受けた。この震災の影響によって、消費生活相談を実施できない地域を支援するため、国民生活センターでは3月27日(日曜)より「震災に関連する悪質商法110番」(以下、「震災関連悪質商法110番」)を開設した。

 当初、「震災関連悪質商法110番」では、岩手県、宮城県、福島県の3県を対象地域として相談を受け付けていたが、4月11日(月曜)から茨城県も対象地域に加えた。開設から1カ月が経過したため、これまでの受付状況を速報として取りまとめた。

  • ※「震災関連悪質商法110番」にて受け付けた相談内容は、PIO-NETに登録・整理され、消費者庁から関係省庁へ情報提供されている。

相談の概要

相談件数

 3月27日から4月26日までの1カ月間で「震災関連悪質商法110番」で受け付けた4県からの相談件数(注1)は426件で、1日平均約14件の相談が寄せられた。10日ごとにみた相談件数の推移は図1のとおり(注2)。開設当初は、1日平均19件の相談が寄せられていたが、その後約10〜12件と推移している。なお相談内容としては、“悪質商法”だけでなく、生活に関連する相談も依然多く寄せられており、弁護士や建築士の助言を受けながら相談対応を行っている。

 また、相談者を県別にみると、宮城県が247件(約58%)、福島県が105件(約25%)、茨城県が47件(約11%)、岩手県が27件(約6%)だった(図2参照)。

  1. (注1)相談の動機となる消費生活上の行為をした当事者の居住地域が、震災関連悪質商法110番の対象地域4県の相談件数。本資料では、この当事者を「相談者」とする。
  2. (注2)10日ごとの集計は3月27日から10日ごとに区切り、26日受付分は含まない。

図1 10日ごとにみた相談件数の推移
3月27日から10日ごとにみた相談件数の推移のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

3月27日〜4月5日は190件(1日平均の件数:19件)、4月6日〜4月15日は103件(1日平均の件数:約10件)、4月16日〜4月25日は123件(1日平均の件数:約12件)である。

図2 相談者の県別割合(3月27日〜4月26日)
相談者の県別割合(3月27日〜4月26日)のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

宮城県は247件(58.0%)、福島県は105件(24.6%)、茨城県は47件(11.0%)、岩手県は27件(6.3%)である。

(1)商品別件数

 商品別にみると、賃貸アパートや借家等の「不動産貸借」が60件(14.1%)で最も多く、次に、屋根工事等の「工事・建築」が47件(11.0%)と続く。以下、公的な支援制度や罹災(りさい)証明についての問い合わせなどの「他の行政サービス」や、住宅・車等の「修理サービス」の相談が寄せられている(図3参照)。被災地4県とも概ね同様の傾向が見られる(表1参照)。

 また、10日ごとにみると、「ガソリン」の相談が減少し、「工事・建築」が増えていることが分かる(表2参照)。

図3 商品別割合(3月27日〜4月26日)
商品別割合(3月27日〜4月26日)のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。
*「相談その他」は労働相談やボランティアの依頼など消費者問題に当たらない相談。

不動産賃借は60件(14%)、工事・建築は47件(11%)、他の行政サービスは28件(7%)、修理サービスは25件(6%)、火災保険は20件(5%)、ガソリンは18件(4%)、相談その他*は17件(4%)、四輪自動車は11件(3%)、給湯システムは8件(2%)、自動車保険は6件(1%)、フリーローン・サラ金は3件(1%)、その他は183件(43%)である。

表1 相談者県ごとの上位商品別件数(3月27日〜4月26日)
岩手県
商品・役務名件数
リースサービス3
火災保険3
四輪自動車3
不動産貸借3
宮城県
商品・役務名件数
不動産貸借42
工事・建築27
ガソリン14
火災保険14
福島県
商品・役務名件数
工事・建築11
他の行政サービス11
不動産貸借11
修理サービス10
茨城県
商品・役務名件数
工事・建築8
不動産貸借4
修理サービス3
他の行政サービス3
表2 10日ごとの上位商品別件数(3月27日〜4月25日)
3月27日〜4月5日
順位商品・役務名件数
1不動産貸借22
2ガソリン18
3工事・建築17
4他の行政サービス13
5修理サービス9
4月6日〜4月15日
順位商品・役務名件数
1不動産貸借17
2修理サービス11
3工事・建築8
4火災保険6
5相談その他5
4月16日〜4月25日
順位商品・役務名件数
1工事・建築22
2不動産貸借20
3他の行政サービス13
4火災保険7
5修理サービス5

(2)相談内容別(複数回答項目)

 受け付けた主な相談内容の上位5位を挙げると、「契約・解約」に関する相談が253件で最も多い。以下、「販売方法」が98件、「品質・機能、役務品質」が84件、「価格・料金」が79件、「接客対応」が56件となっている(表3参照)。

表3 相談内容上位件数(3月27日〜4月26日)
順位相談内容件数割合
1契約・解約253件59.4%
2販売方法98件23.0%
3品質・機能、役務品質84件19.7%
4価格・料金79件18.5%
5接客対応56件13.1%

相談者の属性(不明・無回答等は除く)

(1)年代別

 年代別にみると、60歳代が81件(22.8%)、30歳代が69件(19.4%)、40歳代が64件(18.0%)、50歳代が55件(15.5%)だった。

(2)性別

 性別でみると、男性236件(59.1%)、女性163件(40.9%)で、男性がやや多い。

主な相談事例

(1)賃貸アパート等の地震被害に関する相談

【事例1:賃貸アパート】
 築20年程の賃貸アパートが震災で壁が出っ張り、部屋の四隅がはがれて、ガラスがずれ隙間ができている。ベランダが傾き、外階段が沈んで住める状態ではない。大家は補修するので家賃を払ってほしいというが、補修をしたとしても安全に住めるのか不安。支払いを断れるか。
(相談者:30歳代 男性 宮城県)
【事例2:借家】
 15年以上住んでいる借家が地震で土台にヒビが入り、家が傾くなどの被害が出た。仲介業者に点検・修理を依頼すると「直す気はないので嫌なら出て行け」と言われた。このまま修理されず住宅の被害が広がり、ケガをしたり、家財に被害が出たら損害賠償請求ができるか。
(相談者:60歳代 男性 茨城県)
【事例3:賃貸マンション】
 築30年以上のマンション。地震により配管等が壊れたようで自分の部屋が水浸しになり、家財が使えなくなった。賃貸契約とともに契約した住宅総合家財総合保険で家財の補償を受けようとしたが、天変地異は適用外と言われた。どこかに家財の補償を求めることはできるのか。
(相談者:40歳代 男性 福島県)

(2)住宅の修繕に関する相談

【事例4:屋根の修繕】
 震災後、隣家が屋根材の塗り替えをしているのを見て、自分の家も心配になり業者に来てもらった。業者が「2階の屋根はひどい。1階の屋根もしっくいがはがれている。瓦を取って軽い屋根にしたほうがよい。他の客で余震でだめになった例がある」と言うので不安になり、その場で修繕工事の契約をしてしまった。
(相談者:60歳代 女性 宮城県)
【事例5:屋根とフェンスの修繕】
 地震で屋根とフェンスが壊れた。近所で屋根工事をしていた業者に話したところ、すぐに点検に来て「修理したほうがいい。すぐにやりますよ」と言われた。また床下も点検し、「カビが発生している。乾燥剤を敷き、補強金具をつけた方がいい」と勧められたが断った。計200万円の屋根とフェンスの工事を契約、施工し、代金を振り込む約束をしたが、この金額は高いのではないか。見積書だけで契約書面は渡されていない。
(相談者:60歳代 女性 茨城県)

(3)ローンの支払い、融資に関する相談

【事例6:住宅ローン】
 リフォーム中の家が震災で津波の被害を受け、1階は骨組みしか残っていない状態になってしまった。総額約1,600万円の契約で1,000万円はローンを組んだ。支払いはどうなるのか。
(相談者:30歳代 女性 宮城県)
【事例7:新車のローン】
 今年2月に新車で購入した車を修理に出していたが、工場が津波の被害に遭い、預けた車が 使えなくなった。補償はないし代車の返還も求められ困っている。車のローンはまだ1回しか支払っていないし、もう1台買う余裕はない。
(相談者:20歳代 女性 宮城県)
【事例8:消費者金融】
 消費者金融からの借金を返済中だったが、震災にあい、家も職場も失い、返済の目処が立たなくなった。どうしたらよいか。
(相談者:50歳代 女性 宮城県)

(4)放射能に関連する商品の相談

【事例9:放射能を体外に排出する水】
 小さい子どもがいるので放射性物質から身を守る方法をネットで探し、放射性物質を吸着して6時間で体外に出すとうたわれている水を申し込み、代金を振り込んだ。業者が薬事法違反で逮捕されたが返金されるか。商品はまだ届いていない。
(相談者:30歳代 女性 福島県)
【事例10:放射能を除去する浄水器】
 チラシ広告に放射性物質などを97%除去する浄水器が出ている。この機械について情報はないか。効果は信頼できるか知りたい。原子力関連の研究所にも問い合わせたが、データがなく分からないと言われた。本当に除去できるのであれば購入したいが疑わしい。
(相談者:40歳代 男性 福島県)
【事例11:野菜】
 近所からかぶを頂いたが、放射能の影響が心配だ。食べても大丈夫だろうか。
(相談者:60歳代 女性 福島県)

相談の傾向

(1)物不足から、不動産貸借や住宅・車などの補修へ

 開設後、1週間はガソリンなどの物不足に関する相談が目立ったが、現在は、賃貸アパート、住宅・車の補修などの相談が多く見られ、火災保険や車両保険に入っていても、地震、津波による被害は対象外であったという申出も目立つ。これらの被害を救済する公的な融資等の支援制度に関する問い合わせも見られる。

(2)住宅の修繕費用や修繕業者の勧誘に関する相談が増加

 住宅の修繕に関して金額は妥当なのか、という相談が目立った。中には、損害状況について不安をあおられたり、契約をせかされたりして、十分な説明を受けない状態で契約に至った、という相談も見られた。また、契約書面が渡されない、渡されても見積書のみの場合や、施工の明細が分からないもの、契約、施工後に渡されるケースもあった。

(3)車や家を失ってもローンの支払いの負担が残り、返済の困難を訴える相談がみられる

 車や家が津波で流されたが、ローンの支払いが残った、仕事も失ったのに支払わなければならないのか、という今後の返済に不安を覚える相談が寄せられている。

(4)放射能を除去するなどとうたった商品に関する相談がみられる

 体内被ばくに効く健康食品を販売していた業者が逮捕された事件に関連した相談や、放射能の除去等をうたった商品や広告に関する相談、効果の根拠を問う相談が見られた。



消費者の皆さんへの助言

 相談が寄せられた各分野についての助言は、以下のとおり。

  • ※なお、消費者庁と国民生活センターでは、被災地における相談体制の強化を図るため、法律などの専門家派遣を行っている。

賃貸アパート等の修繕または賃料等のトラブル

 建物の損壊の内容にもよりますが、修繕が必要であり、修繕が可能な場合には家主に修理を請求することができます。家主が修理をしてくれない場合、使用できない部分について賃料の支払いを拒むことができると考えられます。

 客観的に建物が使用不可能であった場合には、仮に荷物を置いていたとしても、家賃を支払う義務は生じないと考えられます。警戒区域である場合には、一般的に使用は不可能です。

 また、震災被害でアパートに住めないために退去を申し出た場合、違約金を支払う必要はありません。万が一、契約の中に天災のような場合でも違約金を支払わなければならないという取り決めがあったとしても、無効の主張ができると考えられます。

 ただし、いずれの場合においても、個別の事情によって異なりますので、契約書などを持って、弁護士会や行政の法律相談に相談してください。

住宅の修繕に係るトラブル

 住宅の修繕で高額な代金を請求された場合には、業者に請求内容の明細の提示を求めてください。契約した覚えのない施工については支払い義務がないと考えられます。

 勧誘の際に修理の必要性について嘘の説明をされている場合などには、契約の取消ができる可能性があります。

 業者の説明をうのみにしてその場で契約しないことが重要です。複数の会社から見積もりをとり、十分検討した上で契約してください。

 強引な勧誘を受けても、急いで契約をしないようにしましょう。既に契約してしまった場合でも、訪問販売であれば、契約書をもらってから8日間はクーリング・オフができます。強引な勧誘を受けた場合には、訪問販売でなくても、またはクーリング・オフ期間が過ぎてしまっていても、契約の取消しができる可能性があります。

ローンの支払い、公的な融資制度

 住宅ローンの支払いについては、震災の特例で、一時的に支払いを猶予している金融機関がありますので、借入先の金融機関に問い合わせてみてください。

 また、震災が原因で解雇された場合、雇用保険の対象になりますので、給付をハローワークに問い合わせてください。

 社会福祉協議会では、緊急小口資金の特例貸付を実施しています。被災世帯は、当座の生活費として原則10万円を無利子で借りることができます。避難先でも社会福祉協議会へ借入の申し込みができますので、避難先の社会福祉協議会までお問い合わせください。

 また、自治体によっては生活費の支援を行っている場合があります。実施状況、内容等については、各自治体にお問合せください。

放射能や食の安全

 一部の食品から、食品衛生法上の暫定規制値を超えた放射性物質が検出され、出荷や摂取の制限が行われています。こうした食品は、市場には流通しないようになっていますので、根拠のない噂などで混乱せず、確かな情報に基づき冷静に対応することが重要です。

 なお、放射能を除去するなどとうたった機器や食品の販売等について、不審に思ったときは、震災関連悪質商法110番や各地の消費生活センター、警察まで御相談ください。




本件連絡先
消費者庁 消費者情報課
独立行政法人国民生活センター 相談情報部 情報提供課

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